1行目の表現からは、どれだけ反抗しても常に優しさを与えてくれていたことがわかります。
生意気な口の利き方をしたり、無視をしたり…。
きっと母に対するひどい言葉を沢山投げかけたのでしょう。
それでも彼の母は、彼を突き放すことはしなかったのです。
信じられないくらいの優しさで、きっとどんなことも受け入れてくれたのです。
そんな母の優しさを、時には利用したのしかもしれません。
子供がどんなことをして自分を傷つけようとも、嫌いになるわけがありません。
例え3行目のようにとことん利用されても、我が子を守ろうとするのが母なのです。
母親という特別な存在
「平凡な人生」それが貴方(あなた)の夢
誰よりも早く起き誰よりも遅く寝る
頭下げさせた分頭が上がんねぇ
何かありゃ察知する不可解(ふかかい)なテレパシー
親父を黙らせる生粋(きっすい)のバトルMC
この唄で全てをチャラにしてくれ
なんて言わねぇが死ぬ前にこれを届けるぜ
出典: 背中/作詞:GADORO 作曲:LITTLE D&GOWLAND
息子であるGADOROは、ぶっきらぼうなようで、歌詞からは母への思いやりが見て取れます。
なぜなら、1行目に綴られているように、母の夢を知っているのですから。
子供が親の夢を知っているなんて、そんなにあることではないのではないでしょうか。
普段からお互いに興味を持ち、色んな会話をしてきたことが垣間見られる歌詞でもありますね。
さらに、2行目で綴られていることも普段から見ていないと書けない歌詞だと思います。
素敵な母がそばにいたからこそ、書ける内容でしょう。
そんな母にこの歌を捧げたい。
自分の想いの丈を込めた1曲を聴いて欲しい、という気持ちが伝わってくるようです。
GADOROはMCバトルの王者であることは前述しました。
家族の中では、5行目のように、母がMCバトル王者だったのかもしれませんね。
父をも黙らせる母の叱咤をMCバトルに例えるのも、GADOROの言葉選びのセンスといえます。
両親がいたから今の自分がある
あの日のHERO あの日のB-BOY
憧れすらも超えられぬ訳
徐々に縮こまる背中
だが誰よりもでかいからさ
甘ったれた俺を手塩にかけた
暇な日でも良いテキトーにかけな
母ちゃん 父ちゃん 感謝してるさ
あんたらがいたから今の俺があんだ
出典: 背中/作詞:GADORO 作曲:LITTLE D&GOWLAND
繰り返しの部分では、母と父への感謝をストレートに伝えています。
自分にとってヒーローだった2人。
B-BOYだった自分のことを応援してくれていた2人。
そんな解釈ができます。
時間の流れは止まることなく、私たちは年を取っていきます。
父の背中が昔よりも縮こまって見えることに、その時間の経過を感じるのです。
誰にも止めることのできない現実を目の当たりにし、寂しさが伝わってくるようですね。
それほどまでに長い間、自分のことを大切にしてくれたことに感謝しているのが分かります。
いつだって信じてくれた、父の存在
餓鬼(がき)のわがままに屈託(くったく)の無い笑みを
浮かべ相手してた親父が今日は俯いてる
無愛想な警官と張り詰めた空気
無表情のガラス張りが俺達を遮(さえぎ)る
描いてきた絵をガラス越しに渡す
90の巨体が縮こまり涙を流す
5年間帰りを待ち続けた
爺ちゃんの墓に神社のように願った
出典: 背中/作詞:GADORO 作曲:LITTLE D&GOWLAND
ここでは、自分よりも大きくて頼れる存在だった父との想い出を綴っています。
わがままで困らせてばかりいた子供の頃。
父はそれを怒ったり面倒がったりせず、むしろ一緒になって相手をしてくれていたのでしょう。
その様子からも父の懐の大きさが伝わってくるようです。
しかし、場面は一転…。MVでも拘置所か刑務所の面会のシーンが映し出されています。
父に一体何があったのでしょうか。
自分と一緒に遊んでくれていたあの笑顔が、目の前の父にはありません。
ここの歌詞とMVのシーンからは、何かがあって、警察に捕まってしまった父だということが分かります。
それが事実なのかはわかりかねますが、たとえ事実だとしても父を責めることはしていません。
それどころか、最後の2行にあるように、父が帰って来るのを長い間待っていたのです。
ずっと触れられなかったあの事も
白球を追いかける俺が夢だって
言ってくれたのに土壇場(どたんば)で全て裏切った
少ない貯金はたき買ってくれたミプロの
グローブは使わず仕舞いで押し入れに
あの日描いた絵は二人のキャッチボール
未(いま)だに言葉を投げ返せずにいる
水の泡になったあの思い出も
白霧(しろきり)で割って死ぬ前に乾杯しような
出典: 背中/作詞:GADORO 作曲:LITTLE D&GOWLAND
GADOROも成長し、父と夢を語り合うこともあったのでしょう。
野球をやっていたと想像できる歌詞の内容。
父は野球に夢中になるGADOROのことを誇りに思っていたのかもしれません。
試合を応援することもきっと喜びだったのではないでしょうか。
しかし、GADOROは父の夢も裏切ってしまったと後悔しています。
彼のために買ってくれたグローブは、使うことなくしまいっぱなし。
いつから見ていないかもわからないくらい、長い間しまい込んであるのかもしれませんね。
それを未だに気にして、いつかは父にちゃんと謝りたい。
そんな気持ちも感じ取ることができます。
今更キャッチボールなんてできないけど、その代わり一緒に飲んで語ろうか。
そんな大人になった気持ちではないでしょうか。
長い間後悔し気に病んでいたということからも、GADOROの優しさが伝わってきますね。
元気でいてくれることが一番だから
初のプレゼントは俺のCD
未だに一切聴いていないらしい
だけど実家のラジカセの隣に
歌詞カードそして老眼鏡見つけたぜ
なぁこれはどう説明してくれる
親父は代行酔っ払いの相手大丈夫か?
あと金返してくれ楽にはさせねぇ
元気でいてくれ
出典: 背中/作詞:GADORO 作曲:LITTLE D&GOWLAND