adieu 強がり
adieuさんが2019年11月末に「強がり」をリリースしました。
普段音楽を聴かない人からすると、あまり聞きなれないアーテイストかもしれません。
しかし、彼女のもう一つの名前を聞けば知っている人も多いでしょう。
彼女の女優名は上白石萌歌。
大河ドラマにも出演した売れっ子女優さんです。
彼女の純粋さと透き通った歌声は、世代を問わず聞きほれてしまう力があります。
今まで「パプリカ」など、純朴さや朗らかな曲を歌うことが多かった彼女。
しかし、今回リリースされた歌はディープで大人な恋愛の歌になっています
歌っている内容は、大学在学中の学生さんが歌っているとは思えない内容です。
それを見事に歌い上げているあたりは、さすが女優さんだなと感心します。
彼女があまり見せてこなかった、大人の部分が見える歌です。
「強がり」は彼女の初めてのミニアルバム「adieu 1」に収録。
彼女の歌が気になった人は、ぜひそちらもチェックすることをおすすめします。
歌詞解説スタート
肌寒い風
空まで伸びた街路樹と
雲の合間 眺めていた
昨日の心
風が撫でた
優しさだけが堪えていた
出典: 強がり/作詞:Nariaki Obukuro、Yaffle 作曲:Nariaki Obukuro、Yaffle
どこか上の空の彼女の一場面から歌は始まります。
この歌は好きな人に自分の想いを告げられない女性の物語になります。
そして後半の歌詞にも少し出てきますが、季節は秋から冬。
冬にはなっていませんが、肌寒さを感じて秋の終わりを予感させます。
ここでは昨日、彼と過ごした時間を思い返しているのでしょう。
彼女の心は優しさで満たされています。
しかし、なぜか冬のような寒さと満たされない想いを感じているようです。
体と心が感じている
雨に夜道が光るバス停
あなたを思い返してる
体の奥で
出典: 強がり/作詞:Nariaki Obukuro、Yaffle 作曲:Nariaki Obukuro、Yaffle
先ほどの歌詞とは別の日に場面は変わります。
雨に濡れ、てらてらと光る道。
ここでも彼女は彼のことを想って、上の空になっています。
“体の奥”とは彼女の心のこと。
ただし、単純に心の感情ではありません。
体の感覚と一緒に彼のことを思い出しています。
彼の匂いを嗅いだときの安心感。
肌を重ねたときの温もりと心が満たされる気持ち。
気持ちだけでなく、体が彼を求めているのです。
悔しさ
2人の関係
愛してる
言えたはずなのになんで
あなたの言葉待ってる
悔しいわ
出典: 強がり/作詞:Nariaki Obukuro、Yaffle 作曲:Nariaki Obukuro、Yaffle
ここで彼女と彼の関係が少し見えてきます。
彼女は彼に“愛している”と伝えられない立場にいます。
「好き」ではなく「愛している」が伝えられません。
単純に彼女たちが、カップルになる直前の関係ではなさそうです。
たった5文字の言葉なのに言ってしまったら、彼との関係が崩れてしまうかもしれない。
おそらく彼は彼女のことを本気で愛しておらず、他に本命の女性がいるのでしょう。
彼は彼女に「向こうとはそのうち別れる」とでも言っているのかもしれません。
そんな日が来ないと分かっていても、彼女は「愛している」と言われる日を待ってしまいます。
そんな自分が嫌で、悔しいと感じているのでしょう。
青空と落ち葉
空の青さに舞う落ち葉
描いたはずの幸せなんだ
もしも会えたら何から話そう
昨日と同じ気持ちだろうか
出典: 強がり/作詞:Nariaki Obukuro、Yaffle 作曲:Nariaki Obukuro、Yaffle
空の青さと落ち葉の色のコントラストが綺麗です。
秋は終わり、冬の訪れを感じさせます。
この場面は季節と一緒に、彼女の心の模様を表していますね。
彼女の澄み渡った心に落ちる1つの影。
すっきりしているようで、どこか引っ掛かりが彼女にもあるのでしょう。
彼女は最初からこうなることを知っていたはずです。
それを受け入れて彼と関係を持ちました。
自分に、今は幸せなんだと言い聞かせているようにも思えます。
これから彼と会って、楽しくおしゃべりをするのでしょう。
しかし、彼女の心にはいつも「このままでいいのだろうか」と引っ掛かりがあります。