斉藤和義【君の顔が好きだ】
日本のロックを代表するアーティスト
肩に力が入りすぎていない色気のある佇まいと、歌声。
さらに、飾らないまっすぐな歌詞で人気を博しているアーティスト斉藤和義。
幼い頃から音楽好きだった彼は21歳の頃上京し、1993年に歌手としてデビューしました。
1994年に発表したシングル曲【歩いて帰ろう】で人気が急上昇。
今、世間では知らない人がいないくらいの有名アーティストとして活躍しています。
まさに日本のロックを代表するアーティストといっても過言ではありません。
今回はそんな彼の3rdシングル【君の顔が好きだ】をご紹介します。
斉藤和義の知名度を上げた楽曲
斉藤和義の有名な楽曲【歩いて帰ろう】よりも少し前に発売されたのが、今回ご紹介する【君の顔が好きだ】。
実は、まだデビューしたばかりだった彼の知名度を上げた楽曲なのです。
FM802という大阪を拠点とするラジオチャンネル。
そこで1994年3月中に流れる邦楽の1つとして採用され、関西圏に住む多くの人に知られることになりました。
あまりにもストレートなタイトルで本音を歌った楽曲に惹きつけられた人も多く、大人気に。
またギターのイメージが強い彼ですが、この楽曲ではピアノを弾いています。
公式の動画は出てきませんでしたが、下記のリンクから当時のライブ映像を見ることができます。
今とは違った彼の姿を拝むことができるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
さて、顔が好きと聞くと、内面重視派の人にとっては納得がいかないかもしれません。
しかし、この楽曲はただ単に恋人の見た目が好きだと歌っているわけではないのです。
1994年LIVE日清パワーステーション 28歳!
社会にもまれて疲れた主人公
言葉よりも確かな顔
僕が僕である事を 人に説明する事の無意味さを
君の表情はいつでも教えてくれる
言葉はいつも遠回り空回り
風に乗って消えちまう 形ある物を僕は信じる
出典: 君の顔が好きだ/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
この歌詞の主人公は、社会で生きていくことに少し疲れている人。
男女どちらでも共感できる内容となっているため、ここはあえて性別を指定しません。
人には人生において、「何者であるか」を問われる局面が何度かあります。
分かりやすいところでいえば“就職活動”でしょうか。
自分自身はどこの出身でどんな大学を出て、どんなことができるのか…。
しかし冷静に考えると、ぴったりと自分が何者なのかを表す言葉はどこにもありません。
例えば出身大学はただの“所属”であり、他にもそこに属する人は存在します。
主人公もきっと自分自身を説明することに疲弊しきっているのでしょう。
そんな時に恋人の表情を見ると、心が安らぐのです。
何故なら、顔は言葉よりも確かだから。
ある意味顔や表情はその人の歩んできた人生を表しています。
優しい人は高確率で穏やかな顔をしていることが多いでしょう。
主人公は不確かで無意味な言葉よりも、目の前に確かに存在する恋人の顔が好きなのです。
優しい恋人の胸
安定 計算 それも確かに
大切な事かもしれない
DOWNな夜はそんな事ふと思う
不思議なもんさ
そんな日は君の胸が僕を子供に戻す
その瞬間を僕は信じる
出典: 君の顔が好きだ/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義
ここでまた、主人公が社会に対して疲弊している様子が語られます。
もともと主人公は打算的ではなく自由な性格で、出来れば就職もしたくないのでしょう。
けれど、何だかセンチメンタルな夜には、そんな自分が間違っているのではないか?と感じてしまうのです。
ここにも共感できる人は多いのではないでしょうか。
なかなか、自分は正しいと心から思える強い人間はいません。
時には自分の立っている場所や置かれている状況を省みて、落ち込んでしまう時もあります。
しかし、主人公は幸福にも隣に大好きな恋人がいました。
優しい恋人の胸で眠っていると、本来の自分でいられる気がするのです。
さて、最後の行で主人公は何を信じたいのでしょうか?
それは社会で作られた自分ではなく、恋人の胸で眠る自分が確かだということ。
作り物ではない自分がいることに安心しているのでしょう。
とことん主人公は確かなものが好きなのです。
また、そんな風に感じさせてしまう恋人は外見だけではなく内面も素敵なのでしょうね。
主人公は本当のところ恋人の内面も好きなのではないでしょうか。
唯物論的な考え方
君の顔が好きだ 君の髪が好きだ
性格なんてものは僕の頭で
勝手に作りあげりゃいい
君の肩が好きだ 君の指が好きだ
形あるものを僕は信じる
出典: 君の顔が好きだ/作詞:斉藤和義 作曲:斉藤和義