『陽炎』について
2004年7月発売のシングル
2000年代の日本のロックシーンを代表するバンド「フジファブリック」。彼らの2004年7月に発売されたシングルが『陽炎』です。
四季をベースに制作されたシングルシリーズの『桜の季節』に続く第2弾で、「誰もが抱く、夏に対する淡い想いと残像」をテーマに作られました。
アルバム『フジファブリック』収録
『陽炎』は、2004年11月に発売された記念すべき彼らのメジャー1stアルバム『フジファブリック』にも収録されています。
尖ったギターと軽快な鍵盤の音色にのせて展開される、さまざまなストーリーが詰まったアルバムです。
ロックでありながらキャッチーでポップなメロディーラインと、時折混じる哀愁漂う「和」の要素によって、彼らにしか表現できない世界観を作り上げています。
当時、ボーカルを担当していた志村正彦の唯一無二の歌声は、聴いているうちに思わず引き込まれてしまいます。
アコースティックVerが泣ける
『陽炎』には、アコースティックバージョンが存在します。
このバージョンは、2010年6月に発売されたボックスセット『FAB BOX』に収録。
『FAB BOX』は2DVD+3CDの豪華な仕様となっていて、そのDISC5の「RARE TRACKS & COVERS」にアコースティックバージョンは収められています。
シングルのデモレコーディングの時に録音された音源で、この曲のむき出しの魅力が強く感じられて思わず泣きそうになりますよ。
PVをチェック
『陽炎』のPVはフジファブリックの演奏するシーンと、悩ましげな女性のシーンが交互に映し出されるユニークな映像。この独特な映像を監督したのはスミスです。
このPVに出演している女性が誰か気になった方も多いのではないでしょうか。この女性はモデルとして活躍する重松カシアです。
歌詞の意味を解釈
『陽炎』の少年時代の風景が思い浮かぶような歌詞の意味を解釈していきたいと思います。
思い出でセンチメンタルな気分
あの街並 思い出したときに何故だか浮かんだ
英雄気取った 路地裏の僕がぼんやり見えたよ
また そうこうしているうち次から次へと浮かんだ
残像が 胸を締めつける
出典: 陽炎/作詞:志村正彦 作曲:志村正彦
「思い出したとき」という歌詞から、過去を振り返っていることがわかります。「あの街並み」と共に、幼い頃の「英雄気取った」僕がぼんやり見えたのです。
思い出が1つよみがえると、どんどん次から次へと浮かんできたという経験はないでしょうか。そのような記憶の「残像」はセンチメンタルな気分にさせますよね。