抱えきれなくなったものを手放すことはよくあること。
しかし、世の中には手放せるものと手放せないものがあります。
それは本当は手放したくないものなのかもしれません。
彼女から見た夢は
変わり果てた 夢の頬に 涙落とした
触ってみても その感触は 別のものだった
自分で着せた 服を脱がして 涙落とした
あぁ そうだった こんなに白い体をしていた
出典: 車輪の唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
『夢の飼い主』は基本的に夢の視点で物語が進みます。
ですがこの部分だけは違います。
夢に服を着せた人物であり、これまでの歌詞の描写からも彼女の視点だと気づけます。
彼女は何かのきっかけで夢のことを思い出したのでしょう。
しかし装飾されずっと放っておかれた彼女の夢は最初とは別の姿をしていました。
その装飾を脱がして改めてみた姿は純粋で。
はじまりは、きっと素直な感情だったのです。
何もまとわない夢を見た彼女のつぶやきが突き刺さります。
失ったものへの嘆き。
その姿にしてしまったのは間違いなく彼女だからこそより深い悲しみがあります。
自由にしたって
「この手で 汚していたの?閉じ込めていたの?」
苦しかった首から 首輪が外れた
僕は自由になった
出典: 車輪の唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
彼女は夢を自由にしようと思い立ちました。
きっとそこにあるのは輝かしい夢を汚し、忘れてしまった罪悪感なのでしょう。
後悔も含まれているかもしれません。
名前を付けて自分のものとして抱えたまま、認識すらせずに飼い殺していた夢。
自由にしてあげようと自分から解放しようと思うのもわかります。
しかし、そもそもすり寄せたのはどちらだったか。
犬や猫なら他の人に譲ることができたかもしれません。
ですが、夢は違います。
夢は自分の夢でしかありません。
必要なことはひとつだけ
いつでも側にいるよ ずっと 一緒だよ
首輪や 紐じゃないんだよ 君に身を寄せるのは
全て僕の意志だ
寂しくはないよ 君と生きているから
ただ名前を 呼んでくれるだけでいいんだよ
ねぇ それだけ 忘れないで
出典: 車輪の唄/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
これは自由を得た夢の答えです。
夢は自分の意志で共に居たい、共にいるのだと言っています。
結局のところ手放したいと思うのも飼い主の勝手な感情で。
そして、それは簡単に失くせてしまうものではないのです。
そう簡単に諦められたのならば夢を思い出すことはなかったでしょう。
そこに特別なことはひとつもいりません。
名前を呼ぶ、そんな単純なことでいいのです。
忘れない限り、忘れたとしても夢は自分の側に居ます。
夢を育てることができるのも、叶えることができるのも1人しかいないのですから。
是非とも一緒に聞いてほしい曲
車輪の唄
BUMP OF CHICKENのシングル「車輪の唄」藤原基央作詞の歌詞に迫る!(動画あり) - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
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愛しい人の別れを見送る切なさがじんわりときます。
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【ハルジオン/BUMP OF CHICKEN】歌詞が完成したきっかけは夢だった?!意味を考えてみる - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
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ずっと枯れることのなく心の中に咲いている花。
それは夢を追うためにも必要なものです。