勇気だけじゃ できないことがある
彼女の恋人は 僕の友達 でももしこの車に
ロケットがついてたら
あの星空へ連れさりたい

出典: 彼女の恋人/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

相手が知らない男なら、彼女を奪い去ることもできたかも知れません。しかし、親友だからできないんですよね。

自分の気持ちだけでは動けないもどかしさと、彼女をいますぐ連れ去りたいという葛藤が「この車にロケットがついてたら」という歌詞に詰まっています。

日頃は僕の方が割と もてる方なんだけど
ここぞと言う時には あいつがさらってく
自分の親友だから いいやつに決まっているけど
友達ではじまった 三人だから困る
気持ちのアクセルなかなか 踏み込めない僕は
出足がよくないといつも 教習所でも言われてた

出典: 彼女の恋人/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

普段どんなにもてていても、肝心な時、本当に好きな人に振り向いてもらえなかったら意味がありません。そういう時に限って親友に先を越される苦さが歌われています。

でも親友だから、いいやつだから憎めないという切ない心情に胸が痛くなります。

初めから恋愛関係ならよかったけれど、三人は友達から始まっているんですね。だから距離の取り方や気持ちの整理の仕方が分からずに悩んでしまうのでしょう。

星の数ほどいる人の中で
どうして君が好きなんだろう
星の数ほどの人の中一番
不幸だなんて思わないけど

僕一人だけが友情なんて言葉出して
悩むくやしさより 二人が
似合うのがもっとくやしい

出典: 彼女の恋人/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

お似合いな二人への嫉妬

世の中には数え切れないほどの人がいて、出逢いも幾千とあるはずです。なのに、どうしてよりによって「君」を好きになってしまったのか。

同じ人を好きになる切なさを、どこにでもある言葉で表現しているところが魅力ですね。誰しも経験することだから、共感を得やすいのはないでしょうか。

でも本当に悔しいのは、自分が悩んでいることではなく、二人がお似合いだということなんですね。きっと自分よりもお似合いな二人だから、悲しくて悔しいのでしょう。

もしも自分が告白をしても、きっと上手く行かなかった。親友には勝てなかったことが分かってしまうから、どうしようもなく辛いんですよね。

星の数ほどいる人の中で
君と出会ったのは嘘じゃない
だから僕の車に ロケットがついてても
どこへもつれさらない 僕のものじゃなくても
君がやっぱり 好きだから

出典: 彼女の恋人/作詞:槇原敬之 作曲:槇原敬之

でも最後は、気持ちに変化が訪れます。1番のサビでは連れ去りたいと言っていた「僕」が、もしもロケットがついていても連れ去らないと言っているのです。

それは、やっぱり「君」のことが好きだから。心から好きだからこそ、彼女を悲しませるようなことはできないのでしょう。そしてお似合いな二人に、幸せになってほしいのでしょうね。

辛いけれど、本当に大切に思うなら、幸せを邪魔することなんてできないからです。悲しい恋が人知れず終わっていく、その切なさを真っ直ぐに歌った名曲です。

主人公は超・友達思い?

あくどいことを考えられない性質

それでは「彼女の恋人」の歌詞をさらに深く掘り下げていきましょう。

1番の歌詞では、現在の主人公の立場を表現しています。

勿論、主人公は友達の彼女を好きなってしまった男性です。

年齢的にはまだ学生の頃あいでしょうか?

自身のことに対してのみならず全てのことに謙虚な姿勢を感じられます。

ただ、普段の付き合いと恋については別物。

誰かを好きになるという感情は、通常の人間関係とは全く別物です。

主人公はすごく「いい人」

歌詞中に「勇気」という言葉を主人公は引き合いに出しています。

勇気があってもやってはいけないことが世の中にはある、と断言しているのです。

この表現は主人公があくどいことを一切考えられない性格を表していますね。

「勇気があったとしても、友達の彼女を勝手に連れ出したりはしない」。

つまりそれは自分の友達を裏切る行為になるからです。

男と男の友情というものを主人公は大切にしているのでしょう。

しかし、現実的にはその友達の彼女を好きになってしまった。

理想と現実の中で苦しみもだえる主人公の心中が思えます。

友情をとるか、好きな人を取るか

優柔不断は女性にとってもっとも嫌悪されるもの

友達関係の3人の中にあって女性は主人公のことをどう思っているのでしょう?

少しばかり歌詞から想像できる場面があります。

女性が主人公の車に遠慮なく乗って家まで送ってもらうシーンです。

3人の関係はほぼ同時進行だったのでしょう。

その時に真っ先に、主人公はその女性のことが好きになりました。

しかし、3人の関係を保っておきたいので自分から行動することは躊躇していました。

それをそうこうしているうちに友達が先に告白してしまったようです。

こういうパターン、よくある展開かもわかりません。

主人公はあまりにも人がよくて友達思いだったのがあだになったのでしょう。

さっと、友人に彼女をさらわれてしまったのですから。

つまるところ、主人公は優柔不断という思いを女性にされてしまったのでしょう。