ずっと走り続けてきたバンド

ある一時期を除けば完璧

30年間も一緒に音楽活動をしていれば、もちろんどんなに気を許し合った仲間であっても、意見の食い違いや価値観の相違が出てくるのは避けられないのではないかと思います。

しかし、BUCK-TICKはこれまでの30年間で、1989年にギターの今井寿が薬物使用で逮捕された時に、「謹慎期間」と称して半年間の活動自粛をした以外では、まったく活動を休止していません

もちろん解散の話もなく、メンバーチェンジも行わずにずっと走り続けてきたのです。

これはメンバー同士が信頼し合い、またお互いの実力を認めて必要とし合っていたからこそでしょう。

デビュー以前に組んでいた、BUCK-TICKの前身となるバンドでは、ヴォーカルの櫻井敦司(現在の表記)はドラム担当だったそうです。

しかしそのバンドでのヴォーカル脱退の際に、ギターの今井寿は外部から新しい歌い手を連れて来ようとしたところ、櫻井敦司がヴォーカルをやりたいと申し出たのだとか。

そこで空いてしまったドラムの席には、ベースの樋口豊の兄であるヤガミトールが加入することで、現在の形になったのです。

それが1985年の話ですので、結成から数えると、30年以上のお付き合いを円満に続けているという、非常に稀有なバンドと言えるでしょう。

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インディーズ時代から大人気を誇る

1986年10月には、インディーズのレーベルで、1枚目のシングル曲となる「TO-SEARCH」をリリースしました。

この楽曲は後に、「JUST ONE MORE KISS」発売の際に再レコーディングして収録された他、2002年に発売され直した、本来は4枚目のアルバムにあたる「TABOO」の初回限定盤にのみ収録されています。

JUST ONE MORE KISS/BUCK-TICKは◯◯的なラブソング!?歌詞の意味を解釈!の画像

BUCK-TICK1987年4月に1枚目のアルバム「HURRY UP MODE」を同じくインディーズのレーベルでリリースし、800人を動員するライヴを行いました。

そのライヴビデオが9月にメジャーレーベルから発売されたことによって、メジャーデビューを果たします。

そしてその年の11月には通算2枚目のアルバムとなる「SEXUAL×××××!」を発売しました。

その後すぐにデビューライヴも行っています。

JUST ONE MORE KISS/BUCK-TICKは◯◯的なラブソング!?歌詞の意味を解釈!の画像

デビューしてからも

シングル曲はリリースせず

1988年にはライヴツアーを行い、3月にはミニアルバム、6月には通算3枚目となるフルアルバムを発売して、再びライヴツアーをするBUCK-TICK。

このツアーが始まってすぐに、ようやく通算2枚目であり、メジャーデビュー後は初となるシングル曲のリリースに至ります。

なんとデビュー2年目にして、やっとシングル曲がリリースされるという、非常に珍しいケースとなりました。

その楽曲こそが、今回ご紹介したい「JUST ONE MORE KISS」なのです。

まずは、当時のヴィジュアルの雰囲気をお伝えしたいので、オフィシャルから出ているショート告知動画をご覧ください。

BUCK-TICK / JUST ONE MORE KISS【Victor Years】

CMとのタイアップ

「JUST ONE MORE KISS」はCDラジカセ(懐かしい!)のCMソングとして起用されました。

その時のCMのキャッチコピーが、「重低音がバクチクする」だったそうです。

そしてメジャーデビュー後もさらにファンを増やし続けていったBUCK-TICKは、この楽曲で「第30回日本レコード大賞新人賞」を獲得したのです。

オリコンチャートにも20回登場し、最高6位を記録しました。

この時のCDの規格は、まだ7インチシングルや、8cmCDシングルであったことから、非常に古さを感じてしまいますが、楽曲としてはとても斬新でした。

これまでアルバムを多く出してきたためか、作曲担当の今井寿はあまりシングル曲であるということは意識せず、自分たちの持つ本来の良さが出ればいいと肩の力を抜いて、1日で曲を書き上げたといいます。

それに対して他のメンバーは、シングル曲として発表するには地味ではないかと危惧していたそうですが、ここに作詞担当の桜井敦司(当時の表記)の歌詞と声が乗った途端に大発展。

作詞の内容については、「廃退的なラブソングだそうで、シングル曲であることを意識して、キャッチーな単語を多く取り入れるようにしたと語っています。

それでは、ほぼフルサイズで聴ける動画をどうぞ。

画像が荒いのは、時代的に仕方がないのでご愛嬌で(笑)。

BUCK-TICK / just one more kiss

聴きやすくて印象的

とにかく声が良い

桜井敦司はもともとの声が良いため、どんな雰囲気やテンポの楽曲も、上手に歌い分けます。

「JUST ONE MORE KISS」はメジャーデビュー後初めてのシングル曲ですし、CMとのタイアップもありますので、求められる要素も多かったでしょう。

そこでできあがったのが、このようにヴィジュアル系」の持つ印象よりは比較的優しめながらも、つい口ずさんでしまうような楽曲となりました。

見事に狙い通りだったと言えるでしょう。

それでは、歌詞を見ていきます。

DREAM & DREAM 胸に刻む
SLOW MOTION 一夜の夢
JUST ONE MORE KISS 横顔はまるで 刹那の美貌
JUST ONE MORE KISS むせ返る香り
薄れゆく意識だけが……

出典: JUST ONE MORE KISS/作詞:桜井敦司 作曲:今井寿