MONDO GROSSOの14年ぶりの復活
モンド・グロッソ(MONDO GROSSO)は日本の元バンドで、現在は大沢伸一のソロプロジェクト。バンド名はイタリア語で、「大きな世界」という意味。楽曲のジャンルはクラブ・ミュージックが中心。ジャズ、ソウル、ヒップホップ、ボサノヴァ、R&B等、その音楽性の幅はきわめて広く、対照的にハウスやブレイクビーツ、テクノといったデジタル音楽がベースの楽曲も数多い。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/MONDO_GROSSO
2017年突如リリースされた1曲に多くのリスナーがくぎ付けにされました。
その曲は90年代のクラブシーンを体感したアラフィフ世代を通過しゼロ年代の若者まで席巻。
しかもデジタルダウンロード盤と共にリリースされたアナログレコードは早々と店頭から姿を消したのです。
その楽曲は14年ぶりの新作という話題性を差し引いても余りある程の歓迎の下迎えられました。
世界中の人々を虜にしてしまった楽曲の名は「ラビリンス」。
大沢伸一ことMONDO GROSSOの作品です。
MONDO GROSSOは売れっ子DJ&プロデューサー大沢伸一のソロプロジェクト
MONDO GROSSO名義での活動が14年も空いたのは大沢伸一の多忙が原因です。
プロデューサー・DJとして世界各地を旅する毎日。
その間にも多くの楽曲制作・リミックスワークを残しています。
2002年にはFIFAワールドカップ公式アルバムへ日本人として初の参加。
多摩美術大学の特別講義の音楽監修など活動は多岐に渡りました。
近年では音楽配信サービスAWAのCM音楽の制作が記憶に新しいですね。
そんな多忙極める中ついに始動を始めたMONDO GROSSO。
第1弾のリリース作品でありその後の楽曲制作に大きな影響を与えた「ラビリンス」。
今回は「ラビリンス」という楽曲の魅力に迫ってみたいと思います。
ゲストボーカルに女優 満島ひかりを迎えた「ラビリンス」
幅広い音楽性を有するMONDO GROSSOをあえてカテゴライズするならばクラブミュージック。
インストゥルメンタルを主体とするダンスサウンドを追及する一方シンガーの発掘能力にも長けています。
代表的なのが90年代のUAとbirdとの交流&プロデュースワークです。
まだ世間に知られていない隠れた才能を世に送り出してきたMONDO GROSSO。
14年ぶりとなる作品に招いたのはシンガーではなく女優の満島ひかりでした。
満島ひかりの唯一無二の存在感
現在は”演技派女優”としての確固たる地位を築いた満島ひかり。
既知のことですが最初に世に出たのは三浦大知も所属したFolderの一員としてでした。
その後女優に転身するきかっけとなったのが映画「愛のむきだし」への出演。
鬼才園子温監督がテレビドラマの端役として出演していた満島ひかりを外の世界へ連れ出したのです。
「愛のむきだし」という限りなくインディーズに近い映画は2000年代を代表するカルト作品。
そこで見せた剥き出しの演技力と比類なき存在感は多くのクリエイターに刺激を与えました。
その才能に目を付けたのが大沢伸一、といいたいところですが裏話があります。
満島ひかりへのオファーはMONDO GROSSOが所属するavexの担当A&Rの小関氏のアイディアだったのです。
小関氏は制作担当として三浦大知の成功劇をバックアップした人物。
偶然目にした満島ひかりの舞台での圧倒的存在感に魅了されたことから大沢伸一に進言したそうです。
そして後に「ラビリンス」の衝撃的なMVは世界中を魅了することになります。
香港で撮影された「ラビリンス」MVの秘密に迫る
通称「モンスターマンション」を背景に舞う満島ひかり
まずMVをご覧ください。
もっと目をこらして。そう、迷宮に迷い込むように...。
この奇跡のようなMVは全編香港で撮影されています。
舞台は香港島の東北にある鰂魚涌(クォリーベイ)の通称”モンスターマンション”。
「トランスフォーマー/ロストエイジ」など様々な映画のロケ地として使われる有名な場所です。
まるでブロックを積み重ねたような形状の高層住宅は香港映画好きにはお馴染みの光景。
ラビリンス=迷宮をテーマにした楽曲とこれ以上に合致した場所はないのではないでしょうか?
驚異の動画再生数を記録した映像美の秘密とは?
YouTubeでの「ラビリンス」の2018年12月現在の動画再生回数は1600万回以上。
100万回再生を超えたのは投稿からわずか1週間足らずの間でした。
今もコメント欄にはリアルタイムで世界各国から称賛の声が書き込まれ続けてています。
その内容は「Amazing!」「Her dance is so free and pretty」など。
中には「アニメ攻殻機動隊の世界のよう」という書き込みも混じっています。
MVをご覧になって最初に感じたことはその幻想的な色彩感覚ではないでしょうか。
薄暗いブルーの光の中に浮かび上がる1点の赤=満島ひかり。
近年鬼才ニコラス・ウィンディング・レフン監督が「Drive」という作品でこの色調を再現しています。
綿密に計算された赤と青のカラーコーディネート。
さらに雨上がりのように青く濡れそぼった路上にも注目してみましょう。
撮影当日、前夜に降った雨が朝方に偶然止んだことで”濡れた路上”という奇跡の舞台が用意されたのです。
青い光はまやかしの迷路、そして赤く染まった満島ひかりは異世界への案内人。
ロケハンに4日間を費やし周到に準備されたという舞台装置は今や聖地巡礼スポットにもなっています。