あなたから僕への愛のサインは
それはそれは 奥ゆかしく泣けました
出典: シザースタンド/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
1行目のサインとは、恐らく手をつないだりキスをしたり、彼女からの愛情表現のこと。
「僕」にはそのしぐさが、なんとも上品で慎ましく涙が出るほどに魅力的に感じたのでしょう。
彼女が「僕」にとって、とても愛おしい存在であることが読み取れます。
心の傷と深い愛
君の痛みも僕のもの
君が僕の左腕を噛み付いた
食いちぎってくれたって別によかったのに
出典: シザースタンド/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この部分も恐らく本当に噛みついたのではなく、比喩としてこのような表現を使っています。
彼女は感情の移り変わりが激しく、「気分屋」なのでしょう。
あらゆる感情を「僕」にぶつけたことを「噛みついた」と表現しているのではないでしょうか。
きっと彼女は何か辛いことがあって、1人では抱えきれず「僕」に当たってしまったのです。
君のためなら…
「僕」が噛みつかれたのは「左腕」。
なぜ左腕なのか、ちょっと不思議に思いました。
しかし調べてみると、実は野田洋次郎の利き手は左だったのです。
この歌の「僕」が野田洋次郎本人とするならば、この歌詞はより深い意味になります。
「利き腕を失っても別によかったのに。」
つまり、自分の自由が奪われたとしても彼女の痛みを共有したいという愛の比喩表現なのです。
彼女のすべてを受け止めたい。
支配的な激しい愛を感じます。
確証のない愛
今も紅く紫きの跡を遺して
これが消えるまでが僕の寿命みたいな 気がしたんだ
出典: シザースタンド/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
噛みついた跡は「僕」にとって、彼女が自分を心の支えにしていたという証。
それが消えるということは、彼女の心から自分が消えることなのです。
「僕」は彼女への大きな愛の裏側で、ふとそんなことを想像していました。
きっと彼女はつかみどころのない不思議な魅力で「僕」を虜にしていたのでしょう。
未練の心
君の涙
君が読み上げる自分の醜さは
僕にはただただ美しくしかなくて
出典: シザースタンド/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この部分からも彼女を愛おしく想う「僕」の気持ちが伺えます。
彼女の気持ちは不安定で、「僕」をたくさん振り回してしまっていたのでしょう。
それが申し訳なくて、「僕」の前で自分を責めました。
涙も流したでしょう。
けれどそんな彼女の涙さえ、「僕」は美しく儚いものに感じていたのです。