では準備が整ったところでシーンごとにMVを解説していきましょう。
しかし折角なので2番まで解説しちゃいますので、ぜひ最後までご覧くださいね。
まず最初のカットです。
動画のサムネイルにもなっていますが、2人はアメリカの受刑者の格好をしています。
「何があったの!?」とツッコみたくなるようなキャッチーなカットです。
その後、ボーカルの入りとともにさわやかなダンスシーンに。
しかし受刑者のカットも時々入ってきます。温度差が半端じゃない。
さぁ、このあと何が起きるのか。ワクワクしながら続きを見ていきましょう。
2人の間に亀裂が入り始めるAメロ
後輩にモテる西野と輪に入れない白石
Aメロとともに舞台は乃木坂46の楽屋に。
白石と西野が座っていると、2人の後輩が駆け込んできます。
2人を笑顔で出迎える白石と西野。
しかし後輩は白石を完全に無視。西野に駆け寄ります。
仲良さげに話す3人の後ろで、笑顔のまま硬直する白石。
しかし全く気づきません。無視しているかのごとく……。
思わず白石はしかめっ面を浮かべますが、すぐに顔を戻して「あたしもいるよ」とアピール。
残念ながら3人は、それにすら気づきません。
白石は勇気を出して「やぁ!」と右手を挙げて、声を掛けます。
瞬間、振り返る3人。しかし冷めた目で白石を見下ろすだけです。
楽屋に流れる気まずい空気……。
耐えきれなくなった白石は「どうぞ話を続けて」と引き下がります。
またしかめっ面になり、台本をぐしゃぐしゃに丸めてしまうのです。
こうしたいざこざは誰にでも起きます。
特に中学・高校でこうした理由がわからない気まずさを味わった方って多いのではないでしょうか。
自分が何をしたのかもわからないけれど、ある日友だちの態度が冷たくなっている。
「心のモノローグ」でいうと「あたしが何をしたんだ。なぜ冷たくするんだ」といった具合でしょう。
囚人服のまま争う2人
ワイヤーアクションを使った本格的な戦闘シーンに注目
1番のサビでは2人の迫力のアクションシーンが繰り広げられます。
いきなり高々と舞う白石。着地を狙ってパンチを打つ西野。それをかわす白石。
めくるめく繰り出される西野のパンチや蹴りを華麗にかわす白石の美しさ。
ロングヘアをなびかせて踊るように喧嘩する様は思わず見とれてしまいます。
サビでは基本的にこの戦闘シーンか、ワンピースを着てさわやかに舞うダンスシーンが流れます。
しかし一瞬だけ、物語の筋に戻る描写も。
そこには、西野のハイヒールをも左手に、画びょうを右手に持ってにやりと笑う白石の姿が。
何という古典的な仕返し。2人の間に亀裂が入ってしまったことを表しています。
そして間奏で、白石はなんと画びょうを箱ごとハイヒールに流し込むのです。
見たことないレベルの嫌がらせは、もはやコメディ。
「絶対ばれるよ! 踏むわけがないよ!」とツッコみたくなります。
注目なのは、まるで悪魔のような白石の笑顔。普段は見せないレアな表情でしょう。
真逆の立場になる2番のAメロ
今度は西野が不安を覚える瞬間が
2人の間に溝ができて、2番に突入します。
2番のAメロでは1番とは真逆の状態になります。
舞台はカフェテリア。テーブルに一眼レフが置いてあるのを見ると、何かの取材でしょうか。
今度は白石が親しげに記者(?)と話しています。
身振り手振りを使ってテンションマックスで話す白石と記者。
西野はどうも話に入れないらしく不安そうな表情を浮かべています。
完全に借りてきた猫状態の西野。ついには目を伏せてしまいます。
しかしこのままではいけないと思ったのか、意を決して「はい!」と挙手!
それを白石は冷めた目で見ます。1番で西野がとった行動と同じですね。
西野は「やっぱりいいです」と引き下がります。これは1番の白石と同じです。
その瞬間、白石が飲んでいたコーヒーを気づかないように奪う西野。
そこでサビに入ります。
この時の西野もつらいでしょう。
話に入りたいけど入るタイミングを逃してしまうときってありますよね。
みんなで話しているとき、会話に入らないと感じが悪く見えてしまいがち。
でも、なかなか輪には入れない。いざ入ったら、逆に空気を悪くしてしまうなんて、もはや地獄です。
心のモノローグ的には「私だって黙りたくて黙っているわけじゃない。なんで会話を振ってくれないんだ」。
といった具合でしょうか。
「あさひなぐ」で磨いた”デッキブラシさばき”が光るサビ
同じ監督だからこそできた、鮮やかなアクションシーン
2番のサビではデッキブラシで交戦する2人の姿が描かれています。
実はこのシーン、2人が出演した映画「あさひなぐ」でのアクションがもとになっているのです。
「あさひなぐ」は、なぎなた日本一を目指す女子高生の物語。
西野が主人公を、白石が主人公の憧れの先輩を演じました。当時の撮影では2人とも相当な量の稽古を積んだそう。
その甲斐あって、圧巻の戦闘シーンを演じています。
ワイヤーアクションもあって、迫力は満点。相手の”切っ先”を紙一重でかわす華麗な姿からは目が離せません。
そしてサビ終わりの間奏では、場面が変わって白石のコーヒーに大量のタバスコを入れる西野が。
このシーンでの悪い笑顔が「とにかくかわいい!」とSNSでも注目されていました。
確かに、ニヤッと笑いながらカメラ目線でタバスコを投入する西野は反則的なかわいさがあるでしょう。
かなりあくどいことをしているのにも関わらずかわいい。
邪気にあふれているのに、なぜか無邪気に見えます。