この当時のことを笑い飛ばせるのもケツメイシの魅力だと思います。
「手紙 過去~」や「ケツメの作り方」があるからメンバーたちはここまで進んでこれたのかもしれません。
文字通りの奇麗な言葉だけではなく、ただならぬ苦労があるから歌詞に説得力があるのではないでしょうか?
包み隠さずに心境をストレートに綴った歌詞があるから、多くのファンに愛されるのだと思いました。
そろそろ未来に向かって先走らないように「手紙 過去~」の話に戻ります。
仲間の存在
常に前にあった 当たり前にあった
苦悩 多くの ⽇々努⼒と苦労
無論 何も成果でずのプレイヤーが得た
物は今は咲いた エンタテイメントのフレーバー
揺らいだこともあった つないだ⼿の中
仲間たちと 轍の道を急いだ
遊んだことも 悩んだことも
今はよき思い出のパートナーと
出典: 手紙 過去~/作詞:⼤塚亮⼆ 作曲:⽥中亮
「書いた日記を見せてください」と言われたらどう感じますか?
人には見せられないような恥ずかしいことを書いている人もいるでしょう。
でもこの「手紙 過去~」はメンバーたちが感じたことを四人で共有しています。
そして後々はリスナーにも赤裸々に明かし、みんなで共有していくことになります。
一昔前は交換日記なるものが小中学生の女子の間で流行しました。
おそらく交換日記をする心境は「二人だけしか知らない秘密がある」という親近感ではないでしょうか?
信頼できない人には言いづらいけれど、あの子にだったら打ち明けられるという信頼感。
メンバーたちもそんな絆があるからこそ苦労を乗り越えることができたのでしょう。
それぞれが舵取り役
歌詞にもあるように、焦りのせいで作られたレールに沿って先を急ぎたくなったときもあるはずです。
でも「これは俺たちの音楽なのか?」と自問自答したのかもしれません。
そう問い続けてきたことが結果的には間違っていなかったと思える日が来ると言っています。
一人だったら暴走してしまうところを誰かがなだめていたのかもしれません。
もし一人だけで日記の目標を見ていたら、突っ走った挙句に玉砕した可能性もあります。
「三人寄れば文殊の知恵」ということわざのように、残りの三人のおかげで冷静になれたときもあるはずです。
四人で一つだったからこそ、さまざまな角度から自分たちを見つめてこれたのではないでしょうか?
しかし価値観が違う四人が集まることで、グループ内の価値観と合わなくなることもあるでしょう。
「船頭多くして船山に上る」のようにバラバラにならなかったのは、深い絆で結ばれていたからだと思います。
そして道中四人で吊り橋を渡るときには、どう転んでも四人一緒だという気持ちを「手紙 過去~」に書きました。
「今」読み返しても「仲間って最高だ!」と思える手紙はないのではないでしょうか?
客観的に自分たちを見たとき
疲れ果てた体よりも 先に⾛る感受性と
善も悪も内に秘めた 純粋さ持った胸と
未熟な頭でもがきながら いくつか⾺⿅みてもガキだから
だが 何かに事⽋かなかった 曲がった⽬で
内にまず⾔葉から 真っ⾚に暖めて
今⽇もわりとあっけなく 過ぎて何も変わらない
ようで変わらない
出典: 手紙 過去~/作詞:⼤塚亮⼆ 作曲:⽥中亮
この「手紙 過去~」を四人で共有し、心の内を見せ合ったからこそ絆が深まっていきます。
そして多くのリスナーもこの「手紙」を共有することで「ファン」という結びつきができました。
ここでは「頭で考えるよりも体に鞭を打って走り続けているような心境」を歌っています。
しかし勢いだけでは書けない、とても客観的なリリックとなっています。
元々リリックは「感情的な詩」という意味ですが、歌詞が独り歩きしていないのが彼らのすごいところです。
ちなみにシングル「手紙」が発表された同年に「冷静と情熱のあいだ」という映画が公開されました。
まさにケツメイシの楽曲は冷静さを保ちながら歌詞を書き、情熱を込めて表現するという言い方がピッタリです。
サビでも手紙に文字を「書き殴る」ではなく一字一句を丁寧に綴っていることからも汲み取れるでしょう。
頭に血が上ったときに熱を冷ましてくれる役目を持つのが「手紙 過去~」なのかもしれません。
あふれ出す感情
⽢く切ない 記憶追い 薄暗い
ボロアパート⾶び出し ⾒上げるblue sky
過ぎ去った⽇々を後悔する位 後退や荒廃の繰り返し
続く悪天候 霧が⽴ち込め 展望も漠然としてんのに
歳⽉はup tempoで 好き勝⼿にやっていたって
待ってくれず やって来ては すぐ過ぎ去って
出典: 手紙 過去~/作詞:⼤塚亮⼆ 作曲:⽥中亮
ここまでは平熱を保ってきましたが、風邪をひくこともあるのが人の宿命です。
ここで心の中の鬱憤が出てきました。
うまくいく日もあるけれど、うまくいかない日の方が多いのかもしれません。
「俺たちがやっていることって何なんだろう?」
まさに梅雨の真っ只中のようです。
雨で外に出れない日が続いても、カレンダー上では一日一日が過去のものになっていきます。
「昨日出かけておけば良かった」と後悔しても昨日は戻ってきません。
昨日やったことはムダだったと思いながら過ぎていく毎日に嫌気がさしているのでしょう。
偶然晴れた日に外を出て見ても、現実と理想のギャップで後悔の念に追い打ちをかけてきます。
あの時を笑い合えるように
新しい出会い願いでかい夢すら 描いてもがいていたあの⽇々
あの時にはもう 戻れないがそう 振り返ればもう
塗り替え また すり替えたいと思うことを
出典: 手紙 過去~/作詞:⼤塚亮⼆ 作曲:⽥中亮