人生には浮き沈みがありますよね。
恋愛に関してもそうで、付き合ったり別れたりいろいろあります。
自分の手で選んできた道だったとしても、時に「あの時ああしていればよかったかも」なんて誰もが一度は考えたことがあるはず。
でも、この道じゃないと「あなた」と出会えなかったと思えば、過去の辛いことも報われたと歌っています。
この女の子にそこまで思わせる「あなた」とはどんな人なのでしょうか。
雨が嫌いだった「あたし」に、「雨にもこんな素敵な一面があるよ」と教えてくれるポジティブな性格だということが分かりますね。
恋というのは、時として苦しくもありますが同時に大切なことを教えてくれるものでもあります。
彼女にとってこれまでの恋愛での後悔や苦悩が、「あなた」と出会ったことで救われた部分があったのではないでしょうか。
もしかしたら「雨」というのは、人生における苦い経験のことを指しているのかもしれません。
そしてそんな苦しい時期を乗り越えた先にいたのが「あなた」だった。
そしてその「あなた」と出会えたことを「虹」だといっているのではないでしょうか。
今までのことが過ちではなかったと思えるほど、主人公にとって彼との出会いは素晴らしいものだったのでしょう。
桜が咲く日まで
「春が来るとこの川辺は桜がめいっぱい咲き乱れるんだ」
あなたは言う あたしはうなずく
出典: 桜の時/作詞:AIKO 作曲:AIKO
川辺で咲く桜がきれいだと「あたし」に伝えていることから、その川辺の桜は「あなた」にとってはなじみの場所であり「あたし」にはまだ見たことのない景色であることが分かります。
そして、あなたの言葉にうなずくのは、まだ見たことのない「桜の時」を想像してみているのではないでしょうか。
まだ眼前には現れていないその光景を想像することで、主人公は彼とその桜の中を歩く未来を想像しているのでしょう。
それは彼女の「あなた」とこれからも一緒にいたいという気持ちの表れだと考えられます。
桜というのは、新しい春の訪れを知らせる花です。
彼女にとってはこの恋こそが新しい春なのでしょう。
この楽曲が冬にリリースされたのもこの楽曲が春の曲ではなく、未来の春を夢見る歌詞だからといえるのではないでしょうか。
「桜の時」というタイトルに隠された意味が分かる歌詞です。
春ではない季節から見た春を描き未来を想像させる表現からは、aikoの作詞技術の高さが伝わってきますね。
幸せなこの恋にたどり着くまでの今までの道のりと、これからの未来を考えて感慨深い気持ちなのではないでしょうか。
これからもずっと一緒に居たい
右手をつないで 優しくつないでまっすぐ前を見て
どんな困難だってたいした事ナイって言えるように
ゆっくりゆっくり 時間を越えてまた違う
幸せなキスをするのがあなたであるように
出典: 桜の時/作詞:AIKO 作曲:AIKO
2人で手を取り合って、どんな困難も乗り越えられるように、前を向いて生きていきたいという想いが感じられます。
「また違う幸せなキス」というのは、「好きのキス」から「愛しているのキス」へ、恋人同士のキスから夫婦のキスへと変わっていくことを示しているのではないでしょうか。
2人ならばどんな未来が来たとしても、受け入れて乗り越えていける。
その気持ちはお互いにお互いのことを信頼し合っているからこそ現れるものだといえるでしょう。
お互いにお互いを補い合い、頼り合っていい。
そう思えるのは、2人でいることによってこれからの未来に希望を持っているからなのでしょう。
独りだと乗り越えられないことでも、信頼する恋人とならきっと大丈夫だと確信しているのです。
そしてその信頼の先にある安心というのが、夫婦という形。
夫婦になるということは、恋人から家族になるということを意味します。
家族になるというのはお互いのことを生涯支え合うということです。
主人公は結婚しても良いと思えるほどに、「あなた」のことを愛しているのだということが分かる歌詞です。
2人の未来を夢見て
愛が溢れて言葉では表現できない
今まであたしが覚えてきた掌の言葉じゃ足りない程
伝えきれない愛しさに歯がゆくてむなしくて苦しいよ
まぶたの上にきれいな青 薄い唇に紅をひく
色づいたあたしを無意味なものにしないで
出典: 桜の時/作詞:AIKO 作曲:AIKO
「好き」や「愛している」という言葉だけでは足りない大きな愛が体中を駆け巡っているのが分かりますね。
「まぶたの上のきれいな青 薄い唇に紅をひく」とあなたのために化粧をしていることが分かりますね。
さらに、ブルーのアイシャドウで大人っぽく見せ、そしてキスしたくなるような厚い唇にするために、リップを使っていることから、女性らしさを意識したメイクだということが分かります。
一人の女性としてちゃんとみてほしい。そんな思いが読み取れます。
今までの自分が経験してきた恋とは比べ物にならないほどに、彼女は「あなた」に対して大きな愛を注いでいるのです。
愛しいという想いを言葉にすると途端に嘘に聞こえてしまうほど、言葉ではあまりにも簡単すぎると思っているのでしょう。
本当はもっと深く複雑な愛情だから一言では表せなくて、もどかしい想いをしているのだということが分かります。
だからこそ彼女はその愛しさを表現し、彼にもっと愛してもらえるようにメイクをしているのです。
メイクを丁寧にすることで、いつもより可愛いと思ってもらいたい。
そんな彼女の心情が伝わってきます。
結婚をひそかに意識している女の子
気まぐれにじらした薬指も慣れたその手も
あたしの心と全てを動かし掴んで離さないもの
出典: 桜の時/作詞:AIKO 作曲:AIKO
薬指は、結婚指輪をはめる指。
「気まぐれにじらした」という言葉から結婚したい気持ちはあるものの、プロポーズを期待しているような雰囲気が感じられますね。
曲のラストにはまたサビがり返されます。どんな困難だって2人で超えていこう。
というフレーズは「あたし」からのプロポーズなのかもしれませんね。
今はまだ指輪がされていないその薬指に、自分との誓いを立てる指輪がされる日のことを心待ちにしている「あたし」。
そしてその手は「あたし」の手をいつもと同じように握るのです。
彼女は、その暖かい「あなた」の手が何よりも2人にとっての絆を象徴しているものだと思っているのではないでしょうか。
2行目の歌詞にはこれまで綴られてきた「あなた」に対しての彼女の想いの強さが端的に表されています。
心だけではなく全てが彼のものだと思えるほどに、彼女にとって「あなた」は大切な存在なのです。
自分の全てをこの人との人生に捧げてしまっても良いと思えるほど、彼女にとってかけがえのない人だということが分かります。
「桜の時」は桜が咲き誇る光景を想像することによって、恋人と暮らす2人の未来を夢見る女性の歌でした。
その一途な想いは彼女のこれからの未来が明るいことを想像させるもの。
タイトルに「桜」という言葉が付きますが、この楽曲のタイトルには2人にとっての春を夢見るという意味があるのでしょう。
だからこそ、季節を問わず聴ける名曲となっているのです。
今幸せな恋愛をしている方に、恋人との未来を想像しながら聴いていただきたい楽曲です。