多くの人々の心に残っている楽曲
【勇気一つを友にして】は、1975年10月に初めて「みんなのうた」で放送されました。
以降、学校の教材にも採用されています。
大人になった後、【勇気一つを友にして】が記憶に残っている方々は多いようです。
色あせることのない魅力を探っていきます。
イカロスから着想を得て
歌詞の冒頭に配された言葉。
昔ギリシャのイカロスは
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
ギリシア神話に登場するイカロスのエピソードに基づいて作詞したことが示されています。
神話の中で、イカロスは父親と一緒に幽閉されていました。
もともと職人として高い技術を持っていた父親は、創意工夫を凝らし、脱出する方法を模索します。
試行錯誤を重ねた結果、幽閉場所で集めた鳥の羽根をロウで固め、模造の翼を完成させたのです。
イカロスは、その翼を両腕に装着し、飛び立ちます。
雲より高くまだ遠く
勇気一つを友にして
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
上記、Aメロの後半部分には、自由を手にしたイカロスが描かれています。
幽閉されていた時には、決して想像できなかった世界に向かう期待と高揚感。
のびのびとした山田美也子さんの歌声からイカロスの気持ちが感じ取れます。
覚悟の表れ
タイトル名とAメロ最後の他、曲中2箇所に出てくる下記の言葉。
勇気一つを友にして
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義
イカロスの心の中で何度もこだましていのではないでしょうか。
たった1人で脱出したイカロスに頼れる人物はいません。
しかし、泣き言をつぶやいている暇はありませんでした。
なぜなら、イカロスには使命がありました。
一刻も早く幽閉されている父親を助けなければ…。平穏な日常を取り戻したい…。
自分1人で多くのものを背負っていました。
色々な想いが交錯する中、不安感が増大していったのではないでしょうか。
自分の中に秘めている勇気だけが友達。
そのように信じることによって、心の支えが生まれ、前進できたのかもしれません。
メロディーラインが単調ではあるものの、「必ず使命を全うしてやる」という強い覚悟がヒシヒシと伝わってきます。
自分を見失うイカロス
自由を探し求めて
Bメロでは、外界へと勢いよく飛び出したイカロスの姿を描写しています。
丘はぐんぐん遠ざかり
下にひろがる青い海
出典: 勇気一つを友にして/作詞:片岡輝 作曲:越部信義