スピッツ「魔法のコトバ」
2006年リリース
「魔法のコトバ」は2006年7月12日にリリースされたスピッツの31枚目のシングルです。
2004年にリリースしたシングル「スターゲイザー」以来のオリコンチャート2週連続TOP10入りを果たし、さらには年間チャートでもTOP100入りを記録するなど、セールス面でも大注目な作品となりました。
アルバム「さざなみCD」に収録
また「魔法のコトバ」は2007年10月10日にリリースされたスピッツの12枚目のアルバムである「さざなみCD」の9曲目に収録されました。
前アルバムである「スーベニア」から2年9か月振りのリリースとなり、時間をかけてじっくりと制作されたアルバムになりました。
「スーベニア」に続き、オリコンアルバムチャートでは首位を獲得し、さらにその前のアルバム「三日月ロック」のリリースから3作連続の首位獲得となりました。
「さざなみCD」は元々「夕焼け」というアルバムタイトルでリリースされる予定でした。
しかし、「夕焼け」という曲は33枚目のシングルの「群青」のカップリング曲として、このアルバムには収録されない運びになったのです。
よって、アルバムタイトルは収録曲の「漣」からとって、さらに脚色を施し「さざなみCD」となったそうです。
映画「ハチミツとクローバー」の主題歌
さらにこの楽曲は映画「ハチミツとクローバー」の主題歌として書き下ろされたことでも有名です。
「ハチミツとクローバー」は羽海野チカが描く青春漫画で、通称「ハチクロ」と呼ばれています。
美術大学を舞台にして、大学生の時にしか味わえない青春を生々しく、そして、面白おかしく、時にシリアスに描いた漫画になっていて、恋愛に関しても生き方に関しても考えさせられるその内容は若者の支持を多く得ました。
そして、漫画という枠を飛び越え2006年7月22日に櫻井翔や蒼井優、伊勢谷友介など錚々たる出演陣のもと映画が製作され公開されました。
映画のキャッチコピーは「恋をした。それだけのことなのに、世界はまぶしい」となっていることもあり、それに合わせて書き下ろされた「魔法のコトバ」はキラキラした中にもどこか切なさや温かさを含んだ楽曲になっています。
書き下ろしが決定した経緯としては「ハチミツとクローバー」というタイトル自体、スピッツのアルバムタイトルである「ハチミツ」が由来していたり、テレビアニメ版にスピッツの楽曲が挿入歌として多く使われていたことによるそうです。
完成した「魔法のコトバ」を聴いた羽海野は「ハチミツとクローバー」のエンディングテーマにぴったりだと喜んだそうです。
ミュージックビデオ
ミュージックビデオはどこか昔の思い出を回想するかのような淡いセピアの色調の中での演奏シーンが続いていきます。
「ハチミツとクローバー」の淡い青春群像劇にぴったりな色調になっているのではないでしょうか。
それでは「魔法のコトバ」の歌詞を紐解いてみましょう。
「魔法のコトバ」の歌詞を紐解く
子供と大人の狭間
あふれそうな気持ち 無理やりかくして
今日もまた 遠くばっかり見ていた
君と語り合った 下らないアレコレ
抱きしめてどうにか生きてるけど
出典: 魔法のコトバ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
悶々とした気持ちを抱え生きる大学生の心情が描かれたような導入部分になっています。
大学生はまさに子供と大人の狭間の世代で、恋愛や生き方に対する希望や夢と同じくらい、不安や苦悩も抱え、壁にぶつかる世代ではないでしょうか。
現実と理想を擦り合わせながら成長していく心は、いつでもはち切れそうです。
しかし、たまに息抜きすることで、なんとかそれを必死で押さえ込んでいます。
魔法のコトバ 二人だけにはわかる
夢見るとか そんな暇もないこの頃
思い出して おかしくてうれしくて
また会えるよ 約束しなくても
出典: 魔法のコトバ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
苦しくてつらい時でも何かひとつの言葉を胸に抱えているだけで、救われることはあるでしょう。
君と語り合うアレコレの中で、そんな言葉をお守りのように胸に抱き、それを支えにしようとしています。
しかも、2人だけにしか分からない言葉ともなれば特別感も出て、忙しくて現実に押しつぶされそうでも、わくわくドキドキしながら乗り越えていけるのではないでしょうか。