「灯篭流し」とは異なります

まず最初にお伝えしておくと、「精霊流し」は「灯篭流し」とは別物です。

両者ともお盆の行事であり混同されがちなようですが、鎮魂のために灯篭やお供え物を川や海にそっと流すというのが「灯篭流し」です。

一方「精霊流し」は、かなりド派手な演出があるお祭りのような賑やかなイベントです。

爆竹まで鳴る騒がしさ

毎年8月15日の夕暮れどきから町内に響き出す「チャンコンチャンコン」という鐘の音や「ドーイドーイ」という掛け声で始まる「精霊流し」。

主役は何と言っても精霊船と呼ばれる山車のような乗り物。

きらびやかに飾られたこの精霊船に故人の霊を乗せて陸上を曳き、初盆を迎えた故人の家族たちが町中を練り歩いて極楽浄土へ送り出すというものです。

精霊流しの最中には大量の爆竹がバンバンと物凄い音量で鳴り響くので、見物客の中には耳栓必須だという人も。

故人が寂しくないように旅立たせてあげよう、という想いがあるのかもしれませんね。

曲のイメージとのギャップに驚く人も多い

長崎出身のさだまさしの「精霊流し」で広く知られるようになったわけですが、実際に見物に訪れた観光客の中には、曲のしめやかなイメージとかけ離れた騒がしさに驚く人も少なくないのだとか。

ただ、曲の中にも「精霊流しが華やかに始まるのです」というフレーズがありますね。

またアルバム「わすれもの」に収録されたバージョンでは、イントロ前及びアウトロ部分に、実際の精霊流しの雰囲気が伝わるかのような爆竹や鉦鼓の音などが挿入されているんですよ。

でも歌詞がしっとりと切ない雰囲気なので、やはり静かな空気を想像してしまうのかもしれませんね。

最後に

さだまさしの不朽の名曲「精霊流し」について考えてみましたが、いかがだったでしょうか。

2010年には彼自身が、前年に亡くなった父親のために精霊船を出しています。

また日本人が忘れてはならない、1945年(昭和20年)8月9日の長崎市への原子爆弾投下。

このとき被爆された人たちが数日後に迫っていた精霊流しに思いを馳せ、自分が死んだときには誰が精霊船を出してくれるのだろう、と憂いながら亡くなっていったという話を、さだ本人が伝え聞いたこともあるそうです。

長崎の人たちの特別な想いが込められた「精霊流し」、あらためて聴いてみると心に迫るものがあります。