「糸」の歌詞を紐解く

中島みゆき「糸」は結婚式の定番ソング!「仕合わせ」の歌詞に込められた本当の意味を解釈しますの画像

なぜ めぐり逢うのかを
私たちは なにも知らない
いつ めぐり逢うのかを
私たちは いつも知らない

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

出会いや縁は不思議なものです。

明日の自分がどうなるのか分からないように、これからの出会いや縁はどんなものが待ち受けているのか分からないものです。

しかし、私たちは「知らない」ということを知っています。

だからこそ、そこに「なぜ」や「いつ」を求めるのです。

中島みゆき「糸」は結婚式の定番ソング!「仕合わせ」の歌詞に込められた本当の意味を解釈しますの画像

どこにいたの 生きてきたの
遠い空の下 ふたつの物語

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

出会うまでは相手が存在するということすら知りません。

出会うことでお互いを認識し、生きてきたことを知ります。

たとえ過ごしてきた場所が遠い場所でも空は必ず繋がっています。同じ空なのです。

そこには確かに自分以外の物語があり、出会うことで相手の物語に自分が、自分の物語に相手が、登場人物として名を刻みます。

そこで2つの物語は交差します。

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かを
暖めうるかもしれない

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

そして、この曲のタイトルでもある「糸」が登場します。「糸」は物語を紡ぐそれぞれ、自分自身です。

出会って、また出会いを繰り返して、その繰り返しのことを、糸を紡ぎ布を精製していく過程に例えています。

交差し合った物語はまた新しい物語を生み出します。

その物語は自分を新しいステージへ引っ張ってくれるかもしれません。もしくは相手がそうなるかもしれません。また違う誰かかもしれません。

お互いに関わって影響し合うことで人は変わっていくし、関わる人がいることで辛い時も悲しい時も乗り越えられたり、嬉しい楽しい気持ちにさせてくれるのではないでしょうか。

中島みゆき「糸」は結婚式の定番ソング!「仕合わせ」の歌詞に込められた本当の意味を解釈しますの画像

なぜ 生きてゆくのかを
迷った日の跡の ささくれ
夢追いかけ走って
ころんだ日の跡の ささくれ

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

人生は上手くいくことばかりではありません。

理想の自分に近づくために努力する中で挫折も味わうでしょう。

どうしてこんなに辛いのに生きていかなきゃいけないのか、そんな風に思ってしまう日もあるでしょう。

そうやって心が擦り減ってしまうのも人生です。

こんな糸が なんになるの
心許なくて ふるえてた風の中

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

「糸」は自分自身。

なんのために自分はいるのだろうか、自分に何ができるのだろうか、その問いの中にいる自分は、脆く儚い心の状態になってしまいます。

縦の糸はあなた 横の糸は私
織りなす布は いつか誰かの
傷をかばうかもしれない

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

しかし、そんな時こそ出会ってきた人を思い出してください。

そこには救いの糸があるかもしれません。

自分以外の誰かの糸と交差し合うことで、脆い心は自分だけで背負わなくて良いことを知ることができます。

支えてくれる人がいます。

そうやって織りなされた布は同じ悩みを持つ人も辛い最中にいる人も救えるかもしれません。

今度は自分が救う番になるのです。

中島みゆき「糸」は結婚式の定番ソング!「仕合わせ」の歌詞に込められた本当の意味を解釈しますの画像

縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合わせと呼びます

出典: 糸/作詞:中島みゆき 作曲:中島みゆき

出会うことで、誰かを暖めることができるかもしれない、誰かの傷をかばうことができるかもしれない。

それがこれまでの歌詞です。

しかし、出会いは良い出会いもあれば、良くない出会いもあるでしょう。

人と関わることは傷つけ合うという可能性も孕んでいます。

たくさんの人がいる中で、ちゃんと暖め合える、傷をかばい合える出会いが「逢うべき糸」なのではないでしょうか。

そのかけがえのない出会いこそが「仕合わせ」なのです。では、果たして「仕合わせ」とはなんでしょうか。

「幸せ」ではなく「仕合わせ」