1993年9月29日発表、小沢健二のソロ・デビュー・アルバム「犬は吠えるがキャラバンは進む」収録。
その後に小沢健二が「渋谷系の王子様」となりアイドルとしてにわかに持て囃されるようになるのです。
それでもファンはこの曲の真摯な表情の彼を知っています。
コアなサブ・カルチャー支持者が離れずにいたのもこの曲への信頼が厚かったからでしょう。
13分31秒の超大作です。
後の日本武道館での演奏は東京スカパラダイスオーケストラのギムラの早すぎる死に捧げたもの。
この世界で生きて死ぬということは何なのだろうとしばし考え込んでしまいます。
心を落ち着かせて物事をゆっくり考える仕種そのものにある大切なこと。
世界や人生について熟慮することの大切さ。
そういった大切なものを手から離さず生きていこうと想わせるのです。
歌詞を見ていきましょう。
私たちを包むルールやサークル
月は今 明けてゆく空に消える
君や僕をつないでる緩やかな 止まらない法則 ずっと
神様を信じる強さを僕に 生きることをあきらめてしまわぬように
にぎやかな場所でかかりつづける音楽に 僕はずっと耳を傾けている
耳を傾けている 耳を傾けている Wow wow
出典: 天使たちのシーン/作詞:小沢健二 作曲:小沢健二
日本という国はオウム真理教の一連の事件を経て神や宗教について語ることが禁忌になりました。
そんな中で神への言及があったためにこの歌詞はちょっとしたスキャンダルの種になります。
雑誌「噂の真相」が小沢健二は自己啓発セミナーに通っているというデマを流します。
小沢健二はそのデマに対して「オレが啓発してやる」と奮起。
今にして思えば馬鹿馬鹿しいことです。
この曲の歌詞が伝えることはもっと深いものでした。
人間が生きていくには自然や社会の法則が柔らかく包み込んでいます。
そのことから目をそらさずに耳を閉ざさずに「僕」は生きてゆこうと歌うのです。
どんな時代にも適用できる歌詞なので今初めて聴く方などにとっても新鮮に響くでしょう。
この曲があるから今日まで小沢健二を応援してきたという人。
今日この曲に出会って小沢健二を応援したいと思ったという人。
色々な方がいらっしゃるはず。
そして誰にとっても特別な1曲になる魔法の仕掛けがこの曲にはあるようです。
「天使たちのシーン」
この曲をランキングの第1位に推します。
小沢健二と向き合う幸福
まだまだ続く素敵なデイズ
小沢健二はこのランキングに載せきれないほどの名曲をたくさん遺してきました。
そうしたそれぞれに特別な曲を選外に漏らすことは心が痛む作業です。
また、この先も彼はたくさんの名曲を私たちに届けてくれるはず。
2019年5月下旬現在、入手しにくい作品があるのはとても残念です。
もっと多くの人、そして若々しい人たちに小沢健二の音楽が届くことを願います。
今のJ-POPの大半の雛形を創り上げてしまった小沢健二。
この記事を書くことで彼の歌とまた真正面から向かい合えたことを幸運に感じます。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
OTOKAKEで振り返る小沢健二のデイズ
「ラブリー」に救われた日々
OTOKAKEには小沢健二の関連記事がいっぱいあります。
「ラブリー」の歌詞について徹底的に紐解きました。
人生はショータイム。
息をつかせず生きた日の想い出とともに振り返ってみてください。
【小沢健二/ラブリー】歌詞を徹底解説!ステキなデイズと感じている理由は?気分上々な歌詞が楽しすぎる! - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
「オザケン世代」という言葉を嫌う小沢健二自身も否定できない素敵なデイズがかつてこの国ありました。 彼が繰り出す曲や歌詞の鮮烈さに胸を焦がした日々。「ラブリー」はそんな時代を象徴する最高の1曲です。この曲の魅力に迫ります。
無料で音楽聴き放題サービスに入会しよう!
今なら話題の音楽聴き放題サービスが無料で体験可能、ぜひ入会してみてね