過去の恋を思い出す瞬間

aiko【運命】歌詞の意味を考察!手放したくなるほど腐った「心」とは?主人公が信じていたのは何?の画像

過去に愛していた人のことを、日常のなかでふと思い出す。

今回紹介するaiko『運命』では、そんな少し切なくなるような瞬間が歌われています。

どんなに情熱的な恋愛をしていたとしても、その記憶は時とともに薄れていってしまうもの。

けれど完全に忘れ去ることはできなくて、心の隅に思い出として残り続けます。

ずっと覚えていたい。

すべて忘れてしまいたい。

相反する感情が胸のなかで渦巻いて、自分でもどうしたいのか分からなくなってしまうことでしょう。

終わった後もこんな風に心をかき乱し続けるなんて…。

恋とは本当に厄介なものですね。

軽快なメロディーに隠された物寂しさ

『運命』はaikoの公式YouTubeチャンネルから、ライブ映像とともに聴くことができます。

爽快なメロディーと、それに背中を押されるようにして花道を駆け抜けていくaiko

なんだか物凄く楽しいことが始まりそうなイントロなのに、歌い始めるとそこに綴られているのは過去の恋です。

このアンバランスな感じがたまらなくエモい!

aikoにかかれば、終わってしまった恋もキラキラと輝きだすのでしょうね。

音楽は終始アップテンポで、思わず飛び跳ねたくなるようなアクティブなメロディーで進められていきます。

しかし最後まで聴いていると、なんだか少しだけ切ない気持ちにもなってきませんか?

それはまるで、最後の打ち上げ花火を見上げた時のような物寂しさ。

楽しい時間はいつか終わる。

けれど苦しみや悲しみを経て、またいつか楽しい時間を迎えられるはずです。

幸福は何度でも、私たちの前に現れてくれる。

それを歌詞でも音楽でも表現しています。

過去の恋を思い出すきっかけ

過去の恋を思い出すときというのは、どういうときでしょうか。

デートをしたことのある場所に行ったとき。

恋人の好物を食べたとき。

きっといろいろなきっかけがあるでしょう。

では、この曲の主人公は何をきっかけに過去の恋を思い出すことになったのか。

歌詞を読み解いていきます。

降り出した雨に想うこと

ベランダのコンクリートに黒い水玉模様
少し雨が降り始めた 頭が痛い
だけど空気を入れ換えたい 窓は開けていようか
同じくあたしの心も入れ替えられないかな

出典: 運命/作詞:aiko 作曲:aiko

何気ない日常から始まる『運命』の歌詞

主人公はアパートで独り暮らしをしている女性でしょうか?

頭痛がすると思って外を見てみたら、ちょうど雨が降り出したところだった。

主人公は窓を閉めようかどうか迷って、結局換気のために開けたままにします。

部屋のなかであれば、空気が淀んでいたり湿気が籠ったりしていても、窓を開ければ外の風が入ってくる。

それと同じように、自分の心も外から新しい風が吹いてくれないだろうか。

部屋を換気しながら、主人公は自分が今感じているモヤモヤとした気持ちについて考えます。

心が晴れないのは、きっと頭痛のせいだけではないでしょう。

どうやら降り出した雨が、主人公に過去のことを思い出させたようです。

雨の日に犯してしまった間違い

こんな日はこんな日は
間違ってしまう

出典: 運命/作詞:aiko 作曲:aiko

とても短いフレーズですが、いろいろなことを想像できる歌詞ですね。

降り出した雨のせいで頭が痛い。

じめじめとした部屋で1人きり。

気分が落ち込んで、いつもの自分なら絶対にしないようなミスをしてしまいそう。

主人公はきっと今日と同じような雨の日に、後悔の残る出来事を起こしてしまったのでしょう。

たとえば恋人と喧嘩したとか…。

もしかしたらその喧嘩が原因で、主人公は恋人と別れてしまったのかもしれません。

そんなことがあったから、主人公にとって雨の日はさらに憂鬱な日になったとも考えられます。

どんな間違いをしてしまうのか明記されていないからこそ、どこまでも想像を広げられそうですね。

愛していた頃の記憶が薄れていく

あなたを愛していた もうそんな事も忘れた
冗談まじりに運命を信じていた
今は元気にしてるの?
ねぇ本当にあの時抱きしめてくれたのは
あなただったの?

出典: 運命/作詞:aiko 作曲:aiko

あなたのことは覚えていても、あなたを愛していたという感情は、もう忘れてしまった。

それだけの月日が流れたということなのでしょう。

人は忘れることで、新しい出会いを求めることができます。

それでも誰かを愛していた頃の感情を忘れるというのは切ないですね。

主人公はもう、かつて愛していたあなたに会うことはないのでしょう。

だからこそ、ふと思い出した時に余計気になってしまうのかもしれません。

過去に何があったとしても、恨むことなんてできない。

その気持ちが「元気にしてるの?」の一言から伝わってきます。

あなたに関する記憶が、どんどん薄れていく。

抱きしめられた温もりも、いつかは忘れてしまうのでしょうね。

手放したくなるほど腐った心