ブルーベリーといえば一般的に普及している人気の高いスーパーフード。
おいしくておしゃれなイメージを抱いている方もたくさんいるでしょう。
ただし、この曲を聴くまでは。
自分のことをもう愛していない男性を、泣きわめいて追いかける女性は同性でも怖いのではないでしょうか。
ましてや張本人の彼にとっては、面倒な話でしかないわけです。
既にかなり惨めな姿を晒している女性ですが、さらに恐ろしい光景が繰り広げられます。
彼女が自分自身を人気のスーパーフードに例えるところまではギリギリ大丈夫でしょう。
何しろおしゃれなフルーツですからかわいい女性の雰囲気とぴったりです。
ところがその後がいけません。
たしかに果物は食べ物です。
それなのに大人っぽい意味を重ね合わせて、もう叶わない愛を懇願する地獄絵図になっています。
男性のはっとりさんが歌っているから、マカロニえんぴつというバンドなので、グロテスクには感じません。
しかし描かれている出来事が現実に起きたら、かなりのホラーでしょう。
2番の歌詞はこちら!
彼の裏切り
恋の幻 さよなら25時
信じることは悲しいこと
出典: ブルーベリー・ナイツ/作詞:はっとり 作曲:はっとり
さあ、2番からは気を取り直して、という展開にはなっていません。
夜中1時のドタバタ劇を再び思い出しているのでしょうか。
彼から呼び出されても、そこにはもう愛はないとわかっているはずなのに。
別れの言葉も口にしていますが、それは彼に向けてではなく、ただ時間が過ぎるという意味かもしれません。
夜中1時に待ち合わせをしたのに、彼はやってこなかったという流れも考えられます。
約束をしたのに、裏切られた展開。
たまたま暇な彼と会うことができても愛のない関係ですし、彼が来なければやっぱり愛はないという結末です。
とにかくどん底状態に陥っている彼女ですから、どうにかして這い上がってもらいたいところ。
さてどうなるでしょうか。
未練の原因はニオイ
冷めないで 消えないで
そう願ったって遅いのに
残って離れてくれない匂いが
愛おしくて、許せないの
ねぇ行かないで 棄てないで
もう縋ったって遅いけど
誰でもいいよ、
あたしを潰して舐めて
マイ・ブルーベリー・ナイツ
出典: ブルーベリー・ナイツ/作詞:はっとり 作曲:はっとり
2番のサビでも彼女は彼への忘れられない愛を叫びまくっています。
ニオイに弱いなど、なぜはっとりさんはこんなにも女性の心理がよくわかるのでしょうか。
そしてはっとりさんが歌うことによって、この曲を聴く方は客観的に女性の姿を眺めることができるはずです。
声という聴覚だったり、ニオイという嗅覚だったり、女性には感覚的に男性を愛する側面があるかもしれません。
感覚が刺激され続ける限り、愛おしいという感情はいつまでも継続します。
その結果なかなか忘れられず、未練が残る場合があるということです。
実際に叶わない愛に溺れているときには、端から見ると恐ろしい様子になっているとはなかなか気づかないもの。
ただ泣き暮れて、どうしようもない想いに打ちひしがれるわけです。
そのうえ彼と会えないなら他の男性でも構わないといった自暴自棄な展開に突き進むことさえあります。
描かれているのはまさにこの状態。
一般的にはかわいくておいしいはずのフルーツを自分に見立てて、誰彼なしに「召し上がれ」と言っています。
いけません。非常にダメな流れです。
3番の歌詞はこちら!
新たな王子様は現れない
おとぎ話にすらならないね
錆びた踊り場で回る
神様たちは 他人のままだ
出典: ブルーベリー・ナイツ/作詞:はっとり 作曲:はっとり
ここからは3番です。
女性は、どんなにかわいらしい果物に自分を例えてみてもファンタジーにはならないことを自覚しています。
逆に、未練を抱えたまま暴走すればサスペンスを通り越してホラーになりかねません。
これまではかろうじて女性の想いが吐露されていただけでした。
しかし今後の行動によっては、後悔しても取り返しのつかない事態に発展しそうな勢いです。
彼女にはどうにかここで留まってもらいたいとハラハラしていた方も多いでしょう。
そこで実際に彼女はどうしたのかというと、階段の途中でたたずんでいるのでしょうか。
あるいはクラブで遊んでいる可能性も有り。もしくはクラブの階段の途中にいるのかもしれません。
いずれにしても別の王子様が現れて、新たなファンタジーが始まったわけではなさそうです。
これはむしろ天が味方してくれたと喜ぶべき流れなのですが、彼女にはそう感じられません。
彼を忘れられず、誰でもいいという投げやりな状態で出会った王子様とはハッピーな恋物語は描けないでしょう。
不満げな彼女ですが、この曲を聴く方はひと安心かもしれませんね。
未練を断ち切りたい
覚めないで 夢なら
忘れたいの 本当なら
行かないで 棄てないで
もう縋ったって遅いかな
出典: ブルーベリー・ナイツ/作詞:はっとり 作曲:はっとり
ラストはこれまでの1番と2番のサビを盛大に繰り返して終わります。
その前につけ加えられた新たなサビに、少しだけ変化があるのが実は大きなポイントです。
泣きわめくかのように募る未練をぶちまけてきた彼女ですが、本心では想いを断ち切りたいと願っていました。
こうしていつまでも彼のことを愛し続けていても既に手遅れだと心の底ではわかっていたのです。
きっぱり前を向いて、彼のことを引きずらずに新たな道へ進みたい。
しっかり現実を受け止めていました。
ただ、頭ではわかっていても感情的にはどうしようもない夜もあります。
それがこの曲で描かれたドラマチックな物語でした。