今主人公が欲しいのは

だけど「大丈夫」なんて恋はどこにもないの

出典: 妄想感傷代償連盟/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27

「大丈夫」の後にはどんな言葉が続くのでしょうか?

きっと思い違いだよ。願えば叶うよ。心配いらないよ。こうした安堵を与える言葉を求めているのだと思います。

ですが、それが現実では叶わないことも分かっているようです。

上手に生きられない苦痛

主人公はどんどん不安定になっていきます。

何とかしたいのに、上手に生きられない。そんな苦痛を抱える人にはきっと共感できる歌詞ですよ。

何を繰り返している?

だから妄想感傷代償連盟
愛を懐いて理想を号んだ
行き場のない愚者のメロディー
再挑戦・転生・テレポーテーション
何回だって 重ねて逝くんだ
終わりなき愛の隨に さあ

愛や厭...

出典: 妄想感傷代償連盟/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27

「叫」ではなく「号」を選んでいる点に注目しましょう。

「怒号・号泣」などの強い意味の熟語に使われる漢字で、重たい感情を纏っていることがうかがえます。

深い悲しみや絶望を、外に吐き出すことなく抑え込んできたのでしょう。

そして、このサビでは死がチラつきます。MV歌詞がリンクしているので、見比べてみましょう。

「再挑戦」では首つりの縄。「転生」では赤ちゃん。

「テレポーテーション」では血の付いたナイフが映し出されます。

ここから、「自殺して生まれ変わること」と「誰かを殺めること」が読み取れるのです。

そして何度も「逝く」と表現しています。

これらは心理状態の比喩ではないでしょうか?

死ぬほどの絶望を味わい、生まれ変わるように立ち上がった。

そして他人の心をナイフで刺すように傷つけ、再度絶望を味わう…。

このような生き方をループしているのだと思います。

頑張ったけど…

頑張った
どうしようもないその我儘
叶えた先にある謎自恋魔
怒ってる? …怒ってない。
阿吽の呼吸でズレるビート

これがもし映画やドラマなら
スタッフロールまでは乗り切れど
二度とは観たくない
酷すぎる起承 転も結も

出典: 妄想感傷代償連盟/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27

ここで君とのシーンに戻りました。

主人公は他人の顔色をうかがう性格の持ち主です。

「彼の気分を害したのかもしれない。どうしよう…。」

そう思った結果、怒っているかどうか尋ねたのでしょう。根本には、他人へ対する恐怖心が感じ取れます

そして、2人の恋愛模様を映画ドラマに例えました。

素敵な作品は何度でも見たくなりますね。ですが、彼女にとってはそうではないみたいです。

今を乗り切ることに精一杯だから、二度と思い出したくないし、同じ経験をしたくない

そんな思考が読み取れます。

おそらくそれほどお互いにとって居心地も良くないのでしょう。

相手の機嫌を聞いてしまうくらい、雰囲気が悪いのです。

機嫌が悪そうにみえる相手と一緒にいる。

誰でも早くその場から離れたいと思うでしょう。

主人公もそのうちの1人です。

やはり信じてしまう

だけど「大丈夫」なんて恋を信じて仕舞うよ

出典: 妄想感傷代償連盟/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27

「うまく行かない。辛い。」と思いながらも、やはり理想が捨てきれません

きっとこの恋はうまく行く。

そう心のどこかで期待しています。

もう精神的に限界が近い主人公ですが、そう思うことで心の支えにしているのでしょう。

主人公は愛に飢えていますから、辛くても自分から離れようとは思いません。

あの時は少しタイミングが悪かっただけ。

なんて言い訳をしながら、どうにかして君との関係が切れないように努力しています。

そうしないと飢えている心が暴走してしまいそうだから。

少しでも希望がある方へすがりたいのです。

傷つけあった先には

だから通称:愛情対象年齢
愛を憎んで守った位相が
正しく歪み始めるの
最低じゃん どうせ対人ローション
何回だって 傷付け合うんだ
混ざり合う愛のフィロソフィー

出典: 妄想感傷代償連盟/作詞:DECO*27 作曲:DECO*27

「位相」とは性別や階級・立場によって生じる言葉の違いのこと。

ここでは君との摩擦やズレを表現していると思われます。

他人と関われば必ず考え方の違いがあり、衝突が起こるでしょう。

主人公はこの違いに戸惑って、心を搔き乱されているのだと思います。

「フィロソフィー」とは哲学や考え方のこと。

お互いの思いが衝突して、混ざり合い、新しい考え方が生まれる様を表現した歌詞と推測できます。

主人公は他人と意見をぶつけ合うことに臆病なのかもしれません。

過去に負った傷が治りきっていないから、必要以上に自分を守ろうとしてしまうのでしょう。

内気な性格のため、自分の意見を言うのも苦手そうなイメージがあります。

一方で君の方は自分の感情に素直なイメージ。

主人公が機嫌が悪そうで聞いてしまうぐらいなので、感情が顔や雰囲気に出やすい人なのかもしれません。

となると、おそらく上記の歌詞は君の方が主人公に自分の意見をぬつけてきたのではないでしょうか。

おどおどしていて、何を考えているのか分からない。

そんな心ない言葉もぶつけられたかもしれません。

歌詞4行目の部分から、お互いに人付き合いが下手なイメージをもつことができます。

主人公が内気で自分の意見を言えないタイプであれば君の方はストレートに物事を言ってしまうタイプ。

人付き合いが苦手な2人には、コミュニケーションを円滑に行う策があったのでしょうか。

お互いの共通の知人をいれて3人で会話をする。

そんな機会もあったかもしれません。

それでも、5行目の歌詞で表現されているようにコミュニケーションが上手くとれたとはいえないようです。

そして、何回も傷つけられてしまった主人公はだんだんとこの状況が辛くなってきた。

そんな解釈もできます。

どうしてこんなにも辛いのか?