夏の星はとても瞬いて 君のはしゃぐ様子が嬉しくて
もっと好きと伝えたかったけれど 言葉にも出来ないまま
夏の音はとても儚くて 君を思い出すから切なくて
きっといつか君の哀しみを 全て背負うそれが僕の夢だった

あの頃・・・

出典: 夏音/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

夏の空を見ると、はしゃいでいた君を思い出すから切なくなります。好きという気持ちを言えずに、胸の奥にしまい込んでしまったのですね。

それでも、いつかは彼女の哀しみを全部背負いたかった。つまりそれは、同じ人生を生きたかったと言うことでしょう。しかし、それは過去になってしまいます。

別れの予感

君は瞳を閉じて 唇を震わせた
ずっと忘れないでと 言ったような気がした

月は顔を隠して 闇の深さを増す
見上げた星が今 人知れずに消えた

出典: 夏音/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

二番では唇を震わせて彼女が何かを言います。本当は何も言っていないのかも知れませんが、その唇が「ずっと忘れないで」と言ったように感じられるところが気になります。

つまりそれは、別れの予感を感じていたということではないでしょうか?「言ったような気がした」ほどの小さな声、またはかすかな唇の動きも気になります。

もしかすると、彼女は長く生きられない人だったのかも知れません。そうした儚さが、歌詞のあちらこちらから感じられます。

遠い思い出になっていく「君」

時はきっと 僕の中の 引き出しから君をさらって
あの温もり あの優しさ あのときめき行かないで どうか行かないで

出典: 夏音/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

「僕の中の引き出し」というのは、彼女との思い出でしょう。大切な思い出の中から、「君」だけが溢れ出して、温もりや記憶が遠くへ行ってしまう……。

それが悲しくて、「どうか行かないで」と言っているのでしょう。とても切ない歌詞です。時の流れの残酷さも伝わってきますね。

夢中で駆けた 二人のページから 君の思い出ばかり溢れ出て
そっとそっと扉を開ければ あの日あの時と同じで
夏の空は今日も青空で 君を思い出すから嫌いで
一人読んだ最後のページには『精一杯生きた証の様な恋でした』

僕の恋はずっとそのままで一人大人になるのが寂しくて

出典: 夏音/作詞:TAKURO 作曲:TAKURO

ラストのサビでは、夢中で駆け抜けるように過ごした二人の大切な日々が、少しずつ遠くなっていきます。固く閉ざしてきた思い出の扉を開ければ、そこには今も鮮やかに「君」の記憶がある。

きっと彼女との別れが夏だったのでしょう。夏が来ると大切なその人のことを思い出してしまうから、夏が嫌いだった……。

それでも二人が夢中でした恋は、彼女にとっては『精一杯生きた証のような恋』だったのです。

「最後のページ」というのは、心の中にある思い出のページ(つまり彼女の最期の言葉)なのか、日記やアルバムなのか分かりませんが、きっと怖くて開けなかったページなのでしょう。

そこには、一番大切な言葉が刻まれていたのですね。しかし、「君」がいない世界で、一人大人になるのが寂しいと泣いているのでしょう。

最後まで前を向かない歌

恋の歌には、なかなか前を向けないものが多いですが、展開していくと共に、徐々に気持ちが前向きになり、最後には未来に向かって歩んでいけるような曲が多い気がします。

後ろを向いたままの曲というのは、聞いていてとても辛いですしね。しかし「夏音」は、最後まで前を向きません。

「一人大人になるのが寂しくて」と、彼女のいない世界を嘆いているようです。しかし、だからこそ痛々しいほどの純粋な愛だったと伝わってきますね。

透明感があり、胸に突き刺さる歌詞が非常に秀逸です。涙なしには聴けません。

切なくも美しいPV

夏音(GLAY)の泣ける歌詞の意味を解釈!秘められたエピソードに涙が止まらない…。PV&コードも!の画像

では、いよいよ「夏音」のPVをご紹介します。ジャケット同様、まさに影絵の世界です。主人公の男の子も女の子も顔はなく、ただシルエットのみで描かれています。

セリフもなく、まるで影絵の紙芝居を見ているような感覚になります。言葉や表情がないからこそ、歌詞の切なさが響きますね。

最後まで見ると、二人の恋の行方に涙が止まりません……。ぜひ、確認してみてください。

「夏音」のPVは、まず男の子が一人でいるところから始まります。草を描き分け、肉食獣のようなものが住む場所を突き進んでいきます。

舟に乗り、男の子は一心にどこかを目指しているようです。

一方で、お城のようなところに閉じ込められた女の子は、誰かを待つように一人で外に立っています。そこへ、鳥に乗った男の子が現れ、二人は手を取り合ってお城から逃げ出します。

女の子はお城に囚われていたのでしょうか。互いに想い合っていることだけはしっかりと伝わってきます。

引き裂かれた二人

しかし、二人が乗った鳥を、ドラゴンのようなものが追いかけてきます。ドラゴンが火を噴くと、世界は一変。不思議な力で、二人は徐々に離れていきます。

必死に女の子を捕まえようとしますが、二人の手は徐々に離れ、やがて女の子は男の子から引き離されてしまいます。

最後は離ればなれに