満を持しての地上波初登場

ほとんどメディアには出ないバンド

CDのジャケットや歌詞カードには写真を載せず、ライブ映像やPVでも照明が暗めで、メンバーの顔がハッキリ見えないことの多いバンド凛として時雨

今の時代ですから、少し検索すればすぐに、名前や経歴など、さまざまな情報は手に入りますが、それだけでは本質はわからないでしょう。

ミュージシャンは音楽が命です。

楽曲を聴かずに、容姿やイメージだけで判断されたくないという思いもあるのかも知れませんね。

音楽雑誌などに取り上げられる際にはもちろん顔出しで、インタビューにもきちんと答えてくれますから、特に秘密主義なわけではないようです。

しかし、やはり自分たちの音楽性が、なかなか多くの人には受け入れられやすいものではないということも自覚しているのでしょう。

ですから、初めての地上波初出演が決まった時は、ファンは歓喜しました。

披露した楽曲は、「abnormalize」(アブノーマライズ)という楽曲で、凛として時雨の3枚目のシングル曲となります。

初めてのタイアップとなる作品で、それは2012年当時に大ブレイクしたアニメ『PSYCHO-PASS』の主題歌となりました。

まずはオフィシャルのショートバージョンの動画をご覧ください。

何故「放送事故」と言われたのか

もともと凛として時雨のファンの方であるなら、2012年12月に放送された「ミュージックステーションスーパーライブを楽しみにしていたと思います。

実際にTwitterなどでの盛り上がりはすごく、期待度は高まる一方。

そして実際に放送されたのが、この動画です。

凛として時雨をご存知ない方からは、その後Twitter上にかなり辛口なコメントが多く寄せられました

かいつまんで言うなら、「下手くそ」とか「キモイ」とか、そういう感じのものですね。

もちろん、地上波初登場ということで、メンバーに緊張があったとか、受け入れられやすい他の出演者と比較されてしまった、というマイナス要素も重なったのでしょう。

しかし実際のところ、ライブでの生演奏をご存知の方ならわかるのですが、この時の凛として時雨の演奏には特に問題はないはずなのです。

ただ、テレビの生放送ということで、音響が影響していると考えられます。

ライブでは当然ながら、いつものスタッフがいつものように、彼らが一番良いパフォーマンスを発揮できるための環境の調整をしてくれます。

しかしテレビ(しかも生放送)ではそうもいかなかったのでしょう。

結果的に、お互いに高音のツインボーカルであると言えども、女性である345(みよこ)の声がTKより前に出てしまい、逆に楽器の音が聞こえにくくなってしまったのです。

アニメ人気でしたし、初めて見る方にも大きく注目されていたこともあり、この音質の悪さは確かに「放送事故」レベルの衝撃だったのでしょう。

MCから、「何故初めて地上波に出たのか」という演奏前の質問に、TKは「こういう音楽がそろそろ流れてきても面白いかなと思って」と答えています。

やはり、自分たちの音楽性がまだ万人ウケするとは思ってはいなかったのでしょう。

だからこそ、この時の演奏で彼らの音楽を判断してしまって、結果的にいまだに凛として時雨の音楽を「受け付けない」という方がいるのは残念でなりません。

人気アニメ『PSYCHO-PASS』

音楽性は合っていた

abnormalize【凛として時雨】Mステ初主演で衝撃の放送事故?!歌詞の意味を徹底解釈!の画像

第1期の放送が2012年10月に開始され、その後2014年には第1期の新編集版に続いて第2期が放送開始したアニメ『PSYCHO-PASS』。

2015年1月には劇場版まで制作されるほどの人気を誇っています。

そのほとんどすべての主題歌に凛として時雨の楽曲が使用され、またエンディング曲をEGOISTが担当していました。

EGOISTもなかなかに特殊なバンドではありますが、supercellのryo氏がプロデュースを務めていることもあり、まだ比較的受け入れられていると言えます。

アニメ『PSYCHO-PASS』は、設定が少し難しい部分もあるのですが、アニメファンの多くは、そのシナリオを虚淵玄氏が手がけるということで、放送前から注目されていました。

キャラクターデザインは、漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』(後にアニメ化もされました)で有名な漫画家・天野明氏です。

ひとまず、その天野明氏のデザインが見れるPV第1弾を見てみましょう。

『PSYCHO-PASS サイコパス』第1弾PV

そしてその後、アニメバージョンで公開されたPVが次の2本です。

『PSYCHO-PASS サイコパス』第2弾PV

『PSYCHO-PASS サイコパス』第3弾PV

凛として時雨の歌う主題歌も聴こえてきますが、とてもこの作品にマッチしており、決して駄作でも実力不足でもないのです

世の中が追いついていない

実のところ、いくら人気があるとは言えども、アニメ『PSYCHO-PASS』自体にも当然ながら賛否両論はありました

また、アニメの放送時期が、世界情勢が微妙になっていた時期に重なったこともあったため、さまざまな影響も受けています。

むしろそんな作品だったからこそ、凛として時雨の楽曲が起用され続け、戦い続けたのかも知れません。

それに理解を示すファンもいれば、もちろん否定的なジャーナリストもいるわけで、世の中はそういうものなのだと実感させられました。

アニメも音楽もフィクションなのですから、もう少し広い心で受け止めて欲しいな、とも思います。

せっかくの良作なので、作品も楽曲も、食わず嫌いはもったいないですよ。

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