また⾏こうか皆で 例の所へ
夏の遠出 海の⽅へ
男⼥3対3 案外さ
何あるかなんてわかんないさ

出典: 男⼥6⼈夏物語/作詞:ケツメイシ 作曲:ケツメイシ

仲のいい6人がいつも通り集まり、「いつものところに行こう」と言っています。

「また」と言っているくらいなので、お気に入りの海があるのかもしれません。

誰かの一言で集まれるような気心の知れた仲間たちなのでしょう。

ここで何かを匂わせるフレーズが出てきます。

「男女6人が集まれば何もない方がおかしいよね」と言わんばかりの一言を誰かが発しました。

普段のノリで言ったと他の5人は思ったかもしれません。

でも「主役と思わしき自分」だけ何かのスイッチが入ったと感じるのは次の歌詞を見れば明白です。

意中の「君」を手に入れたい!

⾞の席は 前後乗り分け
真後ろ君さ 天の追い⾵
たった⼀⼈妖精 その他⼤勢
どうせ本命は俺のようで

出典: 男⼥6⼈夏物語/作詞:ケツメイシ 作曲:ケツメイシ

3人の中で狙っている人がいるのでしょう。

ここで腹黒さが見え隠れしてきました。

狙っている「君」への自信に満ちあふれているのは、確信できる何かがあるのでしょう。

「どうせ」を使っているところが「もう付き合っているも同然」という自意識過剰ぶりが表れています。

海に向かう道中は目の前に映る景色ではなく「君」しか映っていません。

しかも「君」は真後ろにいるので「想像の中の君」で頭の中はいっぱいになっています。

まるで気持ちだけ「追い越し車線」を走り、アクセルを踏むほど気持ちだけスピードに乗っていくようです。

バイクであれば「風を切って走っているような気持ち良さ」を味わっている心境ではないでしょうか。

まさに恋愛の神様が味方しているという自信を身にまとっているといえるでしょう。

果たして恋愛の神様は微笑んでくれるのでしょうか?

スピード違反で切符を切られないことを祈りながら歌詞を見ていきましょう。

「君」のことばかり

浜辺に着いて まずは乾杯
ビキニの君に 俺たまんない
さあ ビーチバレー バーベキュー
騒げ 真夏のパーティー
ひとしきり イキリ⽴った祭りの後
そろそろ 君と過ごす時かも

出典: 男⼥6⼈夏物語/作詞:ケツメイシ 作曲:ケツメイシ

ようやく海に到着して至福のひと時を味わいます。

気持ちにやっと追いついた現実を置き去りにするかのように、妄想はさらにエスカレートしていきます。

浜辺でビーチバレーやバーベキューをしていても「君」のビキニ以外見えないのでしょう。

日も沈んできてパーティーにも拍車がかかり、お酒だけではなく「君」にも泥酔してきました。

妄想もお腹も風船が割れそうなほど膨らんできたところで「そろそろだ」と我に返ります。

裏切られた妄想

⾒ると奴と君との距離がおかしい
傍に来ないまま ⼣⽇染まり

出典: 男⼥6⼈夏物語/作詞:ケツメイシ 作曲:ケツメイシ

我に返ったと同時に異変に気づきます。

「君」は「自分」のことではなく「その他大勢のうちの一人」が好きでした。

ここで嫌な予感が的中します。

「気持ち良さ」に夢中になり、周りが見えていなかったといえるでしょう。

「自分」が主人公になるはずの「夏物語」は日の目を見ないまま「打ち切り」となってしまいます。

予想外の展開

君には俺しかいないから
まあ いつでもいい ここ来たいなら
出会い別れ その主役は誰?
綴ってく 『夏物語』の中で…

出典: 男⼥6⼈夏物語/作詞:ケツメイシ 作曲:ケツメイシ

自分という「主役」がバッドエンドを迎えるシナリオなんて用意していませんでした。

しかも「主役」が自己陶酔した挙句、脇役を引き立てるという汚点を残すストーリーだけは避けたいところです。

そして「その他大勢」というエキストラまで集めた自分だけの「夏物語」を終わらせるわけにはいきません。

「主演自分、監督自分、ハッピーエンド」という枠組みだけは意地でも残したいという執念を感じます。

ハッピーエンド?