「こぼれ落ちて」は2ndアルバム「スーパースター」に収録
メチャクチャかっこいいイントロ!
「こぼれ落ちて」は、2011年4月リリースのback numberの1stシングル「はなびら」のカップリング曲。
その後、2ndアルバム「スーパースター」に収録されました。
この「こぼれ落ちて」、とにかくイントロがかっこいい。
曲全体のコードは最後に示しますが、まずそのイントロのコードだけ先に紹介しましょう。
Em / Em / Em / Em /
Em / Bm / C / G B7 / Em / Bm / C / B7 / Em / Em /
出典: こぼれ落ちて/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
この、長いトンネルの中をグルグルと迷走しているようなメロディが、この曲のイメージを決定づけています。
ガツンとしたロックの音感。
back numberの本領を見せきった感のある、熱いビートが貫かれていて、思わず机をドンドンと叩いたり、ヘッドバンギングしちゃいそう!
でも、それ、正解です!
抽象的な歌詞が意味深で、ちょっと難解かも
深読みすればするほど深い、「僕」の変化
サウンドはガツンとしたハードロック調で分かりやすいのに、歌詞の方はどことなく抽象的な感じ。
例えばワンコーラスのAメロ。
意味のあるものを選び過ぎて
なんか大事なところが欠けているような
必要なものを選んでるのに
価値が下がってる気がするんだよ
出典: こぼれ落ちて/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
「意味のあるもの」って具体的に何なのでしょう?
また、それを「選び過ぎ」たのは何故なんでしょう?
聴き手の疑問に答えることなく、曲は「必要なものを選んでいるのに」「価値が下がってる気がする」と続きます。
ということは、必要なものというのは、例えばカノジョのハート(愛)とか、お金、好きな食べ物、または地位、名誉といった具体的なものではない可能性があります。
またはそれらすべてを含んで一般化しているのかも。
いずれにしても、この抽象的な表現はBメロでも続きます。
誰も悪くない、って事に気付くのは誰?
他者に強くしてもらった「僕」がこぼれ落ちていくのか?
理由を知れば知るほど誰も
悪くないって気付くそれだけなんだよ
大事なものや大切な人は僕を
強くしてくれたはずなのに
出典: こぼれ落ちて/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
このBメロをAメロとつなげると、“意味があると思って選んだ必要なものは価値が下がっていて、価値が下がった理由を知ると誰も悪くない、と分かった”との意味に。
では、必要だと思っていたものの価値を下げた原因、張本人は誰だ、ということになります。
歌詞全体を見回すと、ここに登場してくる人物はあとひとり、つまり「僕」だけです。
だから、価値があると思ってものを選び、その価値を下げたのは、他でもない「僕」自身なのです。
彼が選んだから価値が下がったのか、それとも選んでみたら価値のなさが分かったのか。
それがどっちなのかは分かりませんが、いずれにしてもこの矛盾に満ちたフレーズは、「僕」の内面の混乱を表しています。
「僕」は自分を見失っているのです。
サビではそんな自分を見失っていった過程を「こぼれ落ちてゆく日々」と表現して、そのうっ屈した感情を爆発させます。
こぼれ落ちてゆく日々は
哀しみと迷いを乗せて沈んでくんだろう
いつだって泣いたってわめいたって
何も変わらないから仕方なく
僕はまた変わってしまう
そこで出会うのはきっと
僕じゃなくまた違う誰かなんだろう
そこで知るんだ
この変化に名前を付けたら
きっと大人だって
どれだけもがいても
出典: こぼれ落ちて/作詞:清水依与吏 作曲:清水依与吏
清水依与吏の叩きつけるような歌いっぷりに乗って、聴く方も攻撃的な気分になります。
「また変わってしまう」僕が、「そこで出会うのはきっと」「僕じゃなくてまた違う誰か」。
おそらく変わってしまった僕が会ったのは、「また違う誰か」になってしまった「僕」なのでしょう。
変わってしまったので、僕だと気付かなかったのでしょう。
でも同じ「僕」なのに、何故気付かなかったのか?
この答えと、ワンコーラスのサビの最後の4行、「そこで知るんだ」「この変化に名前を付けたら」「きっと大人だって」「どれだけもがいても」の答えは、後で説明します。