時代を見据えたメッセージソング

UCLAという曲名の由来

ASIAN KUNG-FU GENERATION【UCLA】歌詞を解説!人生には雨宿りだって必要!の画像

「UCLA」は2018年12月にリリースされたアルバム「Hometown」に収録されています。

初めてこの曲名を見た方は意味どころか、読み方もわからない方が多かったでしょう。

こちらの楽曲の読みはアルファベットそのまま「ユーシーエルエー」です。

しかしアルファベット読みだとわかっても意味はよくわかりませんね。

検索してみるとアメリカの名門大学がヒットします。

しかしこの曲名はその学校の何かが由来というわけではありません。

なんとレコーディング時に、同バンドドラマー伊地知潔が着ていた服のロゴだそうです。

つまり、特別に意味がある曲名ではないということ...

なんともアバウトな決め方です!

ですがそこにメンバーの仲の良さや、気さくで余裕のある雰囲気が出ていますね。

ヒップホップandロックな構成とゲストボーカル

UCLAのジャンルは、大まかに分類するならロックです。

しかし随所にヒップホップ的な要素が垣間見えます。

Aメロは特にヒップホップ感がはっきりと現れており、ゆったりとリズミカルな進行です。

そこからサビに入ると徐々に疾走感が出てきて...

そしてサビ中盤には馴染み深いアジカンらしいロックサウンドに変わるのです。

この変換はいきなりではなく、なんとも違和感なくすんなりと変わっていく印象。

そこに彼らの経験則とテクニックを感じますね。

さらにこの曲は、ボーカルの後藤正文と女性のゲストボーカルとのツインボーカルです。

京都発のポップスバンド「Home comings」の畳野彩加をゲストボーカルとして迎えています。

アジカンのボーカル後藤と畳野の掛け合いはこの曲の肝になっているのです。

くぐもりながらも通りやすい後藤の声と細いながらも芯がある声の畳野。

2人の他にはない独特な声で繰り広げられる、歌の中の男女のやりとり。

なんとも言えない絶妙な雰囲気を作り出しています。

まさにベストマッチと言えるでしょう。

そんな見どころ聴きどころたっぷりのUCLA。

今回はその歌詞にフォーカスを当てていきます。

冬の夜の一場面

都会を匂わせる

鈍い息を吐くトラック
咳を鎮めるドロップ
灰色の空気も吸い込むしかないだろう

出典: UCLA/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh

全体的に漂う冷たくて重い夜の雰囲気。

深夜のコンクリートジャングル。

季節は冬でしょうか。

「咳を」とあるので、風邪をひいているのでしょう。

3行目のフレーズから、都会のどうしようもなさがにじみ出ています。

始まりのフレーズで重厚な冬のイメージが立ち込めました。

そんな真夜中の街を1人静かに歩いているのでしょう。

日常のひとかけら

誰の彼がどうとか
アイツがウザいとか
割れた画面をスワイプ
撫でた指の先

出典: UCLA/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh

それとなく描かれる人間模様。

アイツ」とは誰でしょう。

友人や彼女、職場の同僚や上司。

色々な立場の人間が想像できます。

「割れた」というフレーズから若さを感じますね。

夜の街を歩きながらスマホをチェックする姿が想像できます。

なんともありふれた光景です。

夜道で筆者もそういう方とよくすれ違います。

停滞している日常

満足はしていない

ここからボーカル交代です。

同じメロディーで畳野が小綺麗に歌い上げます。

満たされないけど
投げ出せそうもない
少しずつ何かを削るような毎日

出典: UCLA/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh

学生でも社会人でも、本当にやりたいことがあってもそれができない。

学生には学校があり、社会人には仕事があります。

それぞれ充実しているならなんの問題もありません。

しかし「投げ出せ〜」とあるように一歩踏み出したくても立場や環境がありそれができないのです。

自分自身がそれを一番理解しています。

そうして3行目にあるような生き方しかできずにいるのです。

この歌詞の状況に当てはまる人はごまんといるでしょう。

夜道を歩く彼も彼女も、そんな人の1人なのでしょうか。