5thアルバム『HEART』に収録の1曲

『虹』の前に位置する楽曲『Shout at the Devil』

L'Arc~en~Ciel【Shout at the Devil】歌詞の意味を解釈!どんな「真実」?の画像

活動休止後に発表され、ドラマーにYukihiroを正式に迎えた最初のアルバム『HEART』

L'Arc〜en〜Cielとしては 5枚目のアルバムになります。

そんな再出発を飾るアルバムの4曲目に収録されたのが、今回ご紹介する『Shout at the Devil』です。

この曲の曲順は、大ヒットシングルで、L'Arc〜en〜Cielの冬の代名詞ともいえる『winter fall』の前。

そして、バンド名と同じ意味を持ち、再始動を飾る記念すべきシングル『虹』の前に収録されています。

空間系エフェクトの音色で幻想的な冬をイメージさせ、綺麗な世界を紡いだ『winter fall』

メロウなギターのアルペジオをイントロに持つ、新旧L'Arc〜en〜Cielの架け橋となった『虹』の間です。

L'Arc〜en〜Cielの持つポップさと妖艶さを見事に表現した両極端な曲に挟まれた『Shout at the Devil』

この曲は、この頃のL'Arc〜en〜Cielが持つ、洋楽テイストなロックな部分を見事に表現しています。

ポップでキャッチーな『winter fall』からロックな『Shout at the Devil』で色を変え、『虹』へとつなぐ。

アルバムとしてとても練られており、秀逸な流れの曲順になっていることがお分かりいただけるかと思います。

ライブでは『Mötley Crüe』のオマージュも

ライブでも頻繁に演奏されるアンセム的な楽曲である『Shout at the Devil』

CD音源では、勢いのあるスネアドラムに続いてボーカルのカウントで曲がスタートします。

しかし、ライブではこのスネアドラムの前に、さらに異なったイントロがつくのをご存知でしょうか?

その、音源とは異なるイントロとは何か。

それが、80年代を代表するアメリカのハードロックバンド『Mötley Crüe』の同名曲のオマージュです。

『Mötley Crüe』が1983年にリリースしたアルバム名、ならびにそこに収録されている楽曲

それが『Shout at the Devil』という名称です。

その、Mötley Crüe版のイントロ、上記動画では開始から30秒までに流れる部分

この部分がL'Arc〜en〜Ciel版『Shout at the Devil』のイントロの前に挿入されるのです。

少しゆったりしたテンポで『Shout!』と繰り返して客席を煽り、ボルテージを上げていきます。

そしてボーカルの『Shout at the Devil!』という叫びとともにスネアドラムのイントロで爆発する。

ライブでは盛り上がる瞬間です。

『Mötley Crüe』のことはL'Arc〜en〜Cielが公式にはコメントしていません。

しかし、洋楽もルーツとしているL'Arc〜en〜Cielで、全く同じフレーズをイントロに持ってきていること。

そして、同じ曲名を掲げたことからも、その影響を受けていることは間違いないと思います。

数10年経った今も影響を与え続ける、『Mötley Crüe』の影響力とはとてつもないものです。

『Shout at the Devil』の世界観

『悪魔』や『神』といった、聖書をベースにした物語で展開する『Shout at the Devil』の世界

hydeさんの歌詞は、聖書をモチーフにした世界が数多く存在しますがこの曲もそのひとつです。

聖書の中身を詳しく知らない人からすると、『神』は完璧な存在で『悪魔』は悪者というイメージ

タイトルの『Shout at the Devil』は、聖書にも登場する言葉です。

意味は、『悪魔』からの誘いを力強い叫びで跳ね除けるようなニュアンスになります。

こう見ると、この曲の主人公である『俺』は『神』であるように受け取れると思いますが…。

実はそうではないのです。

その辺りが一体どうなっているのか?

解説していきたいと思います!

聖書になぞらえた悪魔への咆哮

『俺』と『貴方』

上記でも触れた、『俺』とは誰なのか、という部分。

断片的ですが、この歌詞の中に散りばめられたワードを集めると見えてきます。

あぁもしもこの俺が失敗作なら

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

まずは、1コーラス目のBメロの部分歌詞

ここから、『俺』が何者かに作られた存在であることが見て取れます。

この時点で、全ての創造主である『神』=『俺』ではないことがわかるわけです。

そして次に…

息の根止めておけば
良かったなんて思うだろう あの朝に

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

『神』に作られた存在である『俺』の息の根を止めておけばよかっただろう?

そう言っているので、『俺』は『神』とは相反するもの

つまりは、『俺』=悪しき者である=『悪魔』と読み取れます。

聖書における『悪魔』として有名なのが『堕天使ルシファー』であると推測できます。

その推測は、上記の歌詞に出てくる「あの朝に」からも読み取ることができます。

『堕天使ルシファー』は聖書において「輝くものが天から堕ちた」と比喩されます。 

ここでいう「輝くもの」とは明け方の空に輝く金星。すなわち『明けの明星』を意味しているのです。

このことからも、『俺』=『悪魔・堕天使ルシファー』であるということがわかります。

その力が汚れて見えても

出典: Shout at the Devil/作詞:hyde 作曲:ken

『俺』=『堕天使ルシファー』説を決定付けるのが、上記の歌詞です。

『俺』が「汚れた力」を持っていることがわかります。

『堕天使ルシファー』は、『サタン』とも呼ばれる『悪魔』という扱いですが、堕ちる前。

元々は『大天使』だったのはご存知でしょうか。

その関係から、堕ちたことで「汚れた力」と形容されています。

これらのことから、『俺』=『悪魔』=『堕天使ルシファー』であることがわかるのです。