SUSHIBOYSの第一印象
「シブヤノオト」で彼らを知った
SUSHIBOYS?なんじゃそりゃ?今をときめく若いもんがベタなネーミングでいいの?
九ちゃん(坂本九)の「SUKIYAKI(上を向いて歩こう)」じゃあるまいし。Japanese Stereotypeを押し出してビルボート1位でも狙ってんの?
以上、ぼくが初めて彼らの名前を知ったときのファーストインプレッションです。
ネットが主体のこのご時世で、いまだに公共放送を主たる情報源とするぼくは、日本放送協会略してNHKの「シブヤノオト」で初めて彼らを知りました。ながら視聴というやつですね。
埼玉の田舎の普通の青年!
で、SUSHIBOYSの紹介VTRを聞くともなく聞き流していて、引っかかるつもりはないのに引っかかってしまいました。
メンバーは3人。3人ともに埼玉県民。埼玉の片田舎在住で、しかもまじめな農家だなんて!
ぼくが勝手に想像するヒップホップを逸脱しています。ラッパーというよりフォークシンガーの来歴ですよ。
どことなく懐かしい感慨を覚えたのはぼくだけでしょうか?ぼくがアラフォーだからでしょうか?
農家ってすばらしい!
これもぼくの勝手な先入観ですが、「農家やお百姓さんに悪人はいない!」と思っています。
ぼくたちの食卓を支える大切なお仕事をなさってますし、お天道様と向き合わなければ務まりませんし。働き口なんてよりどりみどりの若い子が、不安定な収入覚悟でよくやるよと。
農に従事する若者たちの健康的なイメージは、いかにも不健康そうなヒップホッパーの対極に位置します。
あの映画とのつながりは?
SUSHIBOYSの経歴を知ってホッとした理由は他にもあります。
「埼玉のラッパー」といえば、その名もズバリ「サイタマノラッパー」!あの映画と同じじゃないか!
主役はイケメンでもアイドルでもありません。決して器用ではない埼玉の普通の若者が、他愛もない日常を題材にrhymeを刻む、ドキュメンタリータッチの映画。
シリーズは全部で三作。中でも第一作のメンバーの一人は、なんとブロッコリー農家の青年!リリックは「ブロ、ブロ、ブロブロブロ…」ってエンジン音じゃねーんだからさ!
三作通じてみんな歳は二十歳前後で、お世辞にもカッコよくはなく、どちらかといえば痛々しい。SUSHIBOYSによく似ていると思いませんか?
直接的な影響を受けたかどうかはわかりません。それでもぼくの好奇心をかき立てるには十分でした。
埼玉大好きSUSHIBOYS
「軽自動車」に彼らの本質を見た
そりゃまあ、「サイタマノラッパー」のSHO-GUNGよりは、SUSHIBOYSのほうがセンスはいいし、洗練されてると思います。
たとえばこの「軽自動車」(1stアルバム「NIGIRI」収録)。さわやかなイントロでエサを撒いといて、直後のフック(サビ)がこれですから。だまし討ちもいいとこですよ。
軽自動でGO MY WAY
軽自動でGO MY WAY
軽自動でGO MY WAY
軽自動でGO MY WAY
出典: 軽自動車/作詞:SUSHIBOYS 作曲:SUSHIBOYS
このフックだって聴いた印象はさわやかですが、字面だけ眺めたらベタといえばベタですし、ダサいと思う人にはきっとダサいんでしょう。
だけどそのすぐあとの「自分はこうである宣言」がまことに気持ちよくて潔いのです。ラッパーがこんなことサラッと言えます?
軽自動で go my way.
俺が農家 Def Fだ arm.
出典: 軽自動車/作詞:SUSHIBOYS 作曲:SUSHIBOYS