BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」とは?

BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」は2016年2月に発売された「Butterflies」の5曲目に収録された楽曲で、カルピスウォーターの2016年夏のテレビコマーシャルに使われたことでも話題になりました。

CMソングとしての「宝石になった日」

永野芽郁さんがメインキャラクターを務めたこのCMは、「ぜったい、いい夏に、しよう」というキャッチコピーで、高校を卒業したら離れ離れになる友達4人が一緒に過ごせる最後の夏に思い出を作るというストーリーです。

二度と戻らない青春の一瞬の輝きを閉じ込めたようなキラキラとしたCMに、「君がいたことが宝石になった日」という歌詞キラキラとしたメロディーの印象がマッチしています。

しかし、本当は、「宝石になった日」は同じ戻ってこない時間でも、二度と会えない大切な人との戻ってこない時間に思いを馳せた曲なのです。

BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」の歌詞解釈

BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」の歌詞公開♪TOUR決定のお知らせの画像

青春の戻らない時間に思いを馳せるのと、もう二度と会うことのできない相手との戻らない時間に思いを馳せるのでは重さがあまりにも違いCMとのギャップに少し戸惑ってしまいますね。

曲の歌詞の持つ「宝石になった日」は大切な人が死んでしまって、一緒にいられた頃は日常の中の1日だったのが、今となっては宝石のように輝く、もう動かない、戻れない日という意味でもあります。

少しずつ歌詞を見て行きましょう。

「僕」にとって「君」は世界を明るく照らしてくれた「稲妻」

夕立が屋根を叩いた唄 窓の外で世界を洗った
掌にはなんにもない ただなんとなく眺めて何分
君は夜の空を切り裂いて 僕を照らし出した稲妻
あまりにも強く輝き 瞬きの中に消えていった

出典: 宝石になった日/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

冒頭の「夕立」は「僕」にとっては「君」が生きた証を押し流してしまう雨を意味しているのでしょう。

「僕」にとってはそうやって雨に洗い流された世界にはもう何も残っていないのと同じ。

何もない掌をじっと見つめることしかできない「君」を失った「僕」のあまりにも辛く、空虚な日々を表現しています。

そんな日々とは対照的に「僕」にとって「君」といた時間は稲妻のように強く輝いて一瞬で消えてしまうような、振り返るとあっという間のまぶしいほどキラキラした時間だったことがわかります。

闇の中にいた「僕」を光で照らして見つけ出してくれた「君」。

でもその光はすぐに消えてしまって...と、その気持ちを想像するだけでも胸が痛いですね。

BUMP OF CHICKEN「宝石になった日」の歌詞公開♪TOUR決定のお知らせの画像

大切な人を失い、いつまでも普通に戻れない僕

あとどれくらいしたら
普通に戻るんだろう
時計の音に運ばれていく

あの温もりが 何度も聴いた声が
君がいた事が 宝石になった日
忘れたように 笑っていても
涙越えても ずっと夢に見る

出典: 宝石になった日/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「時計の音」が時を刻むように淡々と時は過ぎて行きますが、「僕」はいつまでも「君」を失った傷が癒えないままです。

どれだけ時間が経てば自分が「君」と出会う前の状態に戻れるかなんてわからないくらい悲しみに暮れて泣き続けて。

そして、泣いて泣いて、その涙を越えても今度はずっと「君」がいたら...と夢に見てしまうのです。

途方も無い心の中の戦いの日々が浮かびますね。

「僕」の「できるだけ先の未来まで見届ける」決意

できることはあんまりないけど 全くないわけでもないから
全自動で進む日常をなんとなく でも止めないよ
できるだけ先の未来まで見届けるよ
できるだけ先に運んでいくよ

出典: 宝石になった日/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央

「君」を失った悲しみから空っぽになってしまっている「僕」が過ごす「全自動で進む日常」という歌詞は、君を失って何も手につかないという歌詞よりリアルで、より深い悲しみが表現された歌詞ですよね。

要するに、自分は何にもしていないのに、時間だけが流れていってしまっている状態ですよね。

でも生きることはやめない。

悲しみに打ちひしがれてしまいそうになりながらも、「君」が見られない未来をできるだけ長く見届ける「僕」の痛々しいほどの決意がわかります。

心の中にいる大切な人が新しい生きる意味となって、「僕」を生かしているのですね。

「時間に負けない寂しさがあるから」「僕」の中に「君」が生き続ける

こんなに寂しいから 大丈夫だと思う
時間に負けない 寂しさがあるから
振り返らないから 見ていてほしい
強くはないけど 弱くもないから

出典: 宝石になった日/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央