BAD HOP【No Sleep】歌詞の意味を解説！眠れない日々が導く未来とは？自分が決めた道だから

その大前提といえるのが彼らの代表曲『Kawasaki Drift』の有名な歌詞です。

思い出すにはあまりにも痛ましい過去のトラウマ体験。

そして「日本一空気が汚い」と彼らが自嘲する産業道路沿いでの暮らし。

川崎区の住人として様々な事件の渦中にいたBAD HOPはそんな呪縛から抜け出すことを誓ったのです。

ここからはYZERRとTiji Jojoのパートを見ながら彼らの原体験を探っていきましょう。

YZERRとT-Pablow兄弟は札付きの不良少年として地元ではかなりの有名人だったそうです。

ティーンエイジャーにとって生まれ育った街のルールは世界の掟と同じ意味を持ちます。

BAD HOPの歌詞に頻繁に登場する地元のしがらみ。

それは不良の世界における先輩・後輩という絶対的な上下関係です。

彼らは先輩への上納金を納めるために裏社会に入らざるをえない状況に追い詰められていました。

中学3年生の時、「卒業したらその道（極道）に進む」と公言していたという彼ら。

しかしラップが彼らの生活を一変させることになったのです。

2014年にYZERRはT-Pablowに続き「高校生ラップ選手権」で優勝を勝ち取ります。

そこで初めて彼らは自分たちにも普通の未来があることを知ったのです。

常に勝気な態度を崩さないYZERRですがここで彼が眠れない2つの理由が明らかになります。

それは「将来への不安」と「地元のしがらみ」です。

プロ意識が誰よりも高いYZERRは現在の地位に満足ができません。

一瞬でも気を許したら、この人気は他のラッパーに持っていかれるかもしれない。

そんな不安な気持ちは彼に安息を与えてくれません。

一方で地元に帰れば耳にするのは彼らの成功への嫉妬の言葉です。

中にはあからさまな暴力で彼らを貶めようとする人々が存在する。

それが川崎だとBAD HOPは様々な楽曲で語っています。

そんな不安定な毎日を変えるための最速の道は結果を残すことです。

BAD HOPがさながら一流のビジネスパーソンのように数字にこだわる理由。

それは彼らが抱える不安な気持ちの裏返しなのでしょう。

YZERRの脳裏の中で眠る友達とは若くして命を落とした人物なのでしょう。

「この街に生まれなければ」

「あの時、こうしていたら」

物心ついた頃から心の中で繰り返してきた自問自答は今も彼らを束縛します。

生まれ育つ環境を自身で選択することはできないのです。

傷つき、ドロップアウトしていったかつての仲間たちの分まで頑張ろう。

BAD HOPが眠らずに夢を追いかけるのは自分たちの欲望のためだけではないのです。