誰かを追いかけ続ける楽曲!?
ハイトーンボイスが魅力の4人組バンド、「LOOK」。
バンド名の「LOOK」は、当時流行ったチョコレートから連想し命名されたといいます。
グループ自体は詳しくなくても、この楽曲をご存知の方はとても多いのではないでしょうか?
今回は、短い活動期間のなかでも名曲とされる「シャイニン・オン君が哀しい」をご紹介いたします。
1985年からデビュー以来、惜しまれながらもたった4年ほどで活動を停止してしまうのです。
ヴォーカルは、高音ボイスの鈴木トオル氏。
ハスキーながらも、透明感のある美しい歌声のバラードに仕上がっています。
男の未練を切なく語る
「シャイニン・オン君が哀しい」は、1985年4月にデビューシングルとしてリリースされました。
男性特有の、少し女々しくいつまでも未練がましさが印象的なのです。
身に覚えのある男性も多いのではないでしょうか。
高音でイントロから力強くサビに入っていきます。
耳に飛び込んだ瞬間から、自分が主人公へと惹きこまれていくようです。
さあ、「LOOK」の世界へ浸りに向かいましょう!
「シャイニン・オン君が哀しい」余すところなく読み解きます
真っ暗なスクリーン
シャイニン・オン 星も見えない夜に
君の姿 浮かんで消える
出典: シャイニン・オン君が哀しい/作詞:千沢仁 作曲:千沢仁
「shining on」とは、「輝き続ける」という意味です。
いつものように、ふと夜空を見上げる主人公。
いつもあるはずのモノが見当たりません。
2人を照らし、絶えず見守ってくれていた「輝く星」。
今夜に限っては、いくら探しても一切見つからないのです。
ともすると、主人公の目にはすでにうっすらと涙が浮かんでいるのかもしれません。
そのため、夜空がぼやけて目に映っているのでしょうか。
そう遠くない記憶を呼び起こさせる、「星たち」。
たまたま見えない真っ暗な夜空に、今はそばに居ない彼女を投影しているのです。
悲痛に苛まれる主人公
消えた淡い秘め事に
今さら悲しむこともないだろう
出典: シャイニン・オン君が哀しい/作詞:千沢仁 作曲:千沢仁
この1行目の歌詞には、少なからず引っかかる箇所があるのです。
他愛もなく終わった、2人の「恋路」。
主人公は、ただの男女の恋愛にすぎなかったのだといっています。
ん?やはり何かおかしくはないでしょうか。
少々気になる一言が耳に残ってしまいます...。
「秘め事」とは一般的に、隠し事や秘密など後ろめたさを感じるシーンで用いられることが多いのです。
決して、前向きな意味合いで使われることはそうありません。
ましてや、お互いクリーンで純粋な恋愛においては尚更なのです。
そもそも人目を忍ぶ必要はないのですから。
「禁断の恋愛」であったがゆえと、断定してもよいのではないでしょうか?
別れに泣く泣く納得をしている、主人公の表情が思い浮かぶのです。
酒によいしれる...
オンザロック一息に飲んで
忘れよう Sing a Song of Billy Joel
出典: シャイニン・オン君が哀しい/作詞:千沢仁 作曲:千沢仁
いつも一緒に楽しんでいた、お酒。
口にするのは久しぶりなのかもしれません。
閉じ込めていた彼女との記憶が、甦ってしまうからです。
今夜は1人で飲むことを決めた、主人公。
グラスに映る、自分の姿。
もの悲しく歪んだ自分の顔に、耐えられなくなっている情景が垣間見えるのです。
2人の時間に欠かせなかったウィスキーを、今は1人で想い出とともに流しこみます。
空になったグラスをかたむけ、ジッと見つめる主人公。
残った氷には、しょぼくれた情けない顔が屈折して見えるのです。
偶然、2人でよく聴いたBGMを耳にします。
お互い、「Billy Joel」が好きだったのでしょうか。
お気に入りの曲が流れ口ずさむ、主人公。
曲が終わるまでに、「未練を断ち切ってしまおう」と固く決意したのです。