では、主人公がいう「悪いこと」とはどんなことなのでしょうか。

それは、「自由に生きること」です。

主人公は「いい子」でいることを求められているのかもしれません。

だから自分の好きなことができず、いろんなことを我慢しているのでしょう。

夜遅くまでゲームをやったり、「勉強なんて嫌いだ」と言いたいのかもしれません。

「君」にズルを勧めるのも、そんな自分の人生に嫌気がさしているからです。

もっと気楽に、自由にいこうよ。そんなことを言いたいのでしょう。

みんな裏の顔を持っている

殴りながらFUCKなんて 最高にROCKじゃん?
行儀よく愛し合って HなんてSUCKじゃん↓
誰も彼もニコニコって 皆みんなFAKEじゃん。
知らないって? 知れば分かる It’s A Whole World


殺しながらFUCKなんて 最高にDOPEじゃん?
煙なんて吸っちゃって 最低のNUTじゃん↓
君のママもBEDでは 所詮ただのBITCHじゃん?
知らないって? 知れば分かる It’s A Whole World

出典: It's A Whole World/作詞:そーいち 作曲:そーいち

サビの歌詞にはスラング表現が使われており、さらに過激な内容となっています。

この歌詞では、みんな裏の顔を持っているということを伝えたいのでしょう。

いつもニコニコと優しい母親。しかしそれは子供に見せるための母親の顔なのです。

子供がいない場面では、女の顔に戻ることもあります。

しかしそれらを「知らない」のひと言で片づけたら、ダメなのです。

この世界は見えているものだけがすべてじゃない。

僕だっていい子のふりをしているだけなんだよ。

この歌詞にはそんなメッセージが込められていると考えることができます。

「君」の正体

この楽曲全体を通して、主人公は「君」のことを馬鹿にしている様子が伝わってきます。

主人公はなぜ、「君」のことを馬鹿にしているのでしょうか。

また、「君」は誰なのかも気になります。

つまらないのは「君」のせいだ

君のせいだよ
つまらないのは
君のせいだ 君のせいだ 君のせいだよ
笑えないよね
君のせいでね
笑えないよ 笑えないよ 皆々みんな

出典: It's A Whole World/作詞:そーいち 作曲:そーいち

この歌詞では、つまらない原因は「君」のせいだと断言しています。

「君」のせいで、周りも笑えないという主人公。

どうしてそこまで、「君」のことを馬鹿にしているのでしょうか。

みんなと同じ平凡な人生を望んでいる「君」。

人にはそれぞれいろんな顔があるのに、それを知ろうともしていません。

相手の裏の顔を知るのが怖いからでしょう。自分が見たもの、感じたことだけを信じていたいのです。

そんな「君」がいるから、人生がつまらなくなると主人公は考えているのではないでしょうか。

もう1人の自分

主人公に馬鹿にされている「君」。その正体は、もう1人の自分だと考えることができます。

猫を被り、いい子にしている自分のことを「君」といっているのです。

流行のドラマにもギャクにも興味がない本当の自分。

しかし周りから孤立することを恐れ、無理して合わせているのです。

「いい子」でいることを求める大人だって、裏では何をしているのか分かりません。

しかし「いい子」でいるために、知らないふりをします。

そんな自分に、主人公自身も嫌気がさしているのでしょう。

だから、「君」のせいで人生がつまらないと言ったのです。

「いい子」でいないといけない理由

主人公はなぜ、「いい子」でいないといけないのでしょうか?

最後に、その理由を考えていきたいと思います。

変われない自分

バレないで悪いこと
もっともっと したいな
つまらない 日常も
面白くデコるよ
笑えない 下らない
価値の無い 君でさえ
これだけ飾れば100点だ
いや 君だけやっぱり 0点 だw
m9(д)ザマァ

出典: It's A Whole World/作詞:そーいち 作曲:そーいち

先ほども述べましたが、主人公にとっての悪いことは自由に生きることです。

自由に生きることができれば、つまらない日常も楽しくなると感じている主人公。

価値がないと思っていたもう1人の自分も変わることができると思っているはずです。

しかし歌詞の8行目では、「0点」というワードがあります。

変われると思っていたのに、なぜ否定しているのでしょうか?

それは、主人公が諦めているからだと考えることができます。

自由を手にしても、自分は変わることはできないと思っているのです。

自由に生きたいと思っていても、「いい子」から「悪い子」へ評価が変わるのを恐れているのかもしれません。