小学生くらいの頃って、みんなと違うことでとびっきりの注目を浴びます。
噂はすぐに広まって、自分がいない間に話が大げさになっていたりするのです。
あんまりみんなに心配されるから、「大丈夫。」と強がってしまう。
本当はすごく痛かったし、全然大丈夫じゃなかったのに。
そして、この経験は主人公にとって初めてのトラウマになりました。
得意な鉄棒が怖くて上手くできなくなってしまったのです。
最後の行は、この出来事によって主人公の中の何かが変わってしまったということを表しているのでしょう。
鉄棒も、本当はできるはずなのに心ができないと言っている。
心の中の弱い自分が、自分自身を否定することが身に付いてしまったのです。
これは成長でもあり、大人の厄介な部分でもあります。
変化する自分
精一杯 精一杯 笑ったでしょう
皆の前 あの子の前 取り繕って
誰も気にしない様な事 それでも自分には大ゴト
出典: 透明飛行船/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
主人公はこの時「平気なふり」をするので精一杯。
こんなこと初めてでした。
クラスメイトやちょっと気になっていたあの子の前では強がるしかなかったのです。
「全然大丈夫。」と一生懸命笑ったけれど本当は笑える気分じゃない。
恐らく主人公にとって、初めて心から笑えなかったことだったのでしょう。
みんなは「大丈夫ならよかった。」とすぐに背を向ける。
誰も主人公の大きな心の変化には気付かないのです…。
平気なふり
便利な言葉
多分平気なふりは人生で
わりと重要なスキルだと思う
多岐に渉り効果示すので
使用頻度もそれなり
出典: 透明飛行船/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「大丈夫。」「平気だよ。」「たいしたことない。」
誰もが日常的に、本当によく使う言葉です。
けれど、ご存知の通りこれらの言葉には2通りの使い方があります。
1つは、本当に大丈夫な時。
もう1つは、全然大丈夫じゃないけど取り繕って生まれた「平気なふり」。
「平気なふり」は成長と共に、いつのまにか身に付いています。
これが少しもできないと、きっとこの世の中生きていけないでしょう。
色んな場面で使えて便利ですが、使いすぎると危険な言葉。
使い方を間違って、自分の心を傷つけてしまっている人も結構いるのです…。
みんな同じ
人の多くはその熟練者で
大概の焦燥は隠せるが
人の多くがその熟練者だ
大概はばれていたりもするが
出典: 透明飛行船/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
世の中は「平気なふり」のプロでいっぱい。
みんな取り繕うことを日常的にこなしているのです。
ですから、ほとんどの自分の負の感情は隠し通せるでしょう。
しかし、その道のプロはそれを見抜くのもプロ。
もしかしたら、かなりの人にあなたの「平気なふり」は見抜かれているかもしれません。
賢く生きるって難しい
プライド>心の声
大きく小さなプライドが
眠れない夜を幾つも生み
よくある類いの苦しみに 命掴まれて
出典: 透明飛行船/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
「辛い」「助けて」たったそれだけのことが声に出せない。
考えてみればすごく小さなことなんです。
けれど、弱みを見せたくないという強いプライドが勝ってしまう。
誰にも助けを求められなくて、どんどん自分で抱え込んでしまうのです。
最後の行は、多くの人が同じ経験をしているということではないでしょうか。
「平気なふり」が上手くなりすぎて、前に進めない人はたくさんいるのです…。