2018年9月10日

突如開設された「ZOC」のTwitterアカウント

そこには「始動。」という短い決意表明と7人の女の子の姿がありました。

そして9月17日、YouTubeに「ZOC実験室」のMVが公開されたのです。

センターにはアイドルの衣裳に身を包んだ大森靖子の姿が...。

コンセプトは「個の肯定」

「ZOC」が見せるのは、まだ自我のない女の子たちを大人たちが育てて行くこれまでのアイドル文化とは逆ベクトルの、女の子たちが、自分のなりたい自分に向かって自立してゆく物語。

大森靖子は言う。

「Don’t プロデュース。私はメンバーでもあり、プロデューサーでもあり、同志でもある。一言でいえば、共犯者です」

出典: https://oomoriseiko.info/

大森靖子の公式サイトで公開された「ZOC」の全容。

そこには以前より大森さんがアイドルに抱き続けてきた違和感への返答が記されていました。

家父長制度の名残のように女性が商品として消費されることへの「NO!」

そして彼女は「共犯者」であるという言葉が記されていました。

大森さんはアルバムのテーマを「個の肯定」であるとリリース時に語っていました。

孤独を孤立させない」場所=「ZOC(支配領域)」。

GIRL'S GIRL/大森靖子

「カワイイ」を他人に判断される必要はない。

全ての個人が自己を肯定「カワイイ」と思うことを実践できる領域

大森さんはZOCというプロジェクトを通して「孤独な表現者」が共生できる場所を作るつもりだったのです。

実はすでに公開されていた「GIRL'S GIRL」のMVにはZOCへの布石が残されていました。

歌詞と映像がリンクしたMV。そして大森さんと共に歩む女の子はZOCのメンバー

ZOCは大森さんが人生をかけて培ってきた哲学が全て詰まった壮大なる実験だったのです!

「ZOC実験室」MVを解説

ZOC実験室/ZOC

あなたに届かない 攻撃も 魔法も
気持ちなんてそもそも 表示されないし
コマンドなる前に 消しちゃえば
恋なんてなかったみたいにね
なかったみたいにね

支配領域に 永遠にあなたはいない
知らないみたいに過ごすのはできるはず
簡単

出典: ZOC実験室/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

恋をしている女の子がいます。

もしかすると女の子はいつだって恋をしているのかもしれません。

しかし多くの恋心は相手に届くことさえ叶わない...。

どれだけアプローチをかけてもいつも男は乙女心に鈍感すぎる!

そんな苦しい思いをするくらいなら恋心なんてリセットしちゃいたい。

無駄な恋に時間を費やすくらいなら自分のカワイイと思うことに全てを費やそう

ZOC「ZOC実験室」のMVを解説!共犯者・大森靖子の"支配領域"を表現?!結末で待っているものとはの画像

届かぬ恋をゲームに例えた1コーラス目です。

MVでのZOCメンバーの表情に注目してみましょう。

舌を出す女の子「アッカンベー」する女の子

「テヘペロ」する女の子、そして嘲わらう女の子

皆大森さんが語るところの「カワイイ」を追及しながら戦う女の子たちばかりです。

ここで歌われる女の子の叶わぬ恋はただの序章に過ぎないのでしょうか?

ゲームをしないだけ ゲームをしないだけ
スタートしないだけ 禁断症状で
ZOC ZOC みえてくる
ZOC ZOC みえてくる
ZOC ZOC みえてくる
ZOC ZOC 吐きそうだ 好きだ

出典: ZOC実験室/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

あの人が好き

閉じ込められた心はだんだんと壊れてしまいます。

支配領域から排除したはずのあの人の幻覚が見えてくるのです!

そこで本当の気持ちに気付きます。

吐きそうなほど好き」。

MVのこのシーンで大森さんはメンバーに押さえつけられています

禁断症状で痙攣する身体。

そして支配から逃れた7人は何かと闘うように激しく踊ります。

ZOCは一体何と闘っているのでしょう?

からだが透けていく 広告も 口コミも
傷つかない媒体に なればいっそラクだよね
信念曲げちゃう? 真心えぐられちゃう?
どっちでダメージを 受けるのか選びなさい

支配領域に いないあなたと分かり合えない
死なないみたいに 殴る 言葉は痛いっす
全然

ZOC ZOC 生きてんの?
ZOC ZOC そのキャラで?
ZOC ZOC 引き摺り出せ おまえをぼくをあなたをてめーを

出典: ZOC実験室/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

InstagramTikTokに代表される個人配信SNS

そこには様々な表現者たちの戦いの記録が残されています。

何と闘う?匿名のアカウントで誹謗中傷をしてくる姿の見えない悪意です。

コスプレアイドルヲタ自撮り画像

様々な「カワイイ」の表現者たちは日々傷つきながら戦っています

そのキャラ似合ってると思ってんの?

そのツラで生きてんの?

ヴァーチャルで交わされる汚い言葉は表現者の心を殴ります

この曲は大森さん自身が匿名の悪意に心を傷つけられた実体験なのでしょう。

傷つくことに恐れ信念を曲げる?全てを晒して傷つく?

どちらを選んでも傷つくことの避けられない残酷な2択。表現者は後者を選びます

大森さんがZOCを通して作りたい「支配領域」は孤独な表現者たちが共生できる場所

MVはメンバー紹介を挿み突如終わりをむかえます

MVに抜け落ちたピース