相反する表情の「君」と「私」

白昼夢とは

ゆらゆら揺れる 白昼夢の中

出典: 夜想と白昼夢/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

夜、ぐっすり眠っている時に見る夢ではなく、ここで語られるのは「白昼夢」です。

明るい昼間に見る夢のように、すぐに消えてしまいそうな儚い祈りが、主人公が見る白昼夢なのです。

時に形を変えながら頭の中を駆け巡る想像は、戦のない平和な世界のこと

これまで失った命たちも、主人公の頭の中でよみがえります。

アルフレッドと出会う前は、明るい未来を想像することなどできませんでした。

白昼夢を見られるほどに気持ちが落ち着いているのも、この素敵な出会いのおかげなのです。

心が宙を舞う理由は

まふまふ【夜想と白昼夢】歌詞の意味を解説!心が宙を舞う理由は?夜想の綻びと蜃気楼の世界を読み解くの画像

貴方はそばで笑って 私は泣いて
確かに心は宙を舞う

出典: 夜想と白昼夢/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

「貴方」、つまりアルフレッドは、曲中でもMV中でも笑顔を絶やしません。

それは主人公に笑ってほしいからでもあり、いずれ来たる明るい未来を信じているからです。

絶対に自分が何とかする、そんな確固たる信念すら感じられます。

そんなアルフレッドと対称的に、涙が止まらない主人公。

無力な自分への戒めの涙、散っていった仲間への鎮魂の涙、そして訪れた出会いへの安堵の涙……。

さまざまな感情が渦巻く中で、今は未来に希望を感じずにはいられません

ゆらゆらとおぼつかない白昼夢ではなく、これは現実のこと。

気持ちがたかぶるのも、このどうしようもない嬉しさも、今確かに感じていることなのです。

相反する2人の表情が、これまでの王国と、これからの王国の姿を映し出しているようにも見えます。

主人公の願い

夜想の綻び

まふまふ【夜想と白昼夢】歌詞の意味を解説!心が宙を舞う理由は?夜想の綻びと蜃気楼の世界を読み解くの画像

夜想の綻び 蜃気楼の世界
覚めぬようにと願うのは
欲張りでしょうか

出典: 夜想と白昼夢/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ

「夜想」とは、読んで字のごとく「夜に移ろいゆくさまざまな感情」のことです。

数々のピアニストが「夜想曲」と題した曲を作ったように、夜はさまざまな考えが浮かぶもの。

決して安らげる時間ではなかったはずの「夜」に、考えを巡らせることができる……。

そんな安心できる環境になったのも、アルフレッドのおかげといえます。

ぼんやりと思い描くイメージの世界には、つじつまの合わないことも多々存在します。

中には到底あり得ないような希望も含まれているでしょう。

そんな「綻び」を見つけ出すのもまた、素敵な夜の過ごし方です。

戦いに身を置く「戦士」から、普通の「女の子」へと生まれ変わる……。

そんなおとぎ話のような夢も、叶う日が来るかもしれません。

蜃気楼の世界

太陽や水、さまざまな環境が偶然重なって起こる「蜃気楼」。

これもまた、ゆらゆらと曖昧なイメージのある言葉です。

主人公の頭の中では、形にならないようなさまざまな希望が「生まれては消え」を繰り返しているのです。

そんな幸せな夢の世界から、現実に戻りたくない……。

この幸せな気分のままでいたい……。

主人公がそう願うのも、無理はありません。

「欲張りでしょうか」と問いかけている姿から、これが許されない夢であることも分かっているのです。

しかし、これらの夢は夢のまま終わるわけではありません。

アルフレッドが現れ、抱いていた夢が現実となる可能性が生まれました。

しかしそこには、彼1人では到底成し遂げられない壁があります。

2人が手を取り合って初めて、夢のように素敵な未来がやってくるのです。

まふまふさんならではの世界観

「夜想と白昼夢」の他、「オルタンシア・サーガ ゼロ」の主題歌も担当していたまふまふさん。

「Rewrite the Saga」というこの曲も、オルタンシア・サーガの悲痛な世界観を描き出しています。

作中で失われる多くの命を前に、絶望の日々を送る人々。

しかしその中で見つけた希望と、やらねばならないという野心の火は、簡単に消えるものではありません。

暗闇に灯るひと筋の光のように……。

そんな儚い希望を言葉にして紡ぐのが、まふまふさんの描く楽曲の素敵さといえますね。