「ラ・ラ・ランド」の振付師との奇跡の邂逅

MONDO GROSSO「ラビリンス」のMVが必見な理由とは?!満島ひかりの歌&ダンスに惹き込まれるの画像

次に目を奪われるのが満島ひかりの華麗なダンスです。

実はこのダンスの陰にはある重要人物がからんでいます。

それがジリアン・メイヤーズ

映画「ラ・ラ・ランド」に出演し華麗な振り付けも担当した人物です。

ワークショップでたまたま中国に滞在していたジリアンをスタッフが確保。

たった2日間であの華麗な振り付けの基礎を作り出したといわれています。

またジリアンは振り付けのみならずカメラワークのアイディアも提供。

このような偶然の糸が絡まり合うことで奇跡のような撮影が敢行されたのです。

魔法のような1カメラ1ショット撮影の謎

次に驚かされるのがワンカメラ・ワンシーンの魔法のような撮影手法です。

自由奔放に動き回る満島ひかりを捉えるカメラはたった1台。

そして途切れることのない長回しのワンショット撮影

通常の映像作品は数秒に1度の割合で撮影された映像を編集し制作されます。

長回し撮影は演者・カメラマン・その他舞台装置の動きまで1分の隙なく構成されないと成立しないもの。

1分の長回し映像を撮影するだけでも想定外の緊張を強いられるといわれています。

「ラビリンス」のMVの収録時間は5分15秒。はたしてそのような撮影が可能なのでしょうか?

「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」との類似性

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』日本版予告編

おそらく映画「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」に似た技法を用いたと思われます。

2時間の映像を1カットで撮影したかのようなカメラワークで有名な作品です。

緻密な撮影と編集技術で構成された世界観が認められアカデミー賞4部門を制覇しています。

「ラビリンス」のMVは「バードマン」にインスパイアされた撮影手法を用いたのではないでしょうか?

MVの序盤、満島ひかりがタイ料理店に入ります。

奥の部屋に入ると壁をすり抜け隣の店舗に移動するのです

筆者も初見はワンカットで撮影したのか?と驚愕しました。

しかし冷静に考えれば壁はすり抜けられません。

筆者の目視では3回はカットが切り替わっているだろう箇所を確認できました。

仮にそうだとしても2分近くの長回し撮影を数テイク行っていることになります。

満島ひかりの香港滞在はスケジュールの都合でわずか半日しか取れなかったそうです

カメラテスト、リハーサル、衣装合わせを含めるとほぼ一発撮りでないと間に合いそうにありません。

おそらく世界中の映像クリエイターの間で「ラビリンス」の撮影方法について議論になったことでしょう。

満島ひかりの圧倒的存在感

MONDO GROSSO「ラビリンス」のMVが必見な理由とは?!満島ひかりの歌&ダンスに惹き込まれるの画像

非常にタイトなスケジュールで撮影された「ラビリンス」のMV。

ロケハンはわずか4日間、満島ひかりの滞在に至っては半日しかありません。

緻密な計画と様々な奇跡が絡まり合うことで実現したのでしょう。

しかしもっとも注目すべきポイントは満島ひかりの圧倒的存在感です。

演技派女優という形容詞で呼ばれることの多い彼女。

演技力・歌唱力・パフォーマンス力全てを備えているという意味では同意見です。

しかし演技と呼ぶだけでは形容できない存在感はどこから出てくるのでしょう?

「愛のむきだし」以来彼女の姿から目を離すことできなくなりました。

ただそこにいるだけで世界を塗り替えてしまうような存在感は魔法としか形容できません。

MONDO GROSSOアルバム「何度でも新しく生まれる」は全曲日本語詞をコンセプトにした作品です。

そのコンセプトは全て「ラビリンス」がきっかけだと大沢伸一は語っています。

「ラビリンス」のMVで彼女が担うのは大沢伸一が迷い込んだ深い迷路への案内人です。

見た人全てを異世界へと誘うような「ラビリンス」のMV

みなさんも是非堪能してみてください。

楽曲制作のプロセス

作詞はスカパラの谷中敦

MONDO GROSSO「ラビリンス」のMVが必見な理由とは?!満島ひかりの歌&ダンスに惹き込まれるの画像

引きこまれて
迷宮のパラダイス
出口もなく 終わりもなく
包まれていたいの

見つめないで 哀しい方を
目を瞑って 口づけしよう
甘く溶けるメロディー

出典: ラビリンス/作詞:Atsushi Yanaka 作曲:Shinichi Osawa

MONDO GROSSO名義での活動を決めた大沢伸一は1年間迷走に入ったといわれています。

長い葛藤の末生まれた「ラビリンス」という楽曲は当初ボーカリスト未定だったそうです。

ただしトラックの骨子ができた時点で作詞を谷中敦に託そうと決めました。

東京スカパラダイスオーケストラのバリトンサックス奏者の伊達男こと谷中敦です

スカパラとMONDO GROSSO?意外性がありますね。

実は2人は同じ時代のクラブカルチャーを過ごした旧知の仲。

そしてスカパラのボーカル作品全ての作詞を手掛けるのが谷中敦です。

”女性が歌う”という情報とトラックのみを聴きこの美しいフレーズを作り出したのです。

満島ひかりが”もっとも歌っていない”テイクを採用?

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レコーディングに際しても非常にユニークな手法が取られたという「ラビリンス」。

数テイク歌入れをした時点で選ばれたのは満島ひかりが”もっとも歌っていない”テイクでした。

”自宅で鼻歌を歌うように”指示された彼女は椅子の上で胡坐をかいて歌ったそうです

あまりにリラックスしすぎたせいでリズムを外したというパートもそのまま収録されています。

名曲が誕生するプロセスにはこのようなエピソードが隠れているのですね。