彼は愛に飢えています。

気が合うか合わないか、それは一つの縁でしかないのに、合う人を探し続けているのです。

考えだしたらキリがありません。

信じ合える愛もあれば、裏切られる愛もあります。

これ以上、心が傷つくことを恐れているのでしょう。

気付き始めた感情

都会の風に吹かれて流されて
ギリギリ立っている
誰にも言えない弱さがあるから
サバクノ マンナカ アイタイ…

出典: 化身/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

時の流れと周りにただ流されているだけの彼が、必ず思い出すのはたった一人の女性。

彼女がどんな女性であっても、会いたいと思えるのは君しかいないと気付いているのです。

もしかしたら、気付かないふりをしているのかもしれません。

気付けただけでも実は幸せなことなのに、なぜか心はさまよい続けています。

矛盾だらけの感情

キミ淑女になってくちづけを
渇いた身体を濡らして
少女のような情熱で
凍えた人生溶かして

出典: 化身/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

ここでは君をキミと表現し、淑女と少女で対比させているのがポイント。

  • 淑女は気品あふれる女性の象徴
  • 少女は汚れなき女子の象徴

癒やしと燃え上がる感情の2つを欲しているのが見受けられます。

無感情ではなく、感情を交えることで飢えた心を温めてほしいのです。

夢を 夢を見せて
我は 愛の獣

出典: 化身/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

それでも、心の隙間を埋めるためだけに感情のない関係を続ける男の悲しい性。

彼女の魅力にもてあそばれているくらいがちょうどいい。

自分自身を獣扱いしつつも、本当の幸せを手に入れたいと願っているのです。

心の隙間は君しか埋められない

ひとりぼっちだよ そんな気分だよ
誰といても遠いよ
信じることさえ諦めかけてる
ソノユビ ソノムネ アイタイヨ…

出典: 化身/作詞:福山雅治 作曲:福山雅治

むしゃくしゃした気持ちや悲しみを埋めてくれるなら誰でもいい。

そう思う一方で、不特定多数の誰かでは空虚感が募ることも感じ始めているのです。

やっぱり、彼女しか愛と幸せを満たすことはできません。

そんな葛藤が表れています。

アナザーストーリー

女性の心理描写

『化身』は男性から女性に向けて歌われているように聞こえます。

ところが、彼の葛藤の向こう側には、もう一つのストーリーが隠れているのです。

彼が抱きたいと思っている彼女のストーリー。

そこには男性不信に陥っている女性が存在しています。

愛してくれる男などいない