嫌いなあなたは 風船みたいだ
どうせどこへまでも空っぽだ

出典: ディスコバルーン/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

1番では「空っぽだろう」と歌っていましたが、「空っぽ」に変化しています。

ここにも意味がありそうです。

見下していた世界に振り回された上に、その世界は楽しそうで、きらびやかでした。

足を踏み入れてみようかとさえ思ったほど。その世界で死んでいけたらとも考えました。

自分自身がラクになれると分かっていても、自分のプライドが許さないのでしょうか。

風船はからっぽ「だ」と断定することで、自分と他者の間に再び線を引いたのだと読み取りました。

自身の正しさを確認せずにはいられない

美徳などありはしない
受け取る心もない
光って回る地球儀が落ちた

出典: ディスコバルーン/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

ビニール風船の人々は、アンテナが折れているため外からの刺激に疎い状態です。

人としての正しさや美しさ、尊厳などを訴えかけたとしても、届かないでしょう。

自分は美徳を理解している人間だ、と思っています。

美徳のない世界はそのうち崩壊するとさえ思っているかもしれません。

その自信から、今は惰性でぐるぐると回っている地球儀が軸をすり減らせて落ちる様を想像します。

「そうなってしまえ」と願っているのでしょう。

家畜より役に立たない存在

肥える産廃火を持って
ちょっと遊んで行こうぜ
何も知らない夢のまま
死んでいけたら幸せだ

出典: ディスコバルーン/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

苦労をせずに過ごし、痛みを知らない人々はすり減るものがありません。

餌を与えられるだけの家畜のように肥えている、という意味です。

しかし家畜とは違い、誰の役にも立たない上に処分に困る産業廃棄物

これはなかなか辛辣な表現ですね。

産廃を燃やすためでしょうか、火を持って遊ばないかと声をかけます。

しかし、応える声はありません。

地球儀は回り続けていた

声が西へと抜けていく
ちょっと遊んで行こうぜ
何も知らない夢のまま
死んでいけたら幸せだ

出典: ディスコバルーン/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師

誘う声に応える人はおらず、その声は西へと流れていきます。

なぜ流れていくのか。それは地球儀が回り続けているからです。

地球儀が落ちた光景は自分の想像でしかないのでしょう。

「ディスコバルーン」の主役は米津玄師本人

「ディスコバルーン」の主人公は、米津玄師本人だと考えられます。

その根拠は、彼が生きてきた人生の中にありました。

個人主義が招いた孤独

米津玄師は学生時代にバンド活動をしていました。しかし現在は1人です。

実は、誰かと協力して作業をするのが苦手なのだとか。

そのため、バンド活動もうまくいきませんでした。

米津玄師本人が自分を「個人主義」と表現するほど、協力が苦手なようです。

「ディスコバルーン」は、周囲に溶け込むことを軽蔑しながら羨望も感じているという曲。

米津玄師は個人主義でありながら、皆で何かを作り上げることへの憧れも抱いていたのでしょう。

歌詞の中に見えた「努力」

サビで使われている「遊んで行こうぜ」という歌詞から、見えたことがあります。

それは「米津玄師がただただ孤独を好む人間ではない」ということです。

誰かを誘ってみたり、周りに溶け込んでみようと試みたことがあるのかもしれません。

しかし、うまくいかなかったのでしょう。

結果として言えるのは、米津玄師が個人主義だったからこそ今の米津玄師がいるということです。

うまくはいかない日常があったから、「ディスコバルーン」が生まれたのです。

強烈なメッセージを受け取りましたか?

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