銀河の隅で惑星はグルグル周る
電波の記録 エコーが返ってきた
これで何回だ
遠くの宇宙であなたに恋をしたんだ
届かないこと理解っているのに
出典: 惑星ループ/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
この歌で舞台が宇宙であることも、宇宙での孤独を表現した作品と世界観を共通している部分があると思います。
惑星でひとりループしているような孤独は、古くはサン=テグジュペリの作品で描かれた『星の王子さま』的な孤独だと言えるでしょう。
サン=テグジュペリ『星の王子さま』
フランスの飛行士で作家であるサン=テグジュペリの作品です。
宮崎駿など多くのアーティストに影響を与えた作家で、自身がパイロットとして空を飛んだ経験を多く作品に残しています。
『星の王子さま』はサハラ砂漠に不時着した飛行士が、小惑星からやってきた王子と出会う話です。
人間の孤独や愛について比喩的に描かれた作品は、読んでみると独自の発見があります。
『星の王子さま』で描かれる小惑星には、ひとがひとりずつしか住んでいないことが多いです。
インターネットで繋がっているけれど、空間的にはひとりしかいない。
そういう現代的な孤独とこの作品は深く繋がっています。
あー あなたに逢いたいな って気持ちがループ ループする
あたまがどうにかなりそうだ それ以外交わせない
あー いますぐ逢いたいな って来る日もループ ループする
この周回軌道上にあなたがいなくても
(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル) そこに大体、愛が在るだけ
(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル) そこに大体、愛が在るだけ
出典: 惑星ループ/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
自分ひとりしかいない惑星で、人と本当にまじわるのはいったい何度ぐらいなのでしょうか?
孤独の中で、あなたに逢いたいという気持ちを惑星の周回軌道として表現し「惑星ループ」の歌詞は作られています。
誰かと深く仲良くなったことがあっても、いつかまた離れてしまう。
出会いと別れを繰り返していることの喩えでしょうか?
気持ちも人生もループし続けています。 思いもループしています。
そしてそこには愛を求めているという事実があるのでしょう。
本当に人と心通わせるまで何度ループすればいいのでしょうね。 でもとてもポップで素敵な歌です。
あぁ、星が周るように ぼくらはずっとループする
想いが軌道を描いている あなただけを追うよ
あー いますぐ逢いたいな って命がループ ループする
この周回軌道上にあなたがいなくても
それ以外想えない
(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル) そこに大体、愛が在るだけ
(トゥットゥルルットゥ ルットゥットゥル) そこに大体、愛が在るだけ
出典: 惑星ループ/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
2番の歌詞解釈
上記では1番の歌詞について詳しく歌詞解釈をしていきました。
宇宙空間の中では孤独を感じやすく、その孤独が現代のネット社会に似ている。
ネットを通じて現実で出会うことができたり、逆にネットのやりとりで疎遠になってしまったりしてしまうことがあります。
人と人との繋がりが昔に比べると希薄になってきている現代。
便利ではあるものの、心のどこかで強い孤独を感じている人もいるでしょう。
「惑星ループ」はそんな孤独を「宇宙」に置き換えて表現しています。
孤独に悩まされていることを表現していたのが1番の歌詞です。
2番の歌詞ではどんなことが表現されているのでしょうか。
少しでも希望にすがりたい
声を辿って何光年だ 延長線に消えてゆく
このままパッと忘れられたら楽だろうな
出典: 惑星ループ/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
広い宇宙を孤独に漂っている時に不定期に入る誰かの声。
孤独で誰かと触れ合いたいと考えている歌詞の主人公はその頼りない声を元に人を探している様子です。
宇宙の中でたまたま拾った声です。その声の元にたどり着く確立なんてすごく低いでしょう。
それでもこの孤独を埋められるかもしれないという希望が、主人公を奮い立たせていたのかもしれません。
ネットで出会いを求めてSNSやいろいろなサイトをぼんやり眺めてしまうような感じでしょうか。
大体この時間帯だとあの人はこのサイトに顔を出しているかもしれない…。
なんて顔も見たこともない人を思い浮かべながらオンラインゲームやSNSにログインしている人もいるでしょう。
そんな「いるかもしれない」という希望が、歌詞の中の主人公にもあるようです。
しかし広い宇宙の中、どこで発信されたのかも不明な声を探すのは至難の技。
だんだんと「やっぱり無理かもしれない」なんてマイナスな考えがよぎってしまいます。
誰かに会えるかもしれないという希望をもっていた状態からまた孤独という絶望に叩きつけられる感覚。
誰も味わいたくないでしょう。
そんな辛い思いをするくらいならいっそのこと、なかったことにしてしまいたい。
なかったことにしたら希望をもって明るい気持ちになっていた事実がなくなるので、絶望との落差を感じることはありません。
そもそも声なんて受信しなければ…。
そんな暗い考えがグルグルと巡ってきているようです。
届きそうだけど、届くことはない
触れられないのに見えてしまってどうしようもないや
近くて遠いあなただ 理解ってるよ
出典: 惑星ループ/作詞:ナユタン星人 作曲:ナユタン星人
それでも不定期に受信される誰かの声。
どこにいるのかは分からないけれど、この孤独しかない宇宙の中にこの声を持っている誰かが存在しています。
声は聞こえるけれど、会うこともおそらく話すこともできないのではないでしょうか。
どこかの電波が何かのタイミングで受信されて自分の耳に届く。
ひょっとしたら自分の声も他の誰かに届いているのかもしれません。
そんなことを考えるだけでも、孤独で冷え切っていた心が熱を持つ感覚になりそうです。
どこかの誰かも名前も姿も知らない人の声をきき、ひょっとしたら自分の声や存在も知らない誰かに届いているのかもしれない。
知らないけど知っている、そんなぼんやりと一言で言い表しづらい関係はネットでの出会いに通じるものがあります。
そんな気持ちが歌詞の2行目で表現されているように解釈することが可能です。