名曲「Don’t Let Me Down」へのアプローチ

ジョンからヨーコへの痛々しいラブ

ビートルズ【Don't Let Me Down】歌詞を和訳して独自考察!ヨーコに捧げたラブソング?の画像

1969年発表、ビートルズの通算19枚目のシングル「ゲット・バック」のB面に収められた名曲をご紹介。

タイトルは「Don’t Let Me Down」。

タイトルを直訳すると「僕をがっかりさせないで」や「僕を失望させないでくれ」というもの

この頃はビートルズも解散に向かう最終局面にあった頃です。

クレジットこそ従来通りLennon=McCartneyですがほぼジョン・レノンによる作詞作曲です

エレキギターの演奏から始まりジョン・レノンの咆哮が炸裂します。

実直で痛々しさすら感じる愛の歌。

ジョンがヨーコに捧げたナンバーです。

シングル「ゲット・バック」のB面曲でありオリジナル・アルバムには未収録。

いわゆる「青盤」と呼ばれるビートルズ後期のベスト盤と「パスト・マスターズ Vol.2」に再録されます。

1969年の時点では世界史上一番けたたましいラブ・ソングであったかもしれません

発表から50年を経た現代でもジョンのヨーコに対する至高の愛はリスナーの心を鷲掴みにします。

歌詞和訳しながら当時のビートルズ、及びジョンとヨーコの愛について紐解いてみましょう。

「Don’t Let Me Down」という叫び

ゲストのビリー・プレストンという存在

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Don't let me down
Don't let me down
Don't let me down
Don't let me down

Nobody ever loved me like she does
Oh she does, Yeh,She does.
And if somebody loved me like she do me,
Oh she do me, Yes,She does

出典: Don’t Let Me Down/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

ジョン・レノンによるハウリン・ウルフばりの叫び声で始まる歌い出しです。

この頃はビートルズ内部の軋轢を緩和するために盟友のキーボーディスト・ビリー・プレストンが参加します

ビリー・プレストンは後にローリング・ストーンズとの録音でも名を挙げる名手。

この曲「Don’t Let Me Down」が録音された「ゲット・バック・セッション」。

ポール・マッカートニーの主導でしたがポールによるジョージへの風当たりが強かったのです。

よくジョン・レノンとポール・マッカートニーの不仲が伝えられます。

しかしこちらは後に雪解けしました。

ニューヨークに居たジョンのダコタ・ハウスにポールが遊びに来ていた記録が残っています。

しかしビートルズ中期と後期にその音楽的才能を開花させたジョージ・ハリスンをポールは軽視しがち

この「ゲット・バック・セッション」を撮影した映画「レット・イット・ビー」の中でもジョージは孤立。

ついに彼がビートルズ脱退を宣言してしまうシーンが残されています。

そうしたピリピリ・ムードの緩衝材がビリー・プレストンでした

才能あふれるアメリカ合衆国出身のピアニストです。

音楽史の要所要所に登場します。

それでは歌詞和訳してみましょう。

分かち難いカップル

「僕をがっかりさせないで

僕を失望させないでくれ

僕をがっかりさせないで

僕を失望させないでくれ

彼女みたいに僕を愛してくれる人は誰も居なかったよ

そうさ、彼女だけが愛してくれる

ああ、彼女だけなんだよ

もしも誰かが彼女がしてくれたみたいに僕を愛してくれていたなら

そうさ、彼女が僕を愛してくれる

ああ、彼女が愛してくれる」

最初の「僕をがっかりさせないで」のラインから一息置いてややクールダウンしたジョンの歌唱が始まります

ポールやジョージがコーラス。

ジョンの私的な愛の歌をこの時期のメンバーがサポートするというのが中々味わい深い話です。

リンゴ・スターは歌に寄り添いながら得意のフィル・インを決めます。

歌詞はどれほどヨーコがジョンを愛してくれていたかを吐露

強く分かち難いジョンとヨーコの愛。

ヨーコは前衛芸術家ですからジョンにはバンドよりもソロ活動をして欲しいと願っていました。

ビートルズという大衆向けのバンドよりも高い次元の活動をさせたいと想っていたのです。

ジョンにそうしたアドバイスをしてくれる女性などヨーコの他にいませんでした。

アーティストとしての成熟という点ではジョンよりもヨーコの方が上手(うわて)です

この辺の事情はニューヨークのフルクサス運動の歴史などを辿っていただければと思います。

ジョンの横にいる東洋の女性

「解散はヨーコのせいではない」

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ヨーコはジョンが参加するビートルズの録音現場に寄り添っていました。

最初はミックス・ルームに居たヨーコ。

当時の録音スタッフがミックス・ルームでヨーコに辛く当たったのを見てジョンがスタジオ内部に招きます。

ジョンは「女性パートナーをスタジオで同伴しない」というメンバー間の不文律を破った形です

しかしその後にポールもリンダ・マッカートニーをスタジオに招きます。

よく「ビートルズの解散理由はジョンがヨーコをスタジオに入れたからだ」というデマが流れたもの。

実際の解散理由は「全員がバラバラだった」ことであり「ヨーコのせいではない」とポールは証言します

ジョンとシンシア・パウエル

ジュリアンの一番の友人はポール

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Don't let me down
Don't let me down
Don't let me down
Don't let me down

I'm in love for the first time
Don't you know it's going last
It's a love that lasts forever
It's a love that had no past

出典: Don’t Let Me Down/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney