本当のロックンロールを聴きたかったら「DYGL(ディグロー)」を聴きましょう!
不思議な存在感で常にシーンの最先端をゆくDYGL(ディグロー)。
メンバー構成が伝説のバンドYkiki Beat(ワイキキビート)とほぼ同じという事実は有名な話です。
一聴すると海外の大御所ロックバンドのようなサウンドを鳴らすDYGL。
しかしその姿はまだ少年のようなあどけなさを残す青年たちです。
2017年に発表された彼らの1stアルバム「Say Goodbye to Memory Den」が世界中で好評を得ています。
ザ・ストロークスのアルバート・ハモンドJr.と彼らのプロデューサーでもあるガス・オバーグ。
その2人をプロデューサーに迎えNYでレコーディングされた本作。
そこには彼の地の最新の音楽シーンの空気感を濃縮したような音が記録されていました。
痛快なロックンロールが詰まった1stアルバム「Say Goodbye to Memory Den」
Theフーが現代に蘇ったような「Come Together」で幕を開ける本作。
彼らのバンド名の由来である”Dayglo(安っぽくて派手)”がピッタリのサウンドです。
全編英語詞の痛快なロックンロールが14曲これでもかと詰め込まれています。
EPやシングルで既発の人気曲「Thousand Miles」「Waste of Time」なども再録。
より生々しいサウンドに蘇って収録されています。
2017年にはフジロックでの凱旋ライブも行いより多くのファンを増やし続けるDYGL。
「Let It Sway」徹底解説!
”Dayglo”なMVをチェック!
2016年にCD、ヴァイナル、カセットの3形態でリリースされた1stEP「Don’t Know Where It Is」。
この非常に珍しいリリース形態はすでに海外での活動を視野に入れてのことでもあります。
当時制作された「Let It Sway」のオフィシャルMVをチェックしてみましょう。
Ykiki Beatと明確に楽曲で差別化を図っているのが分かります。
特にDYGLの核となるのがギターの下口さんのクレイジーなプレイスタイルです。
コメント欄に書き込まれた”The Arctic Libertine Strokes!”という言葉が全てを物語っています。
"T.G.I.not F!"
Laughing about in the midnight streets
(真夜中のストリートで笑いながら)
You say "T.G.I. not F!"
(君は言う”金曜じゃなくてよかった!”)
I need time to talk with you
(君とは話す時間が必要だ)
Deeper than we ever did
(これまでよりずっと深い話を)
出典: Let It Sway/作詞:Nobuki Akiyama 作曲:Nobuki Akiyama
DYGLの楽曲の作詞作曲はギター&ボーカルの秋山さんが担っています。
Ykiki Beatでもすべての楽曲を手掛けていた秋山さん。
脳内に相当の引き出しを持っているのでしょう。
”T.G.I.F”というスラングも使いこなしています。
これは”Thank God It's Friday”の略語で週末の金曜日を讃えるスラングです。
しかし「Let It Sway」では”not”を挟むことで否定語に。
つまり”金曜じゃなくて良かった”と喜ぶ友人のライフスタイルを表現しています。
いわゆるヤッピー的上昇志向を揶揄してるのでしょう。
真夜中のクラブ通いが日課の友人が酒に酔い道端で笑い転げている光景が浮かび上がります。
”鍵”を見つけたんだ...
I found the pain inside my heart
(胸が痛むんだ)
Devote it all to your eyes
(君に見せてやりたい)
I found the key made for no doors
(鍵を見つけたんだ、扉のじゃないやつを)
出典: Let It Sway/作詞:Nobuki Akiyama 作曲:Nobuki Akiyama
秋山さんは昭和の文学作品に強い影響を受けたと語っています。
またアルバム制作時にルー・リードとビートルズの詩集を改めて読み返したそうです。
DYGL&Ykiki Beatの歌詞に文学的な表現が多いのはそれらの影響でしょう。
胸の、つまり心の中にある痛み。
それは大概にして”恋”か”後悔”のような感情です。
さらに続くフレーズに”扉のためではない鍵”を見つけたとあります。
”キーワード”や”キーポイント”で用いられる”キー”。
これらを総合すると現状に不満を感じている人物が生きるためのヒントを見つけた、と推察されます。