リアルではいじめられている嫌われ者の「君」。
「君」を見ている何者かの視点が書かれていますね。
「君」はいつも嫌われていた。特に理由もなく「なんとなく」という理不尽な感情で。
世の中のいじめというのは、大体が「なんとなく」なのかもしれませんね。
特別何かをしたからというよりは、「なんとなく」そんな雰囲気になったから。子供の思考というのはそんなものです。
ならあたしの声を使えばいいよ 人によっては理解不能で
なんて耳障り ひどい声だって言われるけど
きっと君の力になれる だからあたしを歌わせてみて
そう君の 君だけの言葉でさ
出典: https://twitter.com/tensoku_/status/903413951685312512
ここで「君」を見ている人物が「あたし」だと分かります。
この「あたし」は「人によっては理解不能で なんて耳障り ひどい声」で歌うものであるということ。
ここでわかるように、この曲は歌を歌うロボットと嫌われ者のクリエイターのお話なのです。
そんな曲を初音ミクが歌っているというのは、なかなかおもしろいですね。
綴って連ねて あたしがその思想(コトバ)を叫ぶから
描いて理想を その思いは誰にも触れさせない
ガラクタの声はそして響く ありのままを不器用に繋いで
目一杯に 大声を上げる
出典: https://twitter.com/Enearon/status/915601830733926401
嫌われ者の「君」の想いをありのまま叫ぶ「あたし」。
あくまでも作中の「あたし」は歌を歌うロボットという存在ですが、実際はVOCALOIDのことを表現しているように感じます。
変わっていく「君」
いつからか君は人気者だ
たくさんの人にもてはやされ あたしも鼻が高い
でもいつからか君は変わった
冷たくなって だけど寂しそうだった
出典: https://twitter.com/Enearon/status/915601830733926401
「もう機械の声なんてたくさんだ 僕は僕自身なんだよ」って
ついに君は抑えきれなくなって あたしを嫌った
君の後ろで誰かが言う 虎の威を借る狐のくせに!
ねぇ君は 一人で泣いてたんだね
出典: https://twitter.com/Enearon/status/915601830733926401
VOCALOIDで曲を作っていく事で有名になり、一躍人気者となった「君」。
人は人気者になると変わってしまうというのはよくある話ですね。
お世話になったVOCALOIDだけど、それはやはり自分自身ではない。
人気者なのはあくまでもVOCALOIDで自分ではないのだ、という事実に耐えられなくなった「君」は、「あたし」を遠ざけていきます。
壊れていく「わたし」
聴こえる?この声
あたしがその誹謗(コトバ)を掻きけすから
わかってる本当は
君が誰より優しいってことを
ガラクタの声はそして歌った
他の誰でもない君のために
軋んでく 限界を超えて
出典: ODDS&ENDS/ 作詞:ryo 作曲:ryo
二人はどんなにたくさんの
言葉を思いついたことだろう
だけど今は何ひとつ思いつかなくて
だけどなにもかもわかった
「そうか、きっとこれは夢だ。
永遠に醒めない、君と会えた、そんな夢」
出典: ODDS&ENDS/ 作詞:ryo 作曲:ryo
「あたし」を遠ざける「君」。
放置されたロボットは徐々に壊れていくもの。
少しずつ壊れていく「あたし」。そんな中でも「君」の存在を想い続けるロボットの心情が描かれているのです。
ロボットに心があるかと言われれば分かりませんが・・・
ガラクタは幸せそうな表情(かお)をしたまま
どれだけ呼んでももう動かない
望んだはずの結末に君は泣き叫ぶ
嘘だろ嘘だろってそう泣き叫ぶ
出典: ODDS&ENDS/ 作詞:ryo 作曲:ryo
「僕は無力だ。
ガラクタ一つだって救えやしない」
想いは涙に ぽつりぽつりとその頬を濡らす
出典: ODDS&ENDS/ 作詞:ryo 作曲:ryo
壊れて動かなくなっていくロボット。
「君」はそれに気づき、今までの行動を後悔します。
ロボットを抱えて泣き崩れていく姿が想像できますね。
その時世界は 途端にその色を大きく変える
悲しみ喜び 全てを一人とひとつは知った
言葉は歌になりこの世界を
再び駆け巡る君のために
その声に意思を宿して 今思いが響く
出典: ODDS&ENDS/ 作詞:ryo 作曲:ryo
「一人とひとつ」は、この曲の登場人物である「君」と「あたし」のこと。
失うことで気が付く大切な事があるのかもしれません。