いつでも歌い手 歌いてぇ
まだまだ無我夢中つないで
Babylon端から叩いて
会場炎上Man A Dee jay
身体がGroove Groove来る夜 イカしたCrew
出典: WICKED & WILD/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
ここでの「Babylon」は「国家権力」のことです。
国や警察行政などを指します。
これまでは漠然と社会規範などからはぐれたことを歌っていました。
いよいよ本丸の「国家権力」が登場します。
社会規範には「国家権力」を再生産するイデオロギーの顔がある。
しかし社会規範自体はもちろん具体的な「国家権力」とは区別されます。
「国家権力」は軍隊や警察などの暴力装置によって守護された実体としての権力です。
日本社会は国民主権ですが「主権が国民にあること自体がおかしい」と語る権力側の政治家もいます。
国民主権なのですからどんな市民も主権をもって生きているのです。
しかしそのことを気に食わない権力側の政治家が多いのは嘆かわしい現状。
湘南乃風はこうした風潮に一撃を食らわせようとします。
「国家権力」への剥き出しの敵意が頼もしいです。
この反逆魂は本物でしょう。
ダブこそ世界を救う
始まるRub A Dub Rub A Dub (What?)
毎夜毎夜育ててきた直感が
甘い蜜の味 拒んだ
もう終わらないぜ 冗談じゃ
俺等が湘南だっちゅ~の!!
出典: WICKED & WILD/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
レゲエのダブへの信仰こそが湘南乃風の骨になっています。
社会規範にも「国家権力」にも創ることができないのがダブ。
ダブの方が心も騒ぐ魅力にあふれています。
湘南乃風がどちらに信頼を寄せるかは明らかでしょう。
フィーリング、そして肉感で獲られる快感の方が社会規範よりも幸せをダイレクトにくれます。
「国家権力」にはダブのグルーブもユーモアのかけらも生み出せません。
湘南乃風は毎晩のパーティーの中で感性を育ててきました。
祝祭の中で獲られた直感こそが自分なりに生きるための規範になるのです。
「WICKED & WILD」はアルバムのオープニング・ナンバー。
これから夜通しのパーティーが開催されることを宣言します。
反逆者の暫定政権
武器は音楽だけ
この音を武器に反逆
弾薬に込めた感覚
時に愛 時に残虐
見据えた時代の断末
ルールの裏側 暗躍
終わらすミッション 難なく
あいつらの出る出番無く
遺憾無く発揮
出典: WICKED & WILD/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
音楽の「テロリスト」は実体的な暴力に頼りません。
武器は音楽のみです。
弾薬とはいっても実弾ではありません。
「WICKED & WILD」で聴けるような音楽こそが銃弾の代わりになるのです。
つまらない時代を終わらせようと画策しますが暴力革命ではありません
むしろ祝祭感の中で社会を覆してしまうような世直しの姿が浮かぶのです。
そこには愛もあれば残酷な様相も呈してしまうのは仕方のないことでしょう。
守旧派は打倒しないと新しい権力を獲られません。
権力を奪取した瞬間に権力ごと溶解させるような音楽での反逆が始まるのです。
今、権力の座にいる者たちはその場を追われるでしょう。
もう彼らに出番は到来しません。
湘南乃風はこうしたミッションを滞りなく成功させます。
反逆者たちによる暫定政権の誕生です。
人生を反逆に賭ける
Jesus Christ We No Tell A Lie
これ以上無いCrazy High Yeah
一生涯 見とけ兄弟
二つとない 風の意地とPride
出典: WICKED & WILD/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
「ジーザス・クライスト、我々は嘘などつかない」
クライマックス寸前です。
これからアルバム「湘南乃風 ~2023~」が始まります。
存分にハイになって欲しいと願うのです。
リスナーに自分たちの実力をとくと見て欲しいと望みます。
これからの人生を反逆の日々に賭けてみて欲しいと願うのです。
湘南乃風は唯一無二の存在であるからこそその誇りを胸にして欲しい。
アルバムはこれからこそが本番になります。
最後まで聴き遂げて欲しいのです。
「WICKED & WILD」が拓く時代
We Are De Wicked Wicked & Wicked Wicked & Wild
荒れ果てた荒野進むTuff Riders
Wicked Wicked & Wicked Wicked & Wild
止まれば負け それが運命
Wicked Wicked & Wicked Wicked & Wild
誰が拒もうが進むTuff Riders
Wicked Wicked & Wicked Wicked & Wild
止めるな! どけ!! ぶっちぎり突破
出典: WICKED & WILD/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
クライマックスです。
リフレインですが最後ですので改めて見ていきましょう。
社会の通常の価値観にとっては邪悪にさえ見える湘南乃風の反逆魂。
この反逆劇は誰にも止めようがないと歌うのです。
ずっと社会の除け者として生きてきた彼らの復讐劇が始まります。
復讐にはルサンチマンが宿っているものです。
湘南乃風も「国家権力」への明確な反抗心などが透けます。
しかし恨み一辺倒でこの反逆劇を始めようという訳ではありません。
ルサンチマンに固有の宿命的な暗さというものが微塵も感じられないのです。
あくまでもパーティーのノリを忘れない明るさを感じます。
それでも安心して観ることができる反逆劇ではないのです。
やんちゃさを含んでいる新しい時代の「族」たちのノリ。
信号に従わないで道を突き進むというのですから穏やかではありません。
もちろん比喩ですが喩えられたものの意味は重いです。
限界突破、行けるところまで突っ走るライダーたち。
彼らが描く未来は何を約束するでしょうか。
「WICKED & WILD」
発表から数年を経ました。
湘南乃風はさらにメインストリームで巨大な存在になり下剋上を果たします。
一方でこの曲で歌われた反逆魂はより存在することが難しい時代になってきました。
それでも勇気ある者だけが時代を切り拓きます。
閉塞して国力も衰退している社会の中で元気なのは除け者たちだけかもしれません。
株価が上がってもGDPは低成長で購買力はますます低下します。
社会の中枢にいる人々にとっては悩ましいことばかりでしょう。
しかし社会の周縁部にいる者たちはこうした未来を見据えていたかもしれません。
決して動じることなく反逆の魂をさらに熱く燃やしていつか本当に社会を幸せのもとに転覆する。
それこそが湘南乃風の4人のライダーたちの夢です。
圧政に負けないで生き残るためにパーティーを完遂することこそが彼らの使命でしょう。
熱い反逆魂に共感します。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。