左へカーブを曲がると 光る海が見えてくる
僕は思う! この瞬間は続くと! いつまでも

南風を待ってる 旅立つ日をずっと待ってる
“オッケーよ"なんて強がりばかりをみんな言いながら
本当は分かってる 2度と戻らない美しい日にいると
そして静かに心は離れてゆくと

出典: さよならなんて云えないよ/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二

このラインをタモリは絶賛します。

すごいよね、オレ、ここまで自分の人生を肯定できないもの

この指摘がこの歌詞の真髄をついていることは小沢健二自身が認めています。

「さよならなんて云えないよ」はポップなアレンジなのでその歌詞の深い側面が読みづらいです。

楽しげに喋りまくっている今だけれどいつかはみんなそれぞれの道をゆき心も離れ離れになる

遺るのは想い出の中ひたすら美しく輝いていた日々だけ。

正に「刹那」な青春期の美しさを歌っています。

紙幅の関係で抜粋しかできませんができれば歌詞を全編読み込んでいただきたい曲です。

第7位 「ぼくらが旅に出る理由」

【小沢健二】おすすめ人気曲ランキング10選!伝説の“渋谷系”人気曲から隠れた名曲までファンが厳選♪の画像

初出は1994年8月31日発表、小沢健二の通算2作目のアルバム「LIFE」。

後の1996年5月16日にシングルとしてリカットされます。

この曲を青春期に聴いた方にとっては特別な想い入れがある作品であるはず

歌詞に投影した若き日の自分の姿を想って今聴いても心が沸き立つような曲です。

印象的なサウンドはポール・サイモンからの引用だったりしますがそれはそれで感慨深いもの。

キラキラの小沢健二はやはり気持ちいいなと思える一曲です

歌詞を見ていきましょう。

ただならない祝祭感

遠くまで旅する恋人に あふれる幸せを祈るよ
ぼくらの住むこの世界では太陽がいつものぼり
喜びと悲しみが時に訪ねる

遠くから届く宇宙の光 街中でつづいてく暮らし
ぼくらの住むこの世界では旅に出る理由があり
誰もみな手をふってはしばし別れる

出典: ぼくらが旅に出る理由/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二

サビを2回重ねることで祝祭感を出すという掟破りの構造になっています

自分の暮らしも彼女の暮らしもそれぞれに続いてゆく。

ただちょっと線路を違えただけでいつかターミナル駅でまた出会うだろう。

日々の幸福・不幸のめぐり合わせは人生の摂理のようなもの

生きてゆく上では胸を痛めることもあるし、その分、幸福であった瞬間もある。

当たり前のことを美しい言葉で綴ってくれるので小沢健二の曲を聴くことは特別な幸せになります。

第6位 「ラブリー」

【小沢健二】おすすめ人気曲ランキング10選!伝説の“渋谷系”人気曲から隠れた名曲までファンが厳選♪の画像

初出は1994年8月31日発表、小沢健二の通算2作目のアルバム「LIFE」。

後の1994年11月24日にシングルとしてリカットされます。

アルバム「LIFE」が総体として抱えていたテーマはこの曲で全面的に展開されます。

愛を直感と肉感の中に取り戻すことの大切さを学ぶこと

アルバムの中でも一番祝祭感の濃い楽曲になっているのです。

2018年のシングル「アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)」のカップリング曲でもあります。

満島ひかりとのデュエットで歌われた「ラブリー」も中々な味わいでした。

小沢健二の「王子様時代」の代名詞的作品です

歌詞を見ていきましょう。

肉感的な愛の中で甦る人生

とても寒い日に 僕ら手を叩き 朝が来る光 分かりあってた!

それで LIFE IS COMIN' BACK 僕らを待つ
OH BABY LOVERY LOVERY こんなステキなデイズ
世界に向かってハローなんつって手を振る
OH BABY LOVERY LOVERY 気嫌無敵なデイズ
いつか僕ら外に飛び出すよ 君と僕とはドキドキしてるよ
誰かの待つ歩道を歩いてく OH BABY LOVERY LOVERY WAY 息を切らす

出典: ラブリー/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二

前作「犬は吠えるがキャラバンは進む」の歌詞がシリアスな傾向を持っていたので大転換であります。

肉感的な愛の中で人生が息を吹き返す

小沢健二の人生哲学はここに極まるのではないでしょうか。

どちらかというと軽薄にも感じる言葉を並べながら深い愛について歌うのですからさすがです

こんな晴れやかなデイズを小沢健二と共にできたことは幸せでした。

後にこの線路を降りて長い旅に出る彼ですがまた還ってきてくれたことこそを喜びたいです。

若い頃のような万能感はなくなりましたがこれから先のデイズも楽しみたいもの

今なおライブでこの曲のイントロが鳴るだけで会場は大騒ぎになります。

この曲に刻印された大きな愛を識る瞬間です。

第5位 「今夜はブギー・バック」

【小沢健二】おすすめ人気曲ランキング10選!伝説の“渋谷系”人気曲から隠れた名曲までファンが厳選♪の画像

1994年3月9日発表、小沢健二の通算3作目のシングル。

後にアルバム「LIFE」に再録。

スチャダラパーとの競演でいよいよ小沢健二の時代が到来することを予感させたシングルです

曲の構成が見事すぎます。

自身の制作の仕方とHIP HOPの技法との親和性を本人が語るのはもう少し後のことです。

それでもこの時期からHIP HOP的手法を実践していたことの分かりやすい証明になる曲

坂本龍一がこの曲にハマったのは有名な話です。

「今、日本ではどんな音楽が流行っている?」との問いには必ずこの曲を挙げていました。

歌詞を見ていきましょう。

パーティーの愉悦と刹那の共存

パーティ続き 燃え上がる2人
そうさベイビー 今宵のリアリティー
ブギー・バック シェイク・イット・アップ 夜のなかばには
神様にありがとう

ワイルドな君 うるわしのフッシー・キャット
僕の手に噛みついてオール・ナイト・ロング
ブギー・バック シェイク・イット・アップ 夜の終わりには
2人きりのワンダー・ランド

出典: 今夜はブギー・バック/作詞:小沢健二 光嶋誠 松本真介 松本洋介 作曲: 小沢健二 光嶋誠 松本真介 松本洋介

パーティー・ソングで軽薄さ満載なはずなのになぜか神々しい響きもある不思議な曲で愛されました。

この曲の影響力は絶大で数多くのミュージシャンがカヴァーしています。

また日本のラップ界隈でも評価が高いです。

この曲のヒットがなければ日本でのラップの認知はもっと遅れていた

そんな意見が聴かれます。

パーティーの楽しさと同時にその刹那な在り方に妙に寂しさも感じてしまう曲調です

「オザケン世代」

そんな人々が現れる下地になった曲かもしれません。