Official髭男dism【Amazing】歌詞の意味を解説!主人公は何にAmazingしている?の画像

Amazing It's Amazing
謎めいた人生へバンジー Wow
いいね 傍目じゃクレイジー どうかしてなきゃ やってらんねえな
あの星へFly yeah
Amazing It's Amazing
どうか真面目にふざけたまま行け Yeah

出典: Amazing/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

歌詞は藤原聡自身が書いているようにクレイジーな響きになってゆきます。

規範から脱却するには正攻法では通じないのでしょう。

客観的には辻褄が合わないくらいの言動を弄することで巷にある固定観念を破壊します。

そのために歌詞にはナンセンスな内容も盛り沢山になるのです。

歌詞で使われる言葉というツールもルールの上に成り立つものでしょう。

ときに書き手はそうしたルールを無視することで混沌とした状況を表すことができます。

「Amazing」が描きたかった自由な世界への滑走のためには言葉だって不自由さを脱却しないといけません。

藤原聡が再検証するのはこの世にある常識のすべてなのでしょう。

特に人の意識を縛ることもある言葉というツールをより自由に羽ばたかせなくてはいけません。

どこまでも真摯な意志が貫徹しているのですが、そのためにナンセンスな歌詞に結晶したのです。

すべてが人生の深さへの驚きのようなものを表すために書いた歌詞になります。

地球の重力にさえ縛られることなく憧れのあの星へ飛び立ってゆくこと。

これが自由意志というもの本領発揮の姿なのです。

ネガをポジへ変換

不平不満が嫌われる社会

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不満ばかり言っても 無くならない この思いを
人にいくらぶつけてみても ネガティブが増すだけだろう

どうやら長いこと競争主義に染まりすぎてたようだ
抜かれたり 追い抜いたり 違うそんなことじゃない
本当は 単純だ 目を覚ませ フリーダム

Amazing!

出典: Amazing/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

不満不平は日々どんどん心のうちに溜まってゆきます。

しかしこうした思いを口にするだけで対人関係が悪化することがあるのです。

誰も皆、ネガティブな話題には付き合いたくないと思っているのでしょう。

不平不満は問題の解決策ではなく問題提起の仕草です。

ときには聞くべき不満というものがこの社会にはあります。

しかし藤原聡はそうしたものに宿命的に存在するネガティブさを嫌ってしまいます。

実際には社会にある不満を放置しておくといずれは社会全体に亀裂をもたらしかねません。

そうした事態までの想像力はポップソングの力でできる範疇を超えてゆくのでしょう。

Official髭男dismの魅力は何よりもポップソングにあるポジティブさにあるのですから。

ネガティブな思いを抱えること自体は社会の重圧を考えると自然なことです。

藤原聡がいいたいのはそれをポジティブな形で解消する術を探すべきではないかということでしょう。

具体的にどうすればいいのかということは歌詞の中に明示されません。

ポップソングにできることはあまりにも限られています。

具体策はそれぞれの政策団体・政党などが責任を持って社会に提示するべきことでしょう。

とりあえずポップソングは皆の不満を代弁しながらもポジティブなバイブスに変えてゆくことなのです。

イリュージョンからの覚醒

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藤原聡は「Amazing」の歌詞の中で現代日本社会の基軸について的確な洞察をしています。

私たちの社会はあまりにも過酷な競争主義によって作られているのです。

初等教育が始まった途端に誰もがこの競争に巻き込まれてしまいます。

離脱するべき手段となると不登校のような完全なドロップ・アウトしかないのです。

子どもの頃からこうした競争主義が社会生活の基礎になってしまいます。

そこで計られるモノサシは人間性ではありません。

テストの得点の出来不出来というもので点数化・偏差値化されてしまうものなのです。

生まれてきた社会がこんな味気ないものだったのかと後悔する人だっています。

ある人は自殺という極端な手段を選ぶでしょう。

そして最近になって深刻なことは同じような思いを子どもにさせないためにそもそも子どもを産まない。

そんな選択をする反出生主義というものが台頭していることです。

少子化の原因は日本社会が貧困になったことだけではありません。

藤原聡はこうした機運を察して価値観を変えようと提案します。

追い抜け・追い越されを続ける社会にもっと本来の人間性に即した価値観を甦らせようとするのです。

それは人間存在に許されている根源的な自由へのアプローチになります。

社会規範というものは大きな視点からするとイデオロギーの反映です。

その実態は社会の現実を反映していますが、イリュージョンでもあるのでしょう。

まやかしのイリュージョンから覚醒して本来の自由を取り戻したい。

それはすごく簡単なことでよく物事を考えれば気付けることなのです。

藤原聡の思いはまっすぐに人間を見据えたものなのでしょう。

実際には社会の現実は私たちを中々自由にはさせてくれません。

しかしポップソングの中で想像力の羽を広げて別の人生を思い描くことは簡単かつ可能なのです。

「Amazing」と人の勇気

悦びこそ人生の原動力

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囚われたため息からの脱走を
作られたイメージへの反抗を
小手先より腕目一杯の大爆音
It's Amazing いざMake It!
まだ見ぬ歓喜の予感にさあ 急かされるまま Oh Yeah

Amazing It's Amazing
謎めいた人生へバンジー Wow
いいね 傍目じゃクレイジー どうかしてなきゃ やってらんねえな
あの星へFly yeah
Amazing It's Amazing
どうか突き詰め続けたまま行け Yeah

出典: Amazing/作詞:藤原聡 作曲:藤原聡

楽曲の最終盤を見ていきましょう。

私たちは毎日の生活の中で深くストレスに侵食されています。

このストレスの原因は様々なものが考えられるでしょう。

その中でも一番生活に密着しているものは学校や職場から発生するストレスです。

上司や教師との関係・同僚や友人との関係など考えられるものはいっぱいあります。

こうしたストレスひとつひとつが頭痛の種になって私たちにため息を吐かせるのです。

もっと大きな視野から眺めるとこうした些細なストレスにも社会の大きな力が関与しています。

社会からの逸脱は叶わないにしても、もう少し生きやすい生活環境を創ることはできるかも。

壮大な努力と新しいヴィジョンが必要になりますが人間らしさを取り戻すには絶対に必要なことでしょう。

また私たちは社会を変革できないという強固な刷り込みをされています。

毎日接しているメディアの報道、あらゆる創作物の中に隠れた諦めの念。

こうしたものが私たちに誤ったイメージを植え付けているのです。

投票行動で政治が変わること。

この考えですら否定的に捉えられている社会はもはや民主主義国家ではないようです。

誤ったイメージの解体のために身の回りのものを疑ってかかってみてはどうでしょうか。

それもネガティブな発想ではなくポジティブな社会変革のために智慧を見出すのです。

人生とは悦びを原動力に前へ進んでゆきます。

藤原聡はこうしたことを小難しい理論ではなく直感で信じ切っているのです。

こうした把握は確かに彼が影響を受けているアニメ文化的な発想が基礎かもしれません。

現実問題の解決のその姿勢だけは教えてくれますが、具体的な戦略を描かないのです。

それでも人を悦びの中で把握しようとするポジティブさは見習いたいものでしょう。

新しい地図を描こう

クライマックスの歌詞はリフレインを含みます。

しかし若干歌詞を変えてくれているのです。

繰り返す箇所もありますが最後までお付き合いください。

人生というものはどう転ぶか分かりません。

特に藤原聡のように社会の周縁部でアーティスト活動をしている人生は博打でさえあります。

しかしそうした分からないものへのドキドキ感を根拠に彼は勇気を決してバンジージャンプをするのです。

曲芸師のようなアクロバティックな人生の過ごし方ですから万人に薦められるものではないでしょう。

藤原聡は島根銀行という安定した職場を去って、いつまで続くか分からない世界へ飛び込みました。

そんな彼を狂っていると判断する人がいても不思議はないです。

しかし彼は見事に自分の人生を変えてしまいました。

それどころかJ-POPシーンでスーパーバンドメンバーになります。

彼の行動や選択の動機はすべて人間や人生というものの悦びや驚きへの賭けです。

若いリスナーにとってOfficial髭男dism楽曲がポジティブに受け入れられているのはこうした理由でしょう。

Amazing

藤原聡は自分だけではなくリスナーを鼓舞するためにこの歌詞を書きました。

ナンセンスでクレイジーな響きがあるサウンドは歌詞を体現したものでしょう。

突破して進んでゆく快感に突き動かされるように書かれた歌詞が心地よいです。

私たちを襲う様々な社会的な重圧。

そして私たちの自由な思考の動きを妨げる誤ったイメージとイリュージョン。

こうしたものからの逃走線を引くのがOfficial髭男dismの「Amazing」です。

自由になれば人生はこんなに豊かになるということに語り手はAmazingだと悦びました。

この曲は地形が描かれていないまっさらな地図のようなものかもしれません。

進むべき道は自分で創ったっていいじゃないか。

藤原聡のそんな想いがリスナーに新しい人生の姿を思い起こさせるのです。

自由に地図を描くことの悦びをもっと知りたいと思いませんか。

ここまで読んでいただいてありがとうございました。

OTOKAKEとOfficial髭男dismの軌跡