『蕩ける』はとろけると読みます。
椎名林檎もやはり『秘密』というのは『恋』のことであるとここでは歌っていますね。
手元からとろりと零れ出してしまうような、秘めやかで密やかな想い。
自分の想いが届くはずのない殿方や、あるいは殿方という括りには入らないお相手かもしれません。
女性の方はそんな密やかな想いを抱えた経験も、きっと一度や二度はあることでしょう。
主に成り果てて噂立ったら堪んない
自分を化かし通し首尾よく諦めたい
出典: 公然の秘密/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
『主』という言葉はここではあるじと読まれています。
うっかりすると手元から溢れてしまいそうな秘密の恋。
しかし、自分が隠していると思っていた秘密が、もし他者からはまったく秘密でなかったとしたら…。
想像しただけで、大変に恥ずかしい思いをすることになりますよね。
ですので、きっと多くの人がその密やかな想いを隠そうと他人に嘘をついたりしたことがあるかと思います。
もしかしたら、秘めた想いが顕在化することを恐れるあまり、自分に嘘をついた方もいるかもしれません。
秘められた想い、その行方は…?
眼は逸らしたってばればれ…悔いを
残すラストノート ああスパイシーね
もどかしいシナモン ほろ苦いのよ
騙し騙され未来はどうなっちゃうの
罰は受けるハッピーエンドをお願い
出典: 公然の秘密/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
『ラストノート』とは先ほどお話した、香水の移りゆく香りの中の最後の香りのことを指す言葉です。
多くの人が経験済みかもしれませんが、秘密の恋はいつか必ずばれてしまうもの。
そしてその秘密の恋が公になった時…秘密は悔いの残る思い出となった方もきっといることでしょう。
さながら香水の、ちょっぴりスパイシーで苦みのあるシナモンのラストノートのように。
けれど時にはそんな秘密の恋が、ハッピーエンドで終わりを迎えることだってもちろんあります。
辛いことがもしあったとしても、この秘密の恋に幸せな結末を迎えたいと望む人の方がもちろん多いでしょう。
しかしどちらの結末に転ぶのか…それこそまさに神のみぞ知る秘密、といったところでしょうか。
終わる事のない、甘美でキケンな秘密のループ
頭まで微熱持ってめろめろ…ジゴロ
憖そそらないで存在さえもう罪深い
チョコレート 芳しいのよ厭だ厭だ
見付かんないで誰にも…フェロモン
遍く振り撒いて皆を誘き寄せないで
いつも見張り続けて独り占めしたい
出典: 公然の秘密/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
『ジゴロ』とは元々フランス語で、天然で無自覚な人たらしを表す言葉です。
「この人もしかして自分に気があるのかも…?」と、多くの人に悪意なく思わせぶりな行動をする人のことですね。
非常に多くの人に好かれるいわゆる愛されキャラな人、皆さんの身の回りにもきっと何人かいることでしょう。
この中には、いわゆるこのジゴロな人もいることが結構多いのではないでしょうか。
『憖』はなまじと読み、中途半端に〇〇しないで欲しい、という意味を持って使われる言葉です。
『芳しい』はかぐわしい、『厭だ』はいやだ。
『遍く』はあまねく、『誘き寄せる』はおびきよせると読みますね。
『遍く』はひろく、すべてにわたって、というニュアンスの言葉となります。
秘めた想いを寄せる人が、幸か不幸かジゴロな人だった時。
自分への言動に幸せになる瞬間も確かに多いでしょうが、その素振りは自分だけへのものではありません。
自分以外の人にそんな素振りは止めて欲しい、けれどそんなあの人だからこそ魅力的。
まるで大勢を惹きつける秘密そのものや、甘くて美味しそうな香りに惹かれるように。
ジゴロな人には、同じように多くの人がその魅力に虜になるのです。
そんな彼に対して秘密の恋を抱えてしまった人も、きっとその1人。
秘めた想いに、甘美でキケンな香りに、そしてジゴロなあの人に。
魅了され狂わされ続けるというループは、きっといつまでも終わることはないのです。
楽曲の世界観を彩る映像もチェック!
キケンな香り漂う…MVはこちら!
歌詞の世界観をしっかりとお楽しみ頂けましたでしょうか?
最後により楽曲の世界観を知って頂くために、楽曲のMVについても少し触れておきたいと思います。
MVに映るのは、廃工場のような建物の中、煌くネオンを身に纏ってパフォーマンスを披露する椎名林檎。
大人っぽいフリルのついた可愛らしい警官姿にときめいた殿方も多いのではないでしょうか。
後ろに従えている演奏陣は、ファンにはお馴染みのバックバンド『MANGARAMA』のメンバーですね。
楽曲の携えるキケンな香りや遊び心のある色気感たっぷりの映像となっています。
椎名林檎の従える『darkside police』のダンスが話題に!
また、この映像が話題になったのは彼女の従えるバックダンサー2人のキレキレのダンスも理由の1つ。
『darkside police』と呼ばれるこの2人は、AYA SATOと東京ゲゲゲイのMIKEY。
両名とも非常にパフォーマンス力に優れたダンサーとして有名な方ですね。
実はこのMV公開当時、あまりの反響の多さに急遽YouTubeにアップされたのがこちらのダンス教則ビデオ。
ダンサー陣からは「ぜひ踊ってみてね!」とのコメントも寄せられていたのですが…。
ご覧頂くとお分かりの通り、コメントの気軽さに反してなかなかの難易度のダンスとなっています。
ダンス経験に自信のある方は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。