「ベンチとコーヒー」は藤原基央からメンバーへの誕生日プレゼント!

【BUMP OF CHICKEN/ベンチとコーヒー】歌詞の意味を解説!メンバーへのプレゼント曲!?の画像

とある何気ない1日を朝から夕方まで描き、その中での心の移り変わりを描いた「ベンチとコーヒー」。

実はこの曲は、ボーカルの藤原基央からベースの直井由文への誕生日プレゼントとして書かれたものです。

BUMP藤原基央から、誕生日に曲のプレゼント。

なんともうらやましい、贅沢なサイドストーリーですね。

「ベンチとコーヒー」は2002年に発売されたメジャー1枚目のアルバム「jupiter」に収録されています。

「jupiter」はBUMP OF CHICKENの代名詞的名曲「天体観測」が収録されているアルバムです。

全面に大きく木星がプリントされたCDジャケットを見たことがあるという方も多いではないでしょうか?

ちなみに、このアルバム「jupiter」には「ベンチとコーヒー」以外にも誰かへのお祝いや記念に書かれた曲が多く収録されています。

作詞作曲を手掛ける藤原基央は一見クールな印象ですが、人間味溢れる内面が垣間見えます。

大ヒットしたアルバム「jupiter」の中で「天体観測」など華々しい大ヒット曲に囲まれた「ベンチとコーヒー」。

何気ない日常の一コマを切り取った、癒しの一曲となっています。

しかし、そこは流石BUMP OF CHICKEN。ただの癒しでは終わりません。

メンバー同士の絆から生まれた隠れた名曲「ベンチとコーヒー」を徹底解釈していきます。

ベンチでコーヒーを飲む1日の始まり

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昇る朝日への感動

青いベンチに座って あったかいコーヒー飲みました
これから昇る太陽が 東の空を染めました

それはもう 嘘みたいに キレイで驚いたなぁ

出典: ベンチとコーヒー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「ベンチとコーヒー」は藤原基央が実際に体験した1日を曲にしたものです。

この物語の主人公はこの曲を書いている藤原基央その人ということになります。

1日の物語の始まりの朝がやってきました。

おそらくどこかの公園の中にある青いベンチでコーヒーを飲む主人公。

「これから昇る太陽」という部分から、まだ日が昇っていない早朝ということが分かります。

ホットコーヒーを飲んでいるということは、寒い季節なのでしょう。

昇り始めた太陽が空をオレンジ色に染めてゆく光景に心奪われる主人公。

藤原基央の純粋無垢な心がさりげなく顔を出します。

きっと今日の天気は晴れ。気持ちのいい1日のスタートです。

街を行く人に重ねる自分自身

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まるで自分のようなサラリーマン

駅へ急ぐスーツの人 Yシャツの襟が立っていて
それに気付いて直す時 辺りをキョロキョロ伺って

まるで 自分を見る様で もどかしくて まいるなぁ

出典: ベンチとコーヒー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

日が昇り切り、本格的な朝を向かえました。

時刻はちょうど通勤の時間帯。

主人公は駅に向かう人の群れの中にYシャツの襟が立っている男性を見つけました。

おそらく急いで身支度をして、鏡を見る時間もなく家を飛び出してきたのでしょう。

その人は自分の襟が立っていることに気付き、周りを気にしながらさりげなく襟を正します。

まるでその場面を実際に見たかのようなリアルな描写ですね。

全く同じでなくても、同じような経験がある方は少なくないのではないでしょうか?

主人公も、この光景に自分と重なる部分があるようで、もどかしさを感じつつ穏やかに眺めています。

素直じゃない自分

格好つけて 強がって 理屈ばかりの俺です
無駄に焦って 取り繕って それすら認めません

あの人が 会社に間に合いますように

出典: ベンチとコーヒー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

そそくさと襟を直したサラリーマンを、自分と重ねた「俺」。

自分の失敗が人に知られないように格好つけて、強がってしまう。

焦ってその場を取り繕って、なかったことにする。

そんな普段の自分を、あのサラリーマンを見て思い出しました。

まるで自分を見ているかのようなその人が、会社に間に合うようにと願います。

そこには自分を励ます気持ちも含まれているのでしょう。

人目を気にする自意識過剰な自分

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シャドーボクシングする人 ジグザグに並木を往復
一心不乱のその目は 汗など気にしない模様

かたや自分はこのザマで 情けなくて まいるなぁ

格好つけて 強がって 言い訳くさい俺です
無駄に悟った フリばっかりで 知る努力もしません

出典: ベンチとコーヒー/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

通勤ラッシュを過ぎて、静寂を取り戻した街。

静かで穏やかな日差しが降り注ぐ冬の昼間です。

ボクシングのトレーニングをする人が公園の並木をジグザグに走っています。

並木道を往復するその人は、流れる汗も人目も気にせず一心不乱に体を鍛えます。

その人と自分を比べて情けなくなってきてしまった「俺」。

自分はそのボクサーと対照的に、格好つけて強がって、言い訳ばかりしているように感じています。

それを悟ったような振りでごまかして、本当の事を知る努力もしない。

街で過ごすどの人を見ても「まいるなぁ」と気弱な「俺」。

数々の大ヒット曲を生み出すトップアーティスト藤原基央の素顔が見え隠れします。

そしてその素顔は、長年支えあってきて気心を知り尽くした直井に向けた曲だからこそ表現できたものなのでしょう