BUMP OF CHICKEN
中学3年生の時にバンドを結成し、BUMP OF CHICKENへと繋がります。
1999年3月に『FLAME VEIN』でインディーズデビューし、2000年3月に『THE LIVING DEAD』を完成させます。
2000年9月20日に1stシングル「ダイヤモンド」をリリースし、メジャーデビュー。
2ndシングル「天体観測」が累計55万枚以上を売り上げる大ヒットとなり、注目を集めました。
2016年2月10日にリリースされた『Butterflies』はこれまでのバンドサウンドにエレクトリックな要素を持ち込んだ意欲作です。
音楽的にはルーツから歌を取り戻したようなロックサウンドが特徴でしたが、ポップな楽曲や今作のエレクトリックサウンドの導入など、音楽性は幅広くなっています。
8thアルバム『Butterflies』に収録された「Butterfly」は、顕著にエレクトリックサウンドがみられます。
YouTubeで「Butterfly」をcheck!
再生回数が1900万回を超えているこの曲。(2017年12月21日現在)
よく聴くとエレクトリックなサウンドと一緒にアコースティックギターが鳴り続けています。
これまでのサウンドと大胆に変わっていますが、ギターを捨ててエレクトリックに転向したというわけではないようです。
まるでライブの照明を派手にしたようなMVは未来的で素敵ですね。
歌詞はどう変化したのか? より詳しくみてみます。
「Butterfly」の歌詞を読む
誰にも聞こえない悲鳴が 内側で響く
気付かないふりした人が 気付かれるのを待っている
出典: Butterfly/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
苦しんでいて悲鳴をあげています。
でも、その悲鳴を外側には決して漏らさない。
誰かにその悲鳴を聴いて欲しいのかもしれません。
自分の中にある悲鳴は過去の悲鳴なのでしょうか?
誰にも知られず、誰にも認められなかった時代。
そういう悲鳴が内側にあるのでしょう。
いつか知った何かの言葉 重い鎧のように
この体を守るあまりに 動きを鈍くした
光らなくなった靴の事 忘れてしまった唄の事
失くさないで運んでいく やり方はないと決めている
出典: Butterfly/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
過去はいつの間にか過ぎさっています。
光る靴を履いていたのはずいぶんと昔のこと。
昔、歌った歌も忘れてしまいます。
子どもだったころのことは忘れられていく。
でも、そうしないと前へ進んでいけないのかもしれません。
明日生まれ変わったって 結局は自分の生まれ変わり
全部嫌いなままで 愛されたがった 量産型
この心 自分のもの 世界をどうにでも作り変える
どういじればどうなるか 本当は ちゃんと 知っている ずっと
出典: Butterfly/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
生まれ変わっても自分であることは変わらないと歌っています。
そして、色んなことを憎み、嫌ったままで、実は愛されたがっていたことを告白しています。
心は自分のもので、世界を自由に作り変えることができます。
そういう万能感があります。
でも、それは本当でしょうか?
誰かの掲げた旗を 目印にして
大人しく歩くけど 作った旗も隠している
このまま終わるものだって なんとなく悟り
笑って歩くけど 作った旗が捨てられない
出典: Butterfly/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
誰かが掲げた旗を目印にするとは、自分がどうなりたいか目指すロールモデルがいるのでしょうか?
ロールモデルを参考にしつつ、自分自身というものも隠しています。
新しい自分自身になることを諦めていないのです。
そして、子どもの頃に大切だったことを、そのまま大切にする方法をうまくみつけたのかもしれません。
涙は君に羽根をもらって キラキラ喜んで 飛んだ踊った
消えてしまう最後まで 命を歌った 量産型
その心 自分のもの 君が見たものから生まれてゆく
何よりも綺麗な事 本当は もっと 知っている ずっと
出典: Butterfly/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
悲しいことがあるから涙を流します。
でも、そういう泣いた時のことを覚えているから、歌が生まれます。
今でも自分のことを他の人間と同じ量産型のコピーだと思っていても、自分が命というものを歌い続けたことは知っています。
心は本当は綺麗だと知っているのです。
この歌は過去を思い返しながら、自分たちの音楽をさらに前に進めていくために歌われているように思います。
過去と心の純粋な部分を見つめながら歌っている。
新しく歌いなおしている。
そういう雰囲気があります。
藤原基央が語る「知っている気持ちしか歌えない」ということ
音楽サイト「Real Sound」のインタビューによると、藤原は歌詞を「心から言いたいことなんて、突き詰めるとそこまで種類は無かったりして。生きることとか死ぬこととか…」と語っています。
自分の人生の体験から歌詞を生み出しているのです。
曲をいくつか聴いていると、表現していることは大きく少年時代の体験が中心だと考えられます。
その時感じていた痛み、苦しみ。そこから仲間とともにバンドを結成したこと。
そして、そういう時間がいつか終わってしまうこと。
その時、言葉にできなかったことを歌にしているのでしょう。
でも、昔の空気感を人よりもしっかり覚えていて、歌として再現している。
だから、歌う意味が失われたりすると、歌えなくなる危険性を孕んだ歌い方をしているのかもしれません。
しかし、サウンドや音楽性の変化とともに、記憶から何度も歌が生まれています。
同じ体験から生まれているけれど、少しずつ表現が違う。
生々しい初期衝動は最初の頃のBUMP OF CHICKENに宿っていたと思いますが、年齢を重ねるごとに違ってみえる。
知っている気持ちしか歌えないし、器用ではない。
でも、ひとつひとつの歌にある時期までの少年の記憶がちゃんと宿っているのだと思います。
BUMP OF CHICKEN・藤原基央、『SONGS』で作詞について語る「知ってる気持ちと経験したことしか書けない」 - Real Sound|リアルサウンド
BUMP OF CHICKENが、12月5日放送の『SONGS』(NHK総合)に出演。『紅白歌合戦』出演が決定したことを機に、数々の代表曲を披露したほか、ロングインタビューでは現在の心境を語った。 “大人の心を震わせる音楽番組”をコンセプトに掲げ、様々な形でアーティストの歴史を振り返る同番組。 冒…(1/2)