そのまま北へ!
北へ向かえば
北へ向かえばいいよ
止まんないでいて
雨は続いた
出典: 北上のススメ/作詞:朝日 作曲:朝日
躍進する5人に、立ち止まっている暇も必要もありません。
大阪から北へ、つまり東京へ、全国へ。
どんどん進んでいく時です。
視点は一瞬、もっささんに戻ります。
雨が止まなければ、傘を忘れたままのもっささんは立ち往生です。
忘れ物の事実は消えることがありません。
ですが、それでも良いのでしょう。
日々「うっかり」を起こすことが、バンドに欠かせない個性なのですから。
これからどんどん活動していく中で、個性を手放してはいけないのです。
北へ向かえば
北へ向かえばいつか
窓から見ていた
水へ沈む街のその先へ
出典: 北上のススメ/作詞:朝日 作曲:朝日
とにもかくにも、北上することを目指す。
それが、彼らの揺るぎない目標のようです。
目指し続けることこそが、夢を叶えるために大切なことだといわれます。
心がそちらに向いていなければ、目標に向かって進むことができないからでしょうか。
5人が北を目指す強い思いにも、同じような決意が感じ取れます。
雨天の大阪から、晴れやかな活躍の場、東京へ。
進み続けていれば、どこかで雲が切れて晴れ間も見えるかもしれません。
身勝手な人々
喜んだり、つき放したり
見せ場でバッター空振り三振
ありゃま、肩を落とせば
期待ばっかかけたくせに
手のひら返してらあ
出典: 北上のススメ/作詞:朝日 作曲:朝日
2番に入ると、唐突に野球の話が始まりました。
聴衆や観客は、一瞬で応援してくれる人にも、批判する人にもなります。
特に試合の重要な場面では、みんなの期待が打者の両肩にのしかかるでしょう。
大きなプレッシャーの中、見事に点を稼げば素晴らしいと賞賛されます。
一方、失敗してしまえば、応援していたはずの人達は批判者に変身してしまうのです。
ある意味、身勝手な振る舞いといえるでしょう。
もっささんはそれを冷静に観察し、直接的な言葉で歌っているのです。
見えない人間性
拾うも捨てるも楽しい楽しい
少し疲れてきたけど
娯楽だって裏めくりゃあ
人が生きてるんだぜ
出典: 北上のススメ/作詞:朝日 作曲:朝日
応援する人から、批判者へ。
そんな高速での変身は、今に始まったことではありません。
むしろ昔から、多くの人が様々な場面で行ってきたことではないでしょうか。
熱心なサポーター以外は、勝つ法に味方していた方が楽しく観戦できるのですから。
しかし現在は、その変身が様々な場面で行われています。
SNSの広がりとともに、いろいろな人が、自由に意見を交わせるようになったからです。
意見が合いそうだと思って仲良くしていた人が、一言でも違う意見を言ったらブロックする。
一度のちょっとした口論で相手を敵視し、炎上させてしまう。
そんな極端な事例も増えているのが事実です。
批判する側にとっては、優越感を感じられるので楽しい行いかもしれません。
ですが被害を受けた人、周りで見ている人たちは、そろそろ疲労を感じている可能性もあります。
同じようなことが、少しずつ形を変えて繰り返されているだけだからです。
そんな時、多くの人が忘れがちなことがあります。
画面の向こう側にも、血の通って感情のある人間がいるということです。
スポーツ選手でも、芸能人でも、ミュージシャンでも関係ありません。
誰もが人間で、仕事とプライベートの時間を過ごしています。
調子が出なかった日、体調を崩していたかもしれません。
身近な人とケンカして、落ち込んでいたのではないでしょうか。
有名人にも有名人の生活があり、同じ地球上で生きているのです。
批判者たちは時にそれを忘れ、相手の人格まで攻撃することもあります。
蔓延する批判の危険性を示唆しているのでしょうか。
MVのかわいい演出
余談ですが、MVには歌詞の「疲れた」のあたりにちょっとした面白い演出があります。
MVは基本的に長回しの映像です。
曲は2番にさしかかり、直前の歌詞は早口。
もっささんが、実際に忙しく息継ぎして歌っているのです。
歌詞の通り、疲労を感じ始めた辺りかもしれません。
そこにちょうど「疲れた」という言葉をあてはめたとしたら、とてもセンスを感じます。