【自主】/ロス

10代シンガーソングライター「ロス」

ロス【自主】歌詞の意味を考察!あの子を陥れた理由は?周りの皆と私にだけ向けられた悪意の真意に迫るの画像

若干16歳でメジャーデビューを果たした注目のシンガーソングライター「ロス(Roce)」。

その独特な音楽性と表現力豊かな歌唱力でネットを中心に人気を集めています。

ロスが最初にネットに音源を投稿したのは2019年4月、14歳の時。

ボカロPピコンの楽曲である【ガランド feat. 初音ミクのカバーを投稿したのが始まりです。

元々ネット界隈で盛り上がりを見せていたボカロ文化も今やメインカルチャーになりつつあります。

ボカロ文化の最大の特徴はボーカロイドソフトとDTMにより誰でもネットで自作曲を発表できることです。

2000年代からニコニコ動画を中心に多くのボカロPやボカロ曲が誕生し、シーンを盛り上げました。

そして昨今ではその優れたボカロP達がバンドやシンガーとして自ら人前に出るようになってきています。

米津玄師ヒトリエヨルシカYOASOBIなどがその代表でしょう。

ボカロ曲を歌い手がカバーする歌ってみた動画」もボカロ文化の大きな特徴の一つです。

音声合成ソフトであるボーカロイドは人では歌うことが困難な楽曲を発表することを可能にしました。

そんなボカロ曲の「歌ってみた動画」を投稿することは歌い手の能力の高さをアピールすることでもあります。

そうしてシンガー不在であることが特徴のボカロ文化が優れた歌い手をも多く誕生させることになりました。

ロスも「歌ってみた」動画で圧倒的な歌唱力を披露し、注目を集めた歌い手の1人です。

ロスはボカロ文化が産んだ新世代のシンガーソングライターだといえるでしょう。

メジャーデビュー曲【自主】

若干14歳にしてボカロ曲の「歌ってみた」動画で注目を集めたロスは自作曲を発表していきます。

1分30秒ほどの短い自作曲は独特な世界観を持った作曲センスと個性的な歌唱表現をアピールするに十分なものでした。

そうしてシンガーソングライターとして活動を始めたロスはネットを中心に徐々に話題になっていったのです。

そんなロスがなんと2021年7月12日に16歳でメジャーデビューすることになります。

この記事で紹介する【自主】はそのメジャーデビュー曲となった楽曲です。

YouTubeに投稿されたMVは配信からわずか1か月足らずで230万回再生を記録。

この記事ではそんな今話題の【自主】の歌詞を紐解いていきます。

自主と自首

はい!私がやりました!
あの子を奈落へ落としました
で?だから何か問題が?
だって皆あの子嫌いでしょ?

出典: 自主/作詞:ロス 作曲:ロス

【自主】というタイトルのこの歌は主人公による自首により幕を開けます。

「自主」と「自首」、同音異議語である2つの言葉がこの曲の歌詞の大きなテーマです。

自首の内容は「あの子」を奈落の底に落としたこと。

実際に地獄へと送ったのか、社会的抹殺を意味するのか。

何にせよ何らかの形で「あの子」に絶望を与えたことは間違いありません。

何故そんなことをしたのか、その理由がここから歌われていきます。

泥沼な教室

女王様気取りの「あの子」

自業自得よ
当然の報い
女王様気取りで足組んでさ
みんな輪になって
慕うあの子を
内は泥沼だ 嗚呼

出典: 自主/作詞:ロス 作曲:ロス

「あの子」が奈落の底に落ちたのは当たり前のこと、自然の摂理だといいます。

「あの子」はいつもみんなの中心にいて、カーストの頂点に君臨する存在だったようです。

ロスが10代であることからもこれは学校やクラスを舞台とした歌であると考えられます。

「あの子」はリーダーシップがあり人気者、というわけではなくみんなを支配していた、というニュアンス。

そんな「あの子」を中心に構築された人間関係を泥沼だと嘆きます。

悲しんだふりをする「みんな」

机に置かれた
百合の花瓶と
悲しげなふりした仮面達が
あまりに滑稽で
右手を挙げて
教えてあげるの真実

出典: 自主/作詞:ロス 作曲:ロス

百合はお葬式に使用される花としてよく知られる花。

学校などでは亡くなった生徒に捧げる意味で机の上に花瓶に挿して置かれることもあるでしょう。

机に百合の花瓶を置く、という行為は典型的なイジメのパターンとしてもよく知られています。

その行為にはターゲットを死人として扱っている、という意思表示が込められているからです。

そんな百合の花瓶が置かれたのは「あの子」の机。

この場合はみんなが悲しんでいるようなので、「あの子」は実際に亡くなってしまったようです。

しかし「あの子」を取り巻く泥沼の人間関係を知る主人公にはそれが悲しんでいるふりだとわかっています。

「あの子」の支配の下で仮面を被っていた取り巻きのクラスメイト達。

そんなクラスメイトが「あの子」が亡くなった今、「悲しいふり」というまた別の仮面を被っているのです。

それを馬鹿馬鹿しく思った主人公は素顔で自首をします。

このパートからは周りに合わせて態度や行動を変える「自主性のなさ」に対する怒りを感じ取れるでしょう。