BBHF「涙の階段」
BBHF
BBHFは、Galileo Galileiの元メンバーを中心として2018年に結成されたバンドです。
アメリカのインディー・ロックを始めとする様々なジャンルから影響を受けたサウンドが特徴の彼ら。
その音楽的な教養の深さは、10代からプロとして活動をおこなってきた彼らならではのものです。
BBHFは、打ち込みやサンプリングといった技術もふんだんに取り入れています。
前身バンドからの大きな変化は、彼らの音楽へのストイックさを表しているといえるでしょう。
「涙の階段」
11月13日、2nd EP「Family」リリース。
同日、バンド初の7inchシングルを2枚同時リリース。それぞれ1,000枚限定生産で、各B面には未発表楽曲として「なにもしらない」には「黄金」、「涙の階段」には「わかっていた」が収録された。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/BBHF
EP『Family』からレコードとしてシングルカットしている事実からわかることがあります。
レコードはCDとは違い、音に暖かみがあり、音質が良いという声もあるようです。
CDはデジタルですが、レコードはアナログなので刷るのにコストがかかります。
しかし、そうやって彼らが「涙の階段」をレコードでリリースするということ。
それは、彼らにとってこの楽曲が思い入れのあるものであることを指しているのではないでしょうか。
勿論、彼らが全ての楽曲に力を注いでいることは疑いようのないことです。
それでも7inchシングルとしてこの楽曲を選んだということは、そこに何か意味があるに違いありません。
今回は、彼らが「涙の階段」という楽曲に込めた意味を読み解いていこうと思います。
1番
あなたを想う歌詞の主人公
また間違い 遠ざかる 7通りの通路で横になる
恐らく今日も あなたを泣かせ 自分を疑って
みつめて 喋って 謝って
諦め 黙って またみつめ
それでも此処にいる
そうしたいから
出典: 涙の階段/作詞:尾崎雄貴 作曲:尾崎雄貴
まずは、1番のAメロから紹介していきましょう。
1行目、間違いを起こしてしまった歌詞の主人公。
彼は、以前にも同じ過ちを犯していました。
そのことが「あなた」との距離を遠くしてしまっているのでしょう。
1行目「7通りの〜」というのは、恐らく2行目からの歌詞を指しているのではないでしょうか。
2〜3行目「あなたを〜」から「〜黙って」までがそれに該当していると考えられます。
脳内で、この後「あなた」と主人公の間で起こる出来事を想像しているのでしょう。
主人公は、そんな風に自分の過ちが「あなた」を傷つけることをわかっています。
それでも彼は、5〜6行目で「あなた」の側にいるといい放っているのです。
この歌詞の中で現れる「あなた」はどんな人物を表しているのでしょうか。
あなたの階段を登る
あなたの涙で 作られた透明の 階段を登る
屈折して反射を くりかえしていく
心の扉を 眼差しで二度 ノックする
トラウマの間を すり抜けて
真白な廊下を進む
出典: 涙の階段/作詞:尾崎雄貴 作曲:尾崎雄貴
ここからはサビのパートとなります。
「あなた」がこれまでに流した涙でできた階段。
それは、心の階段に違いありません。
2行目「屈折して〜」という部分には、その「階段」に光が射す光景が浮かび上がります。
その反射は悲しみを帯びていながらも、キラキラと美しく光っています。
その中を進んでいく主人公。
歌詞の「あなた」には何か大きなトラウマがあるのでしょう。
それを知っている歌詞の主人公。
2人の関係性を恋人同士と仮定してみると、主人公は彼で「あなた」は彼女でしょう。
彼女のためになりたいとたくさんのことを考えて伝える彼。
彼女のためにいろいろと言葉にして伝えますが、そのことが彼女のトラウマを呼び起こしてしまいます。
1番の出だしの言葉「間違い」が指していたのは恐らくこのことでしょう。
しかし、彼はそれでも真摯に自分の想いを伝え続けるのです。
そのことでいつしか、彼女のは彼に対して心を開くようになりました。
その様子がこのパートでは描かれているのではないでしょうか。
「真白な廊下」は何を指している?
「あなた」(彼女)の心の中の扉の向こう側にあったのは「真白な廊下」でした。
この言葉が表しているのは何なのでしょう。
恐らく、これは彼女がトラウマを克服した後の晴れ晴れとした心の中を表しているのではないでしょうか。
主人公が「あなた」に対して寄り添い、心の中の扉を開けました。
そして、その先にあったのは、前に進んでいくための廊下だったのです。
そこにはまだ何の色も付いていません。
なぜなら、これから2人が作り上げていく空間だからです。
苦悩を乗り越え、扉を開けた「あなた」は次へと進む道を手に入れました。